BB king: Bonds hits home run No. 756(MLB.com)
Experts: Bonds as the new HR king(ESPN.com)
Going, going ... gone(San Francisco Chronicle)
自分の子供たちが学校へ戻る前に、バリー・ボンズが756号ホームランを打ちました。
打った瞬間から各スポーツサイトが大きく伝えている中、SportsLine.comだけは「756*」という批判的な
見出しを付けていました。ちなみに755号のときには「755」とだけ書かれていました。アスタリスクは
付いていませんでした(ペトコパークのビジョンでも、755の隣にはアスタリスクなしでボンズの
ホームラン数を紹介していました)。
ボンズがホームランを打ったときに試合を行っていた西海岸のスタジアムでは、当然ながらボンズが
記録を破った瞬間が流されていましたが、当然ながら、総じてブーイングの嵐でした。
かねてからボンズが自らの記録を破る瞬間に立ち会いたくないと公言していたハンク・アーロンは、
ビデオレターで祝福を述べました。全く祝福しないのかとも思っていたので、祝福の言葉を
贈ったのはサプライズですが、ビデオレターというのはよく考えられたものだとも言えるでしょう。
そして、一時だけボンズの追っかけをしていたバド・セリグは、ボンズが記録達成するのを予知したのか、
サンディエゴからミルウォーキーに戻り、その後、ステロイド問題を調査するジョージ・ミッチェルと
話し合いを持つことになっています。自らが追っかけていたときに1本しかホームランが出なかったから、
自分がその目で見ないほうが、ボンズの記録達成が早まって、ボンズもセリグ自信も重荷から解放されると
思ったのでしょうか。
いずれにしても、ボンズが記録更新することに批判的な人は数多いのは事実です。しかし、ボンズが756本目の
ホームランを打ったことも、紛れもない事実です。ステロイドを使っていたとしても、いきなり756という数字が
ゼロに戻ることはなく、せいぜい参考記録扱いになるでしょうが、それでも756本を打ったことには変わりありません。
ボンズをどう評価するかという議論は、尽きることはありません。今の段階で言えることは、ボンズは
756本のホームランを打ったことと、ステロイド疑惑に関しては、クロに近いシロであることだけです。
今後ボンズが何ホームランで引退し、誰がその記録を塗り替えるかはわからないですが、そのころまでには、
ボンズの潔白が証明されるかもしれないし、もしかしたら、ステロイドの使用自体が、極端な話、正当化される
かもしれません(といいつつ、そんなわけないとは思うけど、755号を打たれた投手だってかつて
ステロイドを使っていたわけだし・・・)。
しかし、今回のホームラン騒動を見ていると、メジャーリーグでホームランキングになることはいかに
難しいことかを思い知らされます。例えば、年間61ホームランを打ち、ルースの年間記録を抜いた
ロジャー・マリスは、長年、その記録にアスタリスクが付されました。ルースの記録は不可侵のものだとか、
ルースの時代とマリスの時代とでは試合数や環境が違うという意見、そしてマリスのマスコミ嫌いな性格が
手伝ったものと思います。
アーロンがルースの通算ホームラン記録を抜いたときにも、簡単にはいきませんでした。白人のルースの
通算ホームラン数を、黒人のアーロンが抜くなんてとんでもない、という脅迫がなされました。
マーク・マグワイアとサミー・ソーサの年間ホームラン記録更新のときには、ホームラン競争の後に、
いろいろとボロが出てきました。ソーサのコルクバット疑惑であったり、マグワイアのステロイド疑惑が
出てきたのです(その一方でマリスの記録がアスタリスクではない、敬意を払うべきものとなりました)。
そして今回のボンズ。さすがにボンズがステロイドを使っていないと信じる人は少ないようですが、
ボンズはステロイドを使っていた「としても」偉大な打者なのか、ステロイドを使って「のだから」
偉大な打者ではないのかという二分論ではないでしょうか。これはマリスやアーロンのときのような
感情めいたものであったり、マグワイア/ソーサの後で発覚したことではなく、明らかにイケナイことと、
明らかに偉大なことが同時進行で起こっている上に、ボンズのキャラクターも相まって、ボンズを真の
ホームランキングとすべきか、悩ましいところなのです。
こう見ていくと、議論や疑惑とは関係なく、非常に多くの人々がホームランキングとして認める選手が
出てくるときは、果たしてくるのだろうかと感じます。例えば、来年以降、ボンズの年間ホームラン記録
あるいは通算数の更新が近づいたとき、あの腹黒ボンズの記録更新上等!という声と、ボンズの記録を抜く
○○選手だって、いろいろと疑惑がある、あるいは性格悪い!などという声の間で拮抗が起こるのでしょうか。
しかし、それがもしかしたらアメリカにおけるホームランキングなのかもしれません。ただ数打てば
いいわけではない、キングたる品格がなければだめなのだと、アメリカ人は考えているように思えます。
その品格とは何かという点で、白人でなければダメだというところから、ステロイドを使っていても
特に構わないという、個人差が生まれて、それが議論に繋がっているようです。これは日本でいうならば
横綱の品格と近いのかもしれません。
Experts: Bonds as the new HR king(ESPN.com)
Going, going ... gone(San Francisco Chronicle)
自分の子供たちが学校へ戻る前に、バリー・ボンズが756号ホームランを打ちました。
打った瞬間から各スポーツサイトが大きく伝えている中、SportsLine.comだけは「756*」という批判的な
見出しを付けていました。ちなみに755号のときには「755」とだけ書かれていました。アスタリスクは
付いていませんでした(ペトコパークのビジョンでも、755の隣にはアスタリスクなしでボンズの
ホームラン数を紹介していました)。
ボンズがホームランを打ったときに試合を行っていた西海岸のスタジアムでは、当然ながらボンズが
記録を破った瞬間が流されていましたが、当然ながら、総じてブーイングの嵐でした。
かねてからボンズが自らの記録を破る瞬間に立ち会いたくないと公言していたハンク・アーロンは、
ビデオレターで祝福を述べました。全く祝福しないのかとも思っていたので、祝福の言葉を
贈ったのはサプライズですが、ビデオレターというのはよく考えられたものだとも言えるでしょう。
そして、一時だけボンズの追っかけをしていたバド・セリグは、ボンズが記録達成するのを予知したのか、
サンディエゴからミルウォーキーに戻り、その後、ステロイド問題を調査するジョージ・ミッチェルと
話し合いを持つことになっています。自らが追っかけていたときに1本しかホームランが出なかったから、
自分がその目で見ないほうが、ボンズの記録達成が早まって、ボンズもセリグ自信も重荷から解放されると
思ったのでしょうか。
いずれにしても、ボンズが記録更新することに批判的な人は数多いのは事実です。しかし、ボンズが756本目の
ホームランを打ったことも、紛れもない事実です。ステロイドを使っていたとしても、いきなり756という数字が
ゼロに戻ることはなく、せいぜい参考記録扱いになるでしょうが、それでも756本を打ったことには変わりありません。
ボンズをどう評価するかという議論は、尽きることはありません。今の段階で言えることは、ボンズは
756本のホームランを打ったことと、ステロイド疑惑に関しては、クロに近いシロであることだけです。
今後ボンズが何ホームランで引退し、誰がその記録を塗り替えるかはわからないですが、そのころまでには、
ボンズの潔白が証明されるかもしれないし、もしかしたら、ステロイドの使用自体が、極端な話、正当化される
かもしれません(といいつつ、そんなわけないとは思うけど、755号を打たれた投手だってかつて
ステロイドを使っていたわけだし・・・)。
しかし、今回のホームラン騒動を見ていると、メジャーリーグでホームランキングになることはいかに
難しいことかを思い知らされます。例えば、年間61ホームランを打ち、ルースの年間記録を抜いた
ロジャー・マリスは、長年、その記録にアスタリスクが付されました。ルースの記録は不可侵のものだとか、
ルースの時代とマリスの時代とでは試合数や環境が違うという意見、そしてマリスのマスコミ嫌いな性格が
手伝ったものと思います。
アーロンがルースの通算ホームラン記録を抜いたときにも、簡単にはいきませんでした。白人のルースの
通算ホームラン数を、黒人のアーロンが抜くなんてとんでもない、という脅迫がなされました。
マーク・マグワイアとサミー・ソーサの年間ホームラン記録更新のときには、ホームラン競争の後に、
いろいろとボロが出てきました。ソーサのコルクバット疑惑であったり、マグワイアのステロイド疑惑が
出てきたのです(その一方でマリスの記録がアスタリスクではない、敬意を払うべきものとなりました)。
そして今回のボンズ。さすがにボンズがステロイドを使っていないと信じる人は少ないようですが、
ボンズはステロイドを使っていた「としても」偉大な打者なのか、ステロイドを使って「のだから」
偉大な打者ではないのかという二分論ではないでしょうか。これはマリスやアーロンのときのような
感情めいたものであったり、マグワイア/ソーサの後で発覚したことではなく、明らかにイケナイことと、
明らかに偉大なことが同時進行で起こっている上に、ボンズのキャラクターも相まって、ボンズを真の
ホームランキングとすべきか、悩ましいところなのです。
こう見ていくと、議論や疑惑とは関係なく、非常に多くの人々がホームランキングとして認める選手が
出てくるときは、果たしてくるのだろうかと感じます。例えば、来年以降、ボンズの年間ホームラン記録
あるいは通算数の更新が近づいたとき、あの腹黒ボンズの記録更新上等!という声と、ボンズの記録を抜く
○○選手だって、いろいろと疑惑がある、あるいは性格悪い!などという声の間で拮抗が起こるのでしょうか。
しかし、それがもしかしたらアメリカにおけるホームランキングなのかもしれません。ただ数打てば
いいわけではない、キングたる品格がなければだめなのだと、アメリカ人は考えているように思えます。
その品格とは何かという点で、白人でなければダメだというところから、ステロイドを使っていても
特に構わないという、個人差が生まれて、それが議論に繋がっているようです。これは日本でいうならば
横綱の品格と近いのかもしれません。