仏大統領来日へ 31日首脳会談で調整 復興へ連帯訴え (朝日新聞)
原発大国フランス:福島のリスクあっても「必要悪」-代替手段なし (ブルームバーグ)
日本とフランスの関係は、アメリカとフランスのそれほどには不安定なものではありません。
しかし日本とフランスは時にライバル関係になることが多くあります。
その最たるものは高速鉄道の売り込みです。日本には新幹線、フランスにはTVGという世界を
代表する弾丸列車があります。最近はそれ以外の国も巻き込み、世界にその技術とサービスを
売り込もうとしています。また、フランスでは特に今後の経済発展が見込まれる国への歴訪時、
大規模な経営陣グループを引き連れていきます。そのおかげでフランスは中東やアジア諸国で
水道事業の敷設やサービス提供を獲得しました。世界でも冠たる安心した水道水を提供する国、
日本でもようやくこのフランスのやり方を真似ていこうといます。
そして、日本もフランスも原子力発電の世界では世界をリードする国です。ここ最近は両国とも
その技術を海外へ輸出していこうと躍起になっていました。しかしこの3週間でそれはすでに
過去形になりつつあります。世界中で原子力発電に対する追い風が逆風に変わりつつある中で、
もはや日本の原子力発電は果たして安全なのか、疑わしくなってきています。それでも日本は、
例の地震直後にアメリカやフランスから出された原子力発電所の事故拡散事業に対してすべて
断ってきました。そんなことをしたら、日本の技術力が劣っているという間違ったメンツが邪魔を
したのでしょう。そのことが日本を"Cool Japan"から"Nuke Japan"に変え、日本が持っていた
メンツを崩し始めています。
そのような最悪な状況に陥ってはじめて、日本はライバルの原子力発電国家、フランスに助けを
求めました。そうでもしなければ、日本の存亡そのものに関わってしまいます。そのさなかに、
フランスのニコラ・サルコジ大統領が来日することになりました。リビアへの軍事攻撃で忙しい中、
世界のメディアが過去形になった日本の地震や津波との生死を賭けた戦いよりも、リアルタイムで
起こるリビアでの生死を賭けている戦いにその視線を戻しつつある中、サルコジ大統領はあえて
日本へ来ることを選びました。
もちろんそこには日本の復興を助けたいという思いがあるのはわかります。しかしその一方では、
原子力発電大国であるフランスが、原子力発電所の不安を抱える日本へ手助けすることを世界的に
アピールすることで、フランスの技術は絶対的なものであることを世界へ示そうとしているのです。
フランスでも反原発の声が高まる中、国家元首が原発こそフランスの必要悪な誇りであることを
日本から世界へ発信する機会が目の前に現れました。フランスはそれを即掴みにきました。
その動きは正に"utility player"並みです。
日本がすべての活動を停止している間でも、それ以外の国は前進を続けています。それが現代の
世界経済なのです。
原発大国フランス:福島のリスクあっても「必要悪」-代替手段なし (ブルームバーグ)
日本とフランスの関係は、アメリカとフランスのそれほどには不安定なものではありません。
しかし日本とフランスは時にライバル関係になることが多くあります。
その最たるものは高速鉄道の売り込みです。日本には新幹線、フランスにはTVGという世界を
代表する弾丸列車があります。最近はそれ以外の国も巻き込み、世界にその技術とサービスを
売り込もうとしています。また、フランスでは特に今後の経済発展が見込まれる国への歴訪時、
大規模な経営陣グループを引き連れていきます。そのおかげでフランスは中東やアジア諸国で
水道事業の敷設やサービス提供を獲得しました。世界でも冠たる安心した水道水を提供する国、
日本でもようやくこのフランスのやり方を真似ていこうといます。
そして、日本もフランスも原子力発電の世界では世界をリードする国です。ここ最近は両国とも
その技術を海外へ輸出していこうと躍起になっていました。しかしこの3週間でそれはすでに
過去形になりつつあります。世界中で原子力発電に対する追い風が逆風に変わりつつある中で、
もはや日本の原子力発電は果たして安全なのか、疑わしくなってきています。それでも日本は、
例の地震直後にアメリカやフランスから出された原子力発電所の事故拡散事業に対してすべて
断ってきました。そんなことをしたら、日本の技術力が劣っているという間違ったメンツが邪魔を
したのでしょう。そのことが日本を"Cool Japan"から"Nuke Japan"に変え、日本が持っていた
メンツを崩し始めています。
そのような最悪な状況に陥ってはじめて、日本はライバルの原子力発電国家、フランスに助けを
求めました。そうでもしなければ、日本の存亡そのものに関わってしまいます。そのさなかに、
フランスのニコラ・サルコジ大統領が来日することになりました。リビアへの軍事攻撃で忙しい中、
世界のメディアが過去形になった日本の地震や津波との生死を賭けた戦いよりも、リアルタイムで
起こるリビアでの生死を賭けている戦いにその視線を戻しつつある中、サルコジ大統領はあえて
日本へ来ることを選びました。
もちろんそこには日本の復興を助けたいという思いがあるのはわかります。しかしその一方では、
原子力発電大国であるフランスが、原子力発電所の不安を抱える日本へ手助けすることを世界的に
アピールすることで、フランスの技術は絶対的なものであることを世界へ示そうとしているのです。
フランスでも反原発の声が高まる中、国家元首が原発こそフランスの必要悪な誇りであることを
日本から世界へ発信する機会が目の前に現れました。フランスはそれを即掴みにきました。
その動きは正に"utility player"並みです。
日本がすべての活動を停止している間でも、それ以外の国は前進を続けています。それが現代の
世界経済なのです。