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[経済短評]対話能力なき政権

2009-10-20 01:30:57 | マネー&ポリティックス
世界の株式時価総額「危機前」に迫る 45兆ドル、2月比1.5倍(日本経済新聞)
早川日銀大阪支店長:どんどん明るくなっている感じはない(ブルームバーグ)
日銀名古屋支店長:政策効果切れる来年4月以降に不透明感 (ブルームバーグ)
インタビュー:日本株を大いに悲観=松井証券社長(トムソンロイター)


世界的に株式市場が持ち直しつつある中、日本の市場だけはどうしても頭が思い状態が続いています。
問題は平均株価が上へ突き抜けないのではなく、そのことが市場に関心がある人以外の一般的なところで
話題にならない点です。いつも言うことですが、平均株価が一般的なニュースで話題にならないときに、
株価の動きが停滞しているときが、いちばん怖いのです。誰も市場に注目をしないためです。

世界では一部景気持ち直し、あるいは出口戦略という話が出ている中にあって、日本で出る経済ニュースは、
あまり明るいものはありません。月曜日のブルームバーグに出た「明るくなっているという感じはない」という
見出しには、思わず笑いそうになりました。日本銀行の大阪支店長が地域経済を見てそう感じて記者会見で
ありのままを話しただけですので、まぁ未来は明るくないのでしょう。また、名古屋支店長も政策効果という
劇薬が切れる来春以降の心配の方が高いようです。

しかし鳩山政権がこうした経済動向をどう見ているのかが見えてきません。そうでなくてもこの政権は市場との
対話を全くといっていいくらいにできていない印象を受けます。今は自分たちの政策の実現に向けて努力するのは
いやというほどわかります。日本は外需頼りではなく内需も活発にしていく必要があるのも間違いではないです
(というより外需はダメ、内需が良し、とも聞こえてしまうのだけど)。ただし、内需拡大といいながら円高になり、
外需に頼る企業はどうなってしまうのでしょうか?ただでさえ経済の足腰が弱っているところで、さらにひざが
笑ってしまうような円高が進んでいくのを今の政権はそのまま見送るつもりなのでしょうか?中国のように外需に
代わるほどの内需(それは公共事業になるのだけど)があれば問題ないのですが、今はそこまでの内需を作るに
足りる経済力もその政策もありません。政策を練る時間は1年以上もあったのに、です。戦略のない戦略相曰く、
赤字国債の発行は「前政権の責任」なのだと言い、あきれるばかりです。

そうした「熱政冷経」の政権が市場を半ば無視し続ける中、日本株を買う主体がどんどん減っていっています。
外国人は日本には興味ないといい中国やインド、その他新興国へ資金を向かわせます。日本の株式市場での
買主は外国人なのですが。一方で日本人の個人投資家の株式市場への参加率も減っています。皮肉なことに、
今の首相がCO2を25%削減などと宣言する3ヶ月前が、環境関連株(特にGSユアサ)がいちばん元気があり、
ここ最近では市場も活発だったのです。市場はCO2を減らさなければならないことよりも、そうした環境整備を
促す経済政策が欲しいのですが、ここでも変な理想が暴走した格好です。だから一部の政治・経済評論家は、
頭の中ではCO2削減は重要だと思っているとしても、この政策には反対するのです。

正直なところ、これまでの政権も市場との対話ができていたとは思えませんが、今の政権よりはマシでした。
市場も次の政権は何かやってくれるという淡い期待を持っていました。中にはそうした期待を裏切ってくれる
「PKO」なるとんでもない政策もあったのも事実ですが。しかし今の鳩山政権では、市場との対話どころか、
市場経済そのものをはなから否定している空気を出す閣僚すらいるほどです。彼らは東京証券取引所が
日本のどこにあるのかすら知らないはずです。

天下り廃止も無駄遣い廃止も結構なことですし、悪くないとは思いますが、それよりも現在の経済を見ることが
今の政権に欠けている能力だと思います。日本人が売買しない日本の株式市場で本当によいのでしょうか?
一部でかすかな期待を寄せている鳩山政権の「豹変」が起こりそうにない今、このままでは、来年3月の
「地域経済報告」(さくらリポート)が出る前にさくらが散りそうです。

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