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[短評]グローバル経済ゆえの同時株安

2008-01-23 01:27:56 | マネー&ポリティックス
福井日銀総裁会見の一問一答(ロイター) - goo ニュース
Fed slashes key rate to 3.5%(CNNMoney.com)
A recession of global dimensions?(Fortune)


留まるところを知らない世界同時株安。ついにFRBが月末の公開市場委員会より前倒しで、
緊急利下げを実施しました。それでもNYダウは(これを書いている段階では)144ドル安。
いや、休日明けに400ドル以上下げて始まったのだから、まだまだマシなのかもしれません。

アメリカの消費にその多くを頼ってきた世界経済が、アメリカの金融不安、それに続く
消費低迷から景気減速、いや「リセッション」へ続く中、世界の市場が、先駆して下げていた
日本の株式市場に並んできました。ブッシュ政権が物足りない景気刺激策を発表したにも
かかわらず、というよりは、物足りない景気刺激策を発表したから、世界の市場は売りを
出すことによって、FRBや欧州の中央銀行へ利下げをせよというプレッシャーを与えた
格好になります。

そうであるならば、いったい「グローバル経済」とは何なのかということを考えてしまいます。
フォーチュンの記事の最後にあるように、これまでの「グローバル経済」とは、強力な機関車である
アメリカが貨車であるほかの国を引っ張るというものでした。これは今の始まったものではなく、
戦後の冷戦下、アメリカが西側諸国の経済復興(とそれにつながる民主化)においても適用が
なされていたものであって、冷戦が終わり、そのやり方がインドや中国にまで広がったと
考えたほうがよいでしょう。

しかし、極端な話をすれば、後ろの貨車のうちどれか1両が故障しても、機関車は他の貨車を繋げて、
あるいは単独でも走ることができます。機関車が故障すれば、動力のない貨車だけで走ることが
できません。それでも少し前までは、アメリカが躓いても、中国やインド、ロシアが元気ならば、ア
メリカの分全てを吸収できずとも、「多元的な世界」が築かれているので大丈夫だという
エコノミストもいました。そういえたのは、機関車の故障が単なる石炭不足から起こっていたと
診断していたのではないでしょうか。いまや、石炭の大量供給だけではもはや機関車が動かない、
貨車もひとりでは動かないとわかりました。あるエコノミストは、市場はアメリカ政府が不良債権を
買い取るぐらいの「ウルトラC」もしくは機関車の「重連」を期待しているとまで主張しています。

結局のところ、「グローバル経済」といいながらも、それはアメリカという太くて脆い一本柱を中心とした
経済だったのではないかと、改めて実感します。確かに中国やインドの経済成長は高いですが、それも
アメリカの存在があってこそでした。アメリカにより多くを頼る、もしくは危機打開策を期待するから、
その分株価も急降下するのでしょう。だからといって、こうした形でのグローバル経済が今日明日に
無くなるとも考えられません。ただし、本当の「多元的な世界」を目指すのであれば、フォーチュンが
主張するように、今のグローバル経済のあり方、特に自分たちの消費が世界を支えているという
アメリカ人の役割の再考が必要なのは確かなようです。

なかのひと


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