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[2008ワールドシリーズ#5-1]End of Drought

2008-10-28 23:17:26 | MLB
In a first, World Series game suspended(MLB.com)
Selig, MLB could've avoided this muddy mess(FOXSports.com)
This time, Selig got it right(FOXSports.com)
Two Struggling Rays Keep Hope Alive(The New York Times)


2008年が忘れられない年になっていることは、ここ2ヶ月の株価と経済の動きを見ても明らかでしょうが、
メジャーリーグとワールドシリーズにとっても、2008年は忘れられない、一部の見方をすれば、
消し去ることのできない年になりました。

その前に、簡単に今日の試合を見ておきたいと思いますが、やはり何といっても、それぞれ4番と5番に
降格をしたカルロス・ペーニャとエヴァン・ロンゴリアにヒットが出たことが大きいでしょう。ご丁寧に、
それぞれの初ヒットは4回表に連続して出て、レイズに1点をもたらしました。この2人が打つことが
できれば、レイズは得点できる、あまりにも簡単な証明です。それにしても、ペーニャは最初の打席で、
初球にバントヒットを狙いアウト、ロンゴリアも最初の打席の初球を簡単にセンターへのフライを
打ち上げたときには、もうこいつら終わったかと思いました。この2人のスランプ、メジャーリーグでは
"drought"(日照り)といいますが、それが終わりました。

いや、"drought"が終わったかと思ったら、4回表が終わったあたりから本当に雨が降ってきました。
同時に、4回裏はもしかしたらシリーズの流れがフィリーズ一辺倒になりかけていたところを、
レイズがなんとか抑えたかもしれない、そんなイニングになりました。フィリーズはレイズの先発、
スコット・カズミアから粘りに粘り、2四球を含めて2アウト満塁にまで追い込みましたが、ここにきて
若干不調気味になりつつある、チェース・アトリーが凡打に終わり、せっかくの得点チャンスを
活かすことができませんでした。

このイニングをしのいだレイズは、雨が強くなりグラウンドがドロドロになってきた6回表の2アウトに
チャンスを得ます。今日3番に座ったB.J.アップトンのショートへの内野安打、いや正確には、
名手のジミー・ロリンズが雨の中お手玉をしてしまったのですが、その後にアップトンは難なく盗塁を
決めます。そして「水を得た魚」ペーニャのヒットで2対2の同点としました。

その後ロンゴリアが凡退し、レイズの面々が守備位置へ向かう前に、グラウンドクルーが登場しました。
そして試合は終わりました。2対2のサスペンドゲーム。続きはCMのあとどころか、一晩寝て起きて、
朝食と昼食とおやつの後になりました。レイズのメンバーは、フィラデルフィアのホテルをチェックアウト
してしまったため、わざわざデラウェアのホテルを探し当てたほどです。

シリーズ開幕前から、フィラデルフィア周辺の天気はあまりよくないと言われてきました。実際に、
第3戦は試合開始が雨のため遅れました。今日の試合の前、両チームはどのような天候になろうとも、
またどのようなスコアであっても、9回までしっかりプレイすることを申し合わせていました。
5回を過ぎて雨がひどくなれば、中断をしてでも9回まで戦うことになっていました。

そして実際そのようなことになりました。2002年のオールスターでは両リーグともに投手を使い果たし、
その上延長になってしまったため、コミッショナーのバド・セリグはその場で試合の続行か引き分けかを
すぐに判断する必要がありました。結果的にはその判断は非難されたのと同時に、今のワールドシリーズに
繋がるものとなりました。勝ったリーグのホームからワールドシリーズを始める、というものです。

その教訓を得ていたのか、セリグは今回事前に9回まで戦う旨の根回しをしました。それでも試合は
フィリーズが1点リードで問題の6回表を向かえます。あー、ロンゴリアとペーニャが不調続きだったら、
2対0かそこらでフィリーズが勝っていた、もしくは4回裏にフィリーズが得点していれば、フィリーズ先発、
コール・ハメルズは今日もいい投球、それも省エネ投球でしたので、このまま6回表も3者凡退で
終わらせたかもしれない・・・今考えれば、いろいろなことが思い起こされます。

しかし、ヒットと雨で復活したペーニャは、セリグの無駄な心配を吹き払ってくれました。仮にもし、
フィリーズのリードで6回表で終わっていたら、フィリーズはメジャーリーグ史上もっともあっけない
ワールドチャンピオンになるところでした。

ニューヨーク・タイムズのジャック・カリーが言うように、ペーニャが雨の中ヒットを打ち1塁で
こぶしを挙げたときに、セリグも下手な形でシリーズが終わらずに済んだことを喜んでいたかもしれません。

ロンゴリアと、特にベテランのペーニャの復活、そして満塁のピンチをしのいだことで、レイズは
首の皮1枚どころか、もう2-3枚くらいの皮が繋がった形でしょうか。しかし一方では、ペーニャのヒットは、
フィリーズの優勝と久しくこの目で見ていないフィラデルフィアのメジャーチームの優勝とその後の
大騒ぎを今か今かと待ち浴びる多くの市民の希望をも繋いでしまいました。

歴史的に低い視聴率、そして歴史的ににもまれに見るほど天気に左右されるワールドシリーズです。


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