模型工房 ブレインズ 模型工房つれづれ日誌

模型作家、川嶋信慶(リッド)の模型制作の工房日誌。
スケールモデルからフィギュアまで、マルチジャンルで作ります。

船語り 高速船時代

2020年05月13日 | コラム
スエズ運河 喜望峰周りの流れを止めるためスエズ運河通行料を値下げ

Suez Canal drops fees to stem tide of ships heading via the Cape of Good Hope -

The Suez Canal Authority has taken action to stem losing traffic amid ...

Splash 247

 


燃料が極安となり、輸送船は使用料を払ってスエズ運河を通るより喜望峰をまわるようになり、エジプトは4〜5月に1000万ドルの運河料金を失うとみられる。(ニュースより抜粋)

この「運河料金」の視点は意外と盲点だった。

「燃料費 > 運河通行料」になると海運会社にとってスエズは「海賊などのリスクが大きくて好き好んで通りたい道」じゃないからメリットがなくなるのは聞いて知ってたけど、ここまでダイレクトに出るんだな。

近未来SFで「中東の石油が必要とされなくなり」ってのはよくあるけど、運送費から燃料の事を勘案しなくて済むなら、航空輸送もある現代では海運は「最短」を通る必要はなくなってくるし、そのための運河とその国の重要性も下がってくるわけか。

そして、この流れが続くと船自体も「経済的に高速」がまた求められだすと。

これはあれだ、70年代のオイルショック前までと似てくるかも。

当時、コンテナ船が25ノット越えは当たり前で、スペックとして最大で速力30ノット出したり、蒸気タービンとかガスタービン積んだりとかしてた高速コンテナ船時代と似た感じだ。

ちなみに世界初のコンテナ輸送をやった「シーランド社」がこの頃ぶち上げた計画が

「1090個積みの大型コンテナ船に6万馬力のガスタービン2基2軸推進。
計12万馬力機関で33ノット航海し、東京~ニューヨークを13日で結ぶ」シーライン計画。


もう「ぼくの考えた最強の海運」そのものって感じねww

しかもこの計画で実際に8隻建造されてるんだよね。オイルショックの直前に。

こんな化け物みたいな高速コンテナ船が海上交通の主力だったら、そりゃ「原子力商船」の方が燃費や維持で効率が良いって話になってくるわけで。

オイルショックの起こらなかった世界線はそりゃすごかっただろうね。

そういう「高出力の高速船時代」が明らかにあったことを考えると、ホバークラフトや水中翼船だけでなく、ウェーブピアサー船やTSL・原子力船が普通だった世界、という可能性は十分ありえるんだよね。

(流石に電磁推進はムリがあるけど)