日本の竹の代表マダケ(真竹、苦竹)、ハチク(淡竹、呉竹)、モウソウチク(孟宗竹)、の三種について原産と利用の歴史を簡単に考察する。
(1)マダケ
マダケは化石などより日本原産説が正しいとされ、北海道を除く各地に植栽されている。表皮部がちみつで弾力性に富み、建築材(垂木・窓格子・棚吊り等)に、特に弓道の弓にマダケは欠かせない。
(2)ハチク
ハチクは日本原産とか、中国原産とも言われるが、勝宝三年(七五○年)頃には、既に日本にあったようで、別名の呉竹(くれたけ)は呉から渡来した竹に由来する。枝が細かく分枝するため竹ぼうきに、稈(かん)が細く割り易いため茶筅(ちゃせん)や簾(す)に利用された。正倉院の楽器である呉竹笙(くれたけのしょう)、呉竹竿(くれたけのう)、彫刻尺八、さらには、天平宝物の筆などはハチク製品と鑑定されている。
(3)モウソウチク
モウソウチクは中国南部原産のものを、第二一代薩摩藩主島津吉貴が、琉球経由で天文元年(一七三六年)に磯別邸(現在の鹿児島市磯庭園)に移植させたのが始まりとされる。しかし、京都市宇治の黄柴山万福寺に一六六一年に移植された子孫が、京都市の寂照院に現存するとも言われており、どちらが日本におけるモウソウチクの祖先か不明である。モウソウチクは食材(タケノコ)と竹材で重宝がられるが、節間の短さ、粘りの弱さで細工用にはマダケ、ハチクに劣っている。
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