ホーム戦もわずか1勝と、J2最下位で2度目のJ3降格。
ファン・サポーターは増えるどころか、年々減少。
なぜ、ザスパは群馬県民に受け入れられないのでしょうか。
Jリーグ史に残る珍事、チーム名を短期間に2度も変えたこと
東京ヴェルディもJリーグ参戦後に2回だが、一回はホームタウンの移動も伴っています。
やはり多過ぎる。馴染みが着いた頃に変えるので、結局名前に馴染めない。
また、出たばっかりの『インパクト』というのがあります。
鳴かず飛ばずだったアーティストさんほど、この傾向が多いと感じていること。
それは、売れっ子になる転機となった曲があり、その後ヒット曲を出しても、転機となった曲をそのアーティストさんの『代表曲』と挙げられることが多いと感じますね。
天皇杯で、9人になってしまったアマチュアチームが、J1王者を倒したというインパクト。
その名前を壊してまで進めた改革、最初のインパクトを超えられず、失望に繋がっていきました。
浦和レッズと差別化できない
日本のプロサッカーリーグとなる、Jリーグが誕生したのは1993年。
その後、本大会出場したフランス大会、日韓共催大会を経て、サッカー人気が出てきました。
ザスパがJリーグ参入したのは、Jリーグが誕生して12年後、日韓共催大会の3年後の2005年。
J1・J2合わせてた既存28チームに加わる形となりました。
日韓共催大会を観ていた人が国内リーグに興味を持ち、各クラブへ流れていった後の時代になります。
当時、群馬県近郊のチームは、浦和レッズ、大宮アルディージャ、アルビレックス新潟。
その他の関東だと、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノス、東京ヴェルディ1969(当時)、ジェフユナイテッド千葉など。当時は、J1クラブだけでも多く参戦していた状況でした。
ファン・サポーターを獲得しようとすると、特定クラブを応援していないサッカーファンとサッカークラブに興味が無かったご新規さんを除けば、他クラブから奪い取ることになります。
では、どうやって奪い取るか。
地元色を出せば、ある程度は興味を持ってもらえる。
ですが、『群馬色』とは果たして一体なんなのか……。
群馬4大温泉のひとつ、草津温泉からJリーグクラブが誕生と、これ以上無いほどの独自色。
プロモーションもうまくいき、Jリーグ昇格以前から話題性はありました。
強豪浦和レッズを脅かすほどのクラブに成長するのでは、と当時のメディアもありました。
しかし、大西忠生さん逝去以降は経営者に恵まれず、経営は完全に失速。
万年J2下位争いで、強いわけでもなく、独自色も薄れてしまいました。
近隣の強豪クラブと差別化できず、流れ戻ってしまうことになります。
ちなみに、浦和レッズが人気の強豪クラブになれたのは、けして埼玉色を出したわけではないです。
サッカー強豪校・前橋育英高校を生かし切れない
前橋育英高校から高卒ルーキーでザスパに加入した選手のうち、大活躍したのは後藤涼のみ。
共に前橋育英高校出身の松下裕樹・細貝萌は、ベテランになってから加入。
前橋育英高校は、日本代表選手を出しているほどの言わずと知れた名門高校。
いくら群馬色を出そうとしても、地元出身の若手選手が大活躍しないので魅力がない。
地元出身選手で得点も多く決めていた後藤涼が人気があったのは、そういう理由もあったのではないでしょうか。
(涼ちゃんについては改めて語る気は無いので、ちょっとだけ書いた昔の記事を探してください)
クラブの下部組織も生かし切れない
Jリーグ昇格したばかりの頃は、トップチーム昇格もあった。けど、ここ最近はない。
先日の地元新聞紙によれば、U-15(中学生世代)からユース(高校生世代)への昇格を打診したが10人全員拒否。
Jリーグクラブとしては、異例の状態。
残っていてもサッカー選手としての将来性がないと、見限られているのではないでしょうか。
アカデミーも重要な資金源。残ってトップチームで活躍すれば、クラブとしても大きい。
自分たちで若い選手を育てられない、名門高校からも引き抜けない。
結果的に、長く残ってくれる良い選手を集められない。
群馬で生まれ育った選手を育成できないので、長期的についてくれるファンも少なくなってしまいます。
正田醤油スタジアム群馬(群馬県立敷島公園県営陸上競技場)で試合をしているから
浦和レッズが人気があるのは諸説ありますが、ひとつは『埼玉スタジアム2002』の存在。
2002年のFIFAワールドカップを開催するために建設された、サッカー専用スタジアム。
ワールドカップの試合はもちろん、国際試合を開催するようになりました。
大きな試合が近くで開催されることで、サッカーがより身近なものになっていきました。
群馬県内で国際試合を誘致できないので、サッカー文化がなかなか根付かない。
いいスタジアムを持っているサンダーズに人気を持ってかれている。
バスケ熱が高まっている
バスケットボール日本代表の活躍、人気漫画原作のアニメ映画がヒットした影響もあり、国内のバスケ人気が上昇。
この恩恵を受けたのが、プロバスケットリーグの「Bリーグ」。
その中でも人気を博しているのが、「群馬クレインサンダーズ」(以下サンダーズ)。
元々は前橋市内の体育館を拠点にしていましたが、規格や交通の便などを理由に移転。
オーナー企業の創業者が太田市出身という縁もあり、太田市運動公園にアリーナ建設。
駅も近く、ショッピングモールも近くにあり、集客しやすい場所。
『便利地、好立地』なところに『OPEN HOUSE ARENA OTA(太田市総合体育館)』を完成。
B1リーグの新基準を満たし、日本トップクラスの音響設備を備えるアリーナとなりました。
練習で使うサブアリーナも同施設内に完備。
チームも着実に実力をつけ、現在もリーグ最高峰のB1に所属。
平均入場者数の話をしてしまえば、
ザスパが2023年が4,121人(J2リーグ内17位)、2024年が3,988人(同20位)。
これに対し、サンダーズが2023-24シーズンは5,244人(B1リーグ内3位)。
これからも、サンダーズの人気は続くと思われます。
ザスパも練習場ではなく、J1基準を完全準拠したスタジアムを作るべきでしたね。
「サッカーは、つまらない!」
そもそも論として、群馬県民全員がサッカーを好きになってくれるとは限りません。
まず、サッカーは点数が入りづらい球技と言われています。
プロ野球の場合、1試合あたり平均4.3得点くらい。
バスケは平均80得点くらいで、中高生の試合でも100点以上入ることもあるスポーツ。
一方、Jリーグは1試合あたり平均1.5点くらいとされています。
ちなみに2024年のザスパは、更に下回り平均0.6点……。
「パスばかりで、たまのシュートも入らない。一体サッカーのどこが面白い?」
サッカー素人からすれば、そう思われても致し方ありません。
また意外と、試合時間の長さもあります。
プロサッカーの場合は、45分×2の90分。
バスケは10分×4で40分。野球は約3時間とされています。
野球が一番長いじゃないか!
……と思ってしまいますが、これはイニングの間隔や、攻守の入れ替わり時間も含みます。
野球は、試合が動かない時間があるので、観ている方からすればメリハリがあると言われます。
また、バスケは試合展開が早いですが1クォーターは10分。
集中して見る時間が短いことから、観やすい事が挙げられます。
「だらだらパスばかりで、シュートも少ない……」
多少プレーが止まる時間がありますが、集中して観るには45分は長い。
サッカーのルールは変えられない。
45分×2の中で、いかに多くの魅了するプレーができるかどうか——。
本気でファン・サポーターを増やすチーム改革をするのであれば、
常に複数得点が取れる攻撃的なチームにならないと、勝機もなければ、商機もない。
結局、弱い
ホーム戦に誘われて初めて行ったものの、結局勝てずに終わってしまった。
そんな印象を感じてしまう。
Jリーグ昇格した2005年から2024年のうち、J2リーグ戦のホーム勝率は約27%。
だいたい4回ホーム戦に行ったら、1回は勝つ割合。
逆に負け試合は約43%と、敗戦した試合を観て帰ることが統計上は多くなる。
「1年に1回、観に行けば十分」と言われるのも頷ける。
「結局、負けるんでしょ?」との言葉通りに、毎年降格争い。
そして、2度目のJ3降格。
これでは、リピーターは増えないのは当然。
ザスパが復活する方法
早期に大口スポンサーを得る
金のある企業なら、どこでも良いわけではないです。
何故か、J1クラブはメーカー系企業か、自社サービス提供型のIT企業が多い。
私自身、シナリオライターとして関わった企業・業種からひとつ言えることがあります。
量販店や下請け企業は、コストカット意識が強い。極端な事を言ってしまえば、ケチ臭い。
下手すれば、パワハラも見て見ぬ振りのブラック企業ような会社も存在する。
むしろ多い。私が関わった販売・下請け系の企業、全部ブラックだった。
理由は、ハッキリしています。
同じような商品・サービスを売るわけですから、どこかで差別化を図らないと売れない。
では、どこで差別化するか——。当然、価格勝負になってきます。
どこをコストカットするか。どうしても見過ごせないのが、人件費。
人件費は経営の中で難しいもので、給与を下げれば辞められる。上げれば経営を圧迫する。
……などバランスが難しい。
逆に、メーカー企業は商品価値を上げる意識の方が強い。
もちろん、売り上げを落とさないようにシビアだが、体力があるのか意外と落ち着きがある。
多少の競合他社がありますが、それでも自社製品は唯一無二の商品。どうやってこの商品の良さが世間に伝わるか。
私が関わった企業は、和気あいあいとしている印象がありましたね。
その差ではないだろうか。
量販店系は、そこまでお金がない。
救世主となるメーカー系の企業を得ることができるかどうか。
特に、Jリーグの強豪チームは、自動車メーカーや自動車関連企業が多い。
自動車関連企業がザスパの筆頭企業となり、止まってしまったエンジンを再起動できる可能性はある。
そうなると、ザスパ復活の鍵を握るのは、群馬県発祥のあの企業か——。
原点回帰——「ザスパ草津」から全てをやり直す
お陰様で、意外と好調な『ザスパ草津にあって、ザスパ群馬に無いもの』。
ある程度の流入分析ができておりまして、現体制を否定するようなワードで多くを占めています。
きとぅん・はーとから独立以前も含めると、12年以上になる当ブログ。
今年に限って、そういった流入が増えました。
「成績面も含めて、全体的にみんな不満なんだろうな……」と思う日々の私。
そこで、サッカーに興味がない人も含めて、広く聞いてみたことがあります。
「エンブレムもロゴも何もかもを、当初の『ザスパ草津』まで戻したら、どう?」と。
これに関して、共感してくれる人は多かった。
群馬県にゆかりもない、サッカーも興味ない人まで来たのは驚きでしたね。
『ゼロからもう一度スタートし、全てを作り直す』
この言葉を本気で実践するならば、そういったことではないでしょうか。
J2復帰、J1昇格するには
2025年シーズンは、J3リーグで戦うことになったザスパ。
J2復帰するのは、1〜2年で戻るのは難しい……。
今回ばかりは、相当時間がかかるのではないでしょうか。
まず、J3のレベル向上。
J2以上を経験しているクラブ数は、2024年シーズンで11クラブ。
1度目に落ちた時は、まだU-23チームが参加し、J2ライセンスも持たないクラブもありました。
しかし、今はJ2昇格を狙う多くのクラブとの熾烈な戦いを強いられます。
また、育成や金銭問題も看過できません。
成績から何もかもがズタズタになってしまい、信頼すら失われた状況。
『立て直す』と言葉にするのは簡単ですが、ザスパを取り巻く情勢がより困難なものにさせています。
むしろ、長期にわたって経営を抜根改革してから、J2復帰、J1昇格を目指すべきではないでしょうか。