Kitten Heart BLOG -Yunaとザスパと時々放浪-

『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

お知らせ

encounter 目次
異世界に迷い込んでしまったリリーと、そこで出会った鍛冶屋ガトーとの短編小説。

「パスク、あの場所で待っている」 目次
親友との約束を果たすため、騎士団入りを目指す長編小説。



きとぅん・はーと
母屋でもファンタジー小説をやっています(HTMLのサイトです)。

Last Kitten Heart friends
異世界系ファンタジーで友情的な話。現在61話(2020年7月14日現在)。

Short×Short cake
短編小説集。ファンタジー以外もあり。


 ******

Kitten Heart BLOGでは、2024年以降の記事も「ザスパ群馬」ではなく、正式名称の「ザスパクサツ群馬」を採用しております。ご理解くださいますようお願い申し上げます。

【ファンタジー小説】encounter 第12話(最終話) ※全文掲載

2020年09月16日 06時21分04秒 | 小説encounter(完結)
 私は、辺りを警戒しながら前に進んだ。  角に来ると、ゆっくり覗き込んで人が来ないか確認した。  誰も来ないとみると、足音をできるだけ立てないように、走り抜けた。  すると、それらしき場所にたどり着いた。  どうも人がいる気配がなかった。私は、ゆっくりと奥の場所に近づいた。 「なんで、探しに来たんだ! 帰り道はどうした?」  牢屋越しにガトーが怒鳴ってきた。 「大丈夫! 帰り道への鍵も見つけて入れ . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第11話 ※全文掲載

2020年08月26日 06時48分27秒 | 小説encounter(完結)
 捕まらないように必死で走っていて、気がついていなかった。  あたりを見渡したが、人影もなく静まりかえっていた。恐る恐る通路の角から様子を窺うが状況は変わらず、物音もしない。  多分、ガトーが引きつけてくれたものだろうと考えた。  私は何よりも元の世界に帰れる道を探すことにした。せっかくガトーが作ってくれた機会、無駄にするわけにはいかない。  追っ手が来ないことを警戒しながら、地下への階段を降りて . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第10話 ※全文掲載

2020年08月05日 06時37分03秒 | 小説encounter(完結)
 気付けば朝になっていた。私はガトーの手を握ったまま寝てしまっていた。  当のガトーは既に起きてしまっていたのか、一緒に寝ていたベッドにはいなかった。  やや眠い体を起こし、ベッドから降りて一階へ向かってみた。  いつも通り、ほかの家族は朝食を済ませて仕事に就いていた。  私は身支度を済ませると、ダイニングテーブルの席に着く。 「おはよ」  普段と変わらないガトーが、フライパンを器用に操り、二人分 . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第9話 ※全文掲載

2015年02月14日 15時11分57秒 | 小説encounter(完結)
「弟の部屋に入ったことを、咎めるつもりはない」  ガトーは落とした剣を拾い、私を部屋から追い出そうとした。 「ガ……とぅ……」  私は嫌がったがガトーの力が強く、部屋の外に閉め出されてしまった。  仕方なく、下に降りることにした。行く当てはあったからだ。 「そうか……。言ってしまったか」  ちょうど砂鉄を溶かしている真っ最中で物凄い熱気に包まれている中、親父さんに事情を話した。 「ごめんなさい。黙 . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第8話 ※全文掲載

2014年06月20日 01時10分00秒 | 小説encounter(完結)
「おねーちゃん!」  ガトーが振り返ると、置いてきぼりになった弟が呼び止めていた。 「歩くのが速い!」 「フィス、あんたが遅いのよ」  隣の街へ依頼の用件を済ませようと弟も連れたが、帰り道で駄々をこね始めた。 「ほら、おぶってあげようか?」  ガトーがしゃがむと、素直に自分の背中へと身を任せてきた。こうやって甘やかすからいけないんだと思いつつも、どうも弟に厳しくできない自分がいた。 「ねーちゃん、 . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第7話 ※全文掲載

2014年02月14日 19時57分00秒 | 小説encounter(完結)
『夕食は、また適当に取りなさい』  ダイニングテーブルの上にあった母親の置き手紙に、今日もため息が出る。いつもこれだ。  冷蔵庫の中をあさり出すこの光景も、日常の出来事へとなっていった。昔はパンと残り物で凌いでいたが、ここ最近は作ることを覚えた。といっても大したものは作れない。自分の飢えさえ満たせばよいのだから。  父親は仕事が忙しく、「疲れた」といって休みの日でも相手にしてくれない。  両親が共 . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第6話 ※全文掲載

2013年12月31日 11時49分00秒 | 小説encounter(完結)
 まだ若干の眠気を抱えながら、ガトーがいつも寝ているベッドから起き上がった。当の本人はというと、すでに部屋にはいなかった。  一階に下りて洗面台にて、顔を洗う。いっそ、昨晩知った事も洗い流せれば良かったのに。  キッチンの方からいい匂いがしたので、近寄ってみるとガトーが朝食を作っていた。 「おはよ」  ガトーはいつも通り接してくれたが、こっちはあの部屋を見たせいもあってなんとなく気まずい。 「みん . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第5話 ※全文掲載

2013年11月29日 12時33分00秒 | 小説encounter(完結)
「それにしても、その子どうするんだ?」  鍛冶の作業をしながら、親父さんがガトーに問いかける。 「じじぃに相談して決めようと思っていたが、明日にする」  予定が狂い、やるせない気持ちを押し殺しながら奥へ進もうとした。 「泊めるんだろ?」 「ああ。迷子だってさ」 「だったら、左奥の部屋。あそこ、貸してやれ」  それまで受け流すように答えていたガトーが、血相を変えて奥から戻ってきた。 「あの部屋だけは . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第4話 ※全文掲載

2013年10月18日 13時00分00秒 | 小説encounter(完結)
 一日おいて、早朝街を出ることにした。  軽い朝食を済ませ、手短に身仕度を終わらせた。 「また、歩いて行くの?」 「休憩を何度か挟んで、夕方には着く」  ガトーに着いていくことにした。少ない希望だが、分かりそうな人間がいるんだって。  朝霞に包まれた街を抜け出し、再び野山と荒野を交互に通り抜けていった。  これといって会話がなかった。  見た目、少年。中身、男気に溢れる。そんな十八才の乙女。  年 . . . 本文を読む
コメント

【ファンタジー小説】encounter 第3話 ※全文掲載

2013年09月13日 13時01分00秒 | 小説encounter(完結)
 繁華街をうまくすり抜け、宿の中に無事たどり着けた。 「しかし、問題になってくるのは衛兵に見つかっている点だ」  ガトーが大きな剣を壁に立てかけると、ベッドの上に腰を下ろした。 「遅かれ早かれ、王女には伝わるだろう。そうなってくると身動きも取りづらい」 「王女さんって、どんな人なの?」  私はというと、アンティーク調のイスに、ガトーと向き合うように座っていた。 「王女に関しては、あまり関わりを持た . . . 本文を読む
コメント