世情余情口端歌

大雪の秀峰ながむ東川に
　　はやコンバイン稲穂の波分く

世情余情口端歌

紅き桃姉妹のごとくケースにて
　　好みの客をささやき待ちぬ

世情余情口端歌

笑うなかれ余命少なき老いぼれの
　　枯木の鉢へいまだ注水を

世情余情口端歌

秋はじめ退院しての初歩み
　　動物園をのたりのたりかな

世情余情口端歌

御仏のくろみわたるほど煤ぶるは
　　幾百年の塵をふらせけり