世情余情口端歌

消しがたき恋一つだに今なきも
　　只ただ君を想ひみるべし

世情余情口端歌

古市場裏口求め露地入れば
　　あえかなるかな朱き立葵

世情余情口端歌

俳誌よむ半夏生とや夏至わすれしは
　　老いの半ボケ生むさぼるか

世情余情口端歌

古箪笥着るに及ばぬ浴衣あり
　　ふれれば幾代の夢覚まさせんや　

世情余情口端歌

ふと戦時の林間学校浮かびけり
　　夕やみの遊びいまだ胸のうち