1.読むことになったきっかけ
ぼくは現在、ツイキャスというライブ配信プラットフォームで
読書配信をしている。
ツイキャス
https://twitcasting.tv/
読んでいるのは2人だ。
1人はフランスの作家アルベール・カミュの『ペスト』
そしてもう一人が、プルースト『失われた時を求めて』だ。
『失われた時を求めて』は大学時代、図書館で見つけた本だが、
あまりの長さに驚愕した記憶がある。
ぼくが同書を読みたいと思ったのは、漫画版の
『失われた時を求めて』を読んでからだった。
※まんがで読破『失われた時を求めて』イースト・プレス 表紙
文庫版で10冊以上ある作品を300頁強でまとめている。
当然、かなりの部分が省略されているわけだが、
あらすじをつかみたい人にとっては最適だ。
とくに最終章の大団円。
当時、まさにマドレーヌのシーンと同じく、
「えも言われぬ快感」
が身体によび起こされたのを覚えている。
これが読みたいと思うきっかけだった。
2.難しい(というかストーリーが追えない)
そう思って読み始めた本作だったが、
そのあまりの長さと難解さで読破することが
できなかった。
それは、今のぼくたちが読んでもわからない要素が
多いこと、心理描写に重きを置く小説であり、
ストーリーの進行は緩やかで錯綜したものであること、
これが難解な理由だった。
第1巻と第2巻を少し読んだ程度で、
コンブレーの美しさとスワンの恋を多少楽しめたが、
ぼくの「プルースト体験」は止まってしまっていた。
だが、挫折を経験しながらも、
「必ず読破したい!」
という気持ちはどこかにあったのだ。
そして今回、ツイキャスという配信サイトを
見つけたので、これを機に
「再挑戦しつつ、この作品を発信しよう」
と思ったわけなのだ。
それほどこの作品には、
「何度挫折しても挑戦したくなる魅力」
があるのは確かだった。
3.あらすじと読み方
主人公の「私」が眠れない夜に回想するシーンから
物語は始まる。この冒頭が最初の挫折ポイントなのだが、
幼少期の思い出(母親に甘えていた思い出と、
家族の思い出)を回想している
ということだけ押さえておけばいい。
プルーストを読むコツは(読破していないぼくが言うのも
難だけど)、
「一度に全部を理解しようとしないこと」
「時系列と比喩を意識する」
この2点だ。
研究者でも意味不明に思える箇所があるらしい。
ましてや素人が読めばわからないところだらけなのは
当たり前。
わかるところから読み進めればいいのだ。
その方が早く理解できるし、何より物語に
入り込みやすい。
プルーストの文章は「脱線」が他の作者より
圧倒的に多い。
そのすべてに付き合っていると、読者は
精神を消耗してしまう。
だから一巡目はわからないところを
飛ばして読んでもいいだろう。
豊富な比喩と時系列の錯綜は
本書の特色だが、これは
「今、何の話をしているのか」
ということを混乱させてしまう。
だから、今作者は、
「現在・過去どちらについて語っているのか」
「本題か、比喩か」
ということを意識して読むといいだろう。
それで多少の混乱は防げる(多分)。
回想が終わると、現在に時間が戻り、
マドレーヌを紅茶に浸して食べるシーンが
出てくる。
作者はそこで、幼少期の記憶を全面的に思い出す
不思議な体験をして、また回想シーンに戻る。
このシーンは一度読んだら忘れられなくなるほど
強烈なので、ぜひ読んでほしい。
そのシーンの詳細については次回語りたい。
10ページ弱の分量だが、密度が圧倒的に濃いので
とてもここには書ききれない…。
4.最後に
難解ではあるが、多くの人に影響を与えてきた
プルースト『失われた時を求めて』
もしこの記事を読んで興味を持った方は
ぜひ手に取って頂きたい。
ぼくもこの名作を、生涯を終えるまでに
読了したい。
過去・現在・未来、
そのすべての時間を味わいながら。