雪組『ベルサイユのばら』2006/7/13(木)富士市ロゼシアター S席6500
マリー・アントワネット生誕250周年記念
宝塚グランドロマン
『ベルサイユのばら』-オスカル編-
~池田理代子原作「ベルサイユのばら」より~
脚本・演出/植田紳爾 演出/谷正純
■解説
2005年9~10月の星組全国ツアー公演を皮切りに、11月には韓国公演、そして2006年1~2月星組宝塚大劇場公演(東京公演は2~4月)、2~3月雪組大劇場公演(東京公演は4~5月)と、マリー・アントワネット生誕250周年を記念し、上演してきた『ベルサイユのばら』のラストを飾る公演。雪組版のオスカル編で、オスカルを水 夏希が演じる。
先祖代々フランスを守る役目の家柄であるジャルジェ将軍家の末娘オスカルは、幼い頃より男の子として育てられていた。そして今ではマリー・アントワネット王妃付きの近衛士官として仕え、宮廷の夫人たちの憧れの的であった。一方、幼くして両親を失ったアンドレは、オスカルの乳母である祖母のマロングラッセがいるジャルジェ家に引き取られ、オスカルと共に兄弟のように育つ。
栄華を誇ったブルボン王朝も国家財政は非常な危機にあり、そのための重税と数年来の飢饉も加わり、人民の間には不満が渦巻いていた。そのことを知ったオスカルは、ジャルジェ将軍やジェローデル少佐の反対を押し切り、王宮守護の近衛隊から人民を守る衛兵隊の隊長に転属を願い出る。物語はここから始まる―。
衛兵隊の隊士たちは手に負えない連中の集まりであった。オスカルが女だと侮って反抗する隊士たち。しかし次第に彼らは心を開いていく。フランス国内はますます混迷を極め、人民の不満は募る一方で、それを力で押さえつけるため、オスカル率いる衛兵隊に出動命令が下るのは必至であった。
オスカルの屋敷で小間使いとして働き、オスカルを姉のように慕っていたロザリーは、今では革命家ベルナールの妻となっていたが、オスカルの転属を聞き、その身を案じていた。
平民議員たちは国民議会解散の命に従わず、会議を開いていた。ブイエ将軍は、この議員たちを追い出そうと衛兵隊へ出動を要請する。しかしオスカルは、国民に銃を向けることはできないとその命令を拒否する。そのためオスカルは官位を剥奪されそうになるが、ジャルジェ将軍の取り成しで何とか事なきを得る。ジャルジェ将軍は娘を男として育てたことを悔いていた。将軍はオスカルにジェローデル少佐との結婚を勧める。
オスカルの結婚話を聞いたアンドレは絶望する。アンドレは、身分違いの恋と知りながらもオスカルに想いを寄せ、影のように寄り添い生きてきたのだった。アンドレはオスカルに毒酒を飲ませ、自分も死のうとする。しかし自分勝手な思い上がりに気付き、危うく思い止まる。オスカルはアンドレの秘めた愛情の深さを知り驚くが、アンドレの存在の大きさを改めて思い知る。遂に国王からのパリ出動命令が下ったその夜、オスカルはアンドレの想いを受け入れ、二人は結ばれるのだった。
戦端は切られた。オスカルは貴族の称号を捨て、フランスのため、衛兵隊と共に国王軍と戦う決心をする。その戦闘で、まずアンドレが銃弾に倒れた。その深い悲しみを振り切ってオスカルは指揮する。しかし、そのオスカルにも銃弾が。「バスティーユが落ちたぞ!」という民衆の歓声を聞きながら、オスカルは静かに息絶えるのだった……。