第四章 迷い
伊都子「もしもし・・」
修二 「あっ、もしもし。僕だよ。って言っても修と間違われそうか。」
伊都子「あっ!修二さん。こんばんわ。どうしたの?電話なんかしてくれて。」
伊都子は太木数子先生の占いで修とぴったりの合性だという事を聞かされていたので、全くの修二の事は忘れていたのであった。
修二「伊都子さん。今度、僕と会ってくれませんか?話したい事があるんですけど。。時間とれませんか?」
伊都子「え?! 二人きりですか? 修さんもいっしょでは・・」
修二「兄と一緒でもいいですけど。」
伊都子「では、修さんの都合を聞いてから、修二さんに連絡しますね。」
修二「では、返事待ってます。おやすみなさい。」
伊都子「ええ、では。。」
伊都子はそう言って電話を切った。
修さんに聞いてから、修二さんに連絡しなくっちゃっと思いながら、足早に家路に着いた。これから起きるであろう、ドロドロ劇になるともしらず・・・
どうしたのかしら?この胸騒ぎは・・・
伊都子は、幸せだった・・・修と出会ってから他の男の人など目に入らなかった。。。
でも何故だろう。。。
修二からもらった電話が嬉しくて、鼻歌が知らずに出てくる。。。
修と修二は双子、でも違う・・・
優しくて、いつも伊都子が中心で、何一つ
不満はないはずなのに・・・
修二は札幌の厳しい冬を整然と乗り越えてしまう強さがある・・・
「どうしちゃったのかしら・・・」
修二と二人だけで会いたい そう思う自分がいた・・・
それからの伊都子は、なかなか修に修二からの電話があったことを言えずにいた。
もう言わなくては。。。と 思えば思うほど喉が渇く、何かのドラマで見たセリフを思い出す伊都子。
<人を好きになるということは、海水を飲むようなもの
飲んですぐはいいが 飲めば飲むほど喉が乾くんだ>
なんて上手い”たとえ”なんだろう・・・と思った。
そして、そんな自分に愕然とする伊都子はダメ!ダメ!と首を振った。
修「伊都子、首どうかしたのかい!?」
伊都子「 え”っ 」 と振り返る
そこには 愛する修がいた・・・
伊都子 「首?ええ、今、韓国のドラマを見ていて・・・三角関係で、主人公の気持ちがわからなくて首、ふっちゃったの・・・」
修 「アハハ、そうなのか、真剣に主人公になっちゃったんだね、で、どこが納得いかないの?」
伊都子 「主人公が恋人の弟を好きになっちゃうの」
修 「・・・なんていうタイトルのドラマ?」
伊都子 「=甘い日々=っていうの」
修はふぅ~っと溜息をついた。。。
気まずい空気になって来たその場を伊都子は隠そうと、話し始めた。
伊都子 「今日ね、修二さんから電話があって話したい事があるから、3人で会いたいって」
修 「3人で?」
とその時、ピンポーン、玄関のベルがなった。
「アロ~~~~~ハ!」元気のいい声が飛び込んで来た。
もしかして・・・
「アロ~~~~~~ハ!、アンニョンハセヨ?」
伊都子 「タイコちゃ~~~~~ん! 」
タイコは、伊都子 がパリにファッションの勉強をしていた時、ルームシェアで一緒に住んでいた友人だった・・・細野太子・・・
「漢字で書くと、太子だけど、カタカナで呼んでね、よろしくっ!」そう言うユニークなタイコと正反対の伊都子は、パリで無二の親友になったのだ・・・
タイコを一目見た時、修は、胸の高まりを覚え、そんな修を伊都子はじっと見ていた。
伊都子 「タイコちゃん、元気だった?」
タイコ 「モチよ~!アタシ今ね、韓国の俳優に狂っているの~」
伊都子 「あ、ああ、そうなの?パリにいた時はフラダンスだったわよね」
・・・・・可愛い・・・こんな可愛い人がいたのか・・・修の目はタイコに釘付けになった。
そして、一瞬タイコに釘付けになった修の目を伊都子はみのがさなかった。
・・・なに・・・?修さん、今の目は何だったの・・・?もしや・・・
いや、そんなはずない。
修さんは私だけを愛してくれている。
それは私が一番よくわかっているはずなのに・・・。
それでもなぜか、胸の不安を拭い去れない伊都子。
それはそうだろう・・・
だって、一瞬でも伊都子は、彼以外の人にときめきを感じてしまったのだから・・・
それも、彼の弟、修二に。
タイコ「ねぇねぇ、この男性がいつも伊都子が話してくれてる修さん?かっこいいわねぇ~~~~ 」
伊都子「ちょっとタイコちゃん、あんまりくっつかないでよっっ 」
修「おいおい、伊都子・・・どうしたんだよ、怒るなよ~」
伊都子「そっ・・・そうね、いやだわ私ったら・・・」
そうよね、なに怒ってるんだろ、私・・・
しばらく会っていなかった無二の親友が来てくれたって言うのに、ほんと、どうかしてるわ・・・
そう思いつつ、タイコの持っている大荷物を手に取り、部屋の中へ運んだ。
タイコ「あのね、韓国経由でハワイに行っていたのよ 。それでね、お土産買ったんだけど、早く渡したくてそのまま寄っちゃった」
そういってタイコは、かばんから、マカダミアン、ウクレレ、アロハシャツ、ビキニ、そして韓国のキムチ、チョゴリ、大好きな俳優さんのストラップなど、次々と土産を出していった・・・。
伊都子「こんなにかってきてくれたの??」
タイコ「そうよ♡大好きな伊都子のためだもの。でも・・・実はかっこいい彼氏のためだったりして」
そういうタイコに、やはりなぜかやきもきする伊都子・・・。
そこへまたインターホンが鳴る。
「兄さん、伊都子さん、僕だよ」
修二だ。
修二「あっ!君は・・・まさか」
タイコ「えっ?誰なの」
伊都子は2人を見比べた。
修は修二のとまどいに、少し羨ましくなっていた。
修二「君は・・・タイコ、タイコじゃないのか?」
タイコは、大好きな韓国俳優に似た修二を驚きの目で見ていた。
タイコ「ち、違うわ。アタシはタイコだけど、あなたの言うタイコじゃないわよ」
修二「え?僕の言うタイコじゃなかったら、どんなタイコなんだ」
タイコ「しらないわよ。あなたのタイコはどんなタイコなのよ」
修二「僕のタイコは・・・」
タイコ「ほら、言えないでしょ。大体、修二さんの思うタイコはいないのよ」
修二「えっ?僕の名前をしっている、君は・・・」
タイコ「あらあら、なにかしら」
伊都子は、2人の様子を首を振り振り、聞いていた。
しばらく首を振りすぎて、少しおかしくなった。
ふと、気づくと 四角い部屋の中に四人の男女・・・
なんとも言えない空気が漂っていた
ドヨ~~~ン
その空気を破ったのは 。。。
弟の修二だった
修二:「 そうだ!今日は大切な話があって来たんだ」
伊都子:「あっ!そうだったわね。修二さん、お話って・・・何かしら!?」
修二:「 うん、あのね もうすぐ僕達のかあ~さんの誕生日なんだ。それで みんなでかあ~さんの誕生日をしようと思うんだ。モチロンかあ~さんに内緒でね」
修: 「そうだったのか!?僕は すっかり忘れていたよ」
タイコ「ふふふっ・・・修二さんって そういうとこ昔から全然変わってないわね。ほんと サプライズ好きなんだから」と、小声で言った
伊都子「え”っ!? タイコちゃん今何ていったの!?
タイコ「・・・私 何も言ってないわよ・・・伊都子の空耳アワーじゃあ~ないの!?」
伊都子「いえ、たしかに私、聞いたわよ」
修: 「そんな事より かあ~さんの誕生日はいつだったけ?」
修二:「兄さん 1月26日じゃあ~ないか」
修: 「え”っ!? もうすぐじゃあ~ないか!急いで 誕生日計画をしなきゃあ 」
と、いいながら1人部屋を飛び出して行った
残された3人は・・・
いったい何処へ 飛び出して行ったのか、さっぱりピーマン だった。
ったく、なんでタイコがいるんだ
修二がアルバイトしていた札幌のラーメン屋に飛び込んで来て・・・
タイコ 「すいませ~~~ん、博多ラーメン1つお願いします~~~」と言った。
店の客がドン引きする中で、修二には、そんなタイコを可愛い、と思った。。。
可愛い。。。マズイ、修兄さんがタイコを見るあの目は何だ、もしかして。。。
ダメだ、伊都子さんを苦しめるなんて。
伊都子さん、伊都子さん、伊都子さん、
修二は、その時の事をはっきり覚えているのだった。
なにせ、タイコの格好ときたら、現代からかなりかけ離れた格好をしていたから。
一方、伊都子は初めて旅した北海道の地を決めるぞっ と、かなり気合が入っていたのであった。
しかし、福岡育ちのタイコは、当時流行っていたアジアの村人衣装がお気に入りだったので、髪の毛は、ソバージュのかかったロングヘアーに、刺繍が施された厚地のシャツに足首までのスカート。カラフルな色のショルダーバッグを肩にかけ、あきらかにこの北海道とはかけ離れた格好をしていたのであった。
修二はそんなタイコに一目ぼれしてしまったのであった。
修二「お客さん、ここは、北海道だよ。博多ラーメン食べたいのなら出て行っておくれ」
タイコ「ラーメン屋さんのくせに、博多ラーメン作れんとばい?けったいなラーメン屋ね」
修二「なんだとぉ~!オレ様に作れないものはない。今作ってやるから、そこに座って待ってろ 」
タイコ「ええ、待ってあげるわよ」
修二はタイコの態度にむかつきながらも、ラーメンを作った。
修二「ほらよ 博多ラーメンだよ」
タイコ「やれば、できるのね。いっただきま~す」
タイコは本当に美味しそうに修二の作ったラーメンを食べたのであった。それを見ていた修二は、くやしながらも、こんな女性が好きだ。。と思った。
タイコも口のきき方が悪い人だとは思いながらも、何故かこのラーメン屋さんに運命を感じていた。
外に飛び出した修は、誕生日プレゼントのケーキを注文する為に、富士やのお店に走っていた。そして、走りながら、タイコを見るだけで鼓動が早くなってる自分がいることを誰にも気づかれやしないかと、不安になっていた。
胸騒ぎを隠すように、修は富士やへ向かった・・・
しかし店頭には「この度の不祥事の為、当店はしばらく営業を停止致します。ご迷惑をおかけします。」というビラを背中から下げたパコちゃん人形がいた・・・
「どうしよう、母さんは、ここのケーキが好きだったのに・・・」
修は、しかたなくまた、走り、景気屋(そのまんま)で直径56cmのケーキを注文した・・・
56cm、母さんが1月26日になる歳にした。。。
母さん、わかってくれるかな
でも、タイコにはすぐわかってしまうだろうな、そんな気がする・・・
また、タイコの事を考えている修だった
伊都子とタイコ、タイコと伊都子、修の恋心は行ったり来たりし始めていた。。。
1月26日のかあ~さんの誕生日が近づいているというのに・・・
修は タイコのことが頭から離れなかった
=修心のなか=
伊都子とタイコ・・・まるでタイプが違う2人なのにどうして こんなに 心が揺れるんだ・・・
そして伊都子もまた・・・修の弟、修二のことが・・・気になっていた
=伊都子の心のなか=
私。。。いけない女だわ
よりにもよって 兄弟を同時に好きになるなんて・・・はあ~あ~(大きな溜め息)
そんな思いの2人だったが
伊都子「あらっ 修さん 急に飛び出して行ったかと思うと 何処へ行ってたの!?」
修 「かあ~さんのケーキ を注文しに行ってたんだよ」
伊都子「随分 遅かったのね」
修 「ああ。。。少し考え事してたからね」
伊都子「考え事って、何かしら!?」
修 「あっ!いや!ちょっと、ね」
そう言ったまま黙ってしまった修
その横で伊都子も 何も言わず うつむいたままであった
黙ったままの伊都子と修・・・
気まずい空気が流れる。。。
そこへタイコがまたしてもやってきた。
タイコ「ねぇねぇ、いっちゃん聞いてよ!もう我慢できないわ!!」
伊都子「どうしたの・・・・・・」
タイコ「修さ~~~~~ん!!!」
といって、タイコは、いきなり修に抱きついた。
うろたえる修・・・
それをみて呆然となる伊都子・・・・・
「なっ・・・・なっ・・・・・・」
タイコ「修二さんのバカ~~~~~~~~~ 」
修&伊都子「へっ???」
よくよく聞いてみると・・・・・・
はじめ、タイコがこの部屋に旅行帰りに来て、伊都子の彼だと紹介された修を見て、カッコいいと思ったのは他でもない、自分の好きだった修二にそっくりだったからだという。
それが、なんとまぁ!彼の兄だと分かったのだ・・・。
本当は会いたくて仕方がなかったのだが、出会いが出会いゆえ、お互い天邪鬼なタイコと修二は、付き合いだしてもいっつも喧嘩で、思いもしない憎まれ口をたたいて、修二は転勤していなくなってしまったのだ、と・・・。
そして、せっかく会えたのに、やっぱり憎まれ口しか言えない自分を、何故しっかり捕まえてくれないのか、と・・・。
興奮して泣きじゃくるタイコの話を
ふたりは「うん、うん」と、うなずきながら聞いていた・・・。
泣きじゃくるタイコを見て、修と伊都子はホットした。。。
互いの愛しさを感じ、今、この場にタイコがいなかったら・・・・・二人は抱き合っていただろう。
修二とタイコ、お似合いじゃないか、修はふっと微笑んだ。
伊都子「もしもし・・」
修二 「あっ、もしもし。僕だよ。って言っても修と間違われそうか。」
伊都子「あっ!修二さん。こんばんわ。どうしたの?電話なんかしてくれて。」
伊都子は太木数子先生の占いで修とぴったりの合性だという事を聞かされていたので、全くの修二の事は忘れていたのであった。
修二「伊都子さん。今度、僕と会ってくれませんか?話したい事があるんですけど。。時間とれませんか?」
伊都子「え?! 二人きりですか? 修さんもいっしょでは・・」
修二「兄と一緒でもいいですけど。」
伊都子「では、修さんの都合を聞いてから、修二さんに連絡しますね。」
修二「では、返事待ってます。おやすみなさい。」
伊都子「ええ、では。。」
伊都子はそう言って電話を切った。
修さんに聞いてから、修二さんに連絡しなくっちゃっと思いながら、足早に家路に着いた。これから起きるであろう、ドロドロ劇になるともしらず・・・
どうしたのかしら?この胸騒ぎは・・・
伊都子は、幸せだった・・・修と出会ってから他の男の人など目に入らなかった。。。
でも何故だろう。。。
修二からもらった電話が嬉しくて、鼻歌が知らずに出てくる。。。
修と修二は双子、でも違う・・・
優しくて、いつも伊都子が中心で、何一つ
不満はないはずなのに・・・
修二は札幌の厳しい冬を整然と乗り越えてしまう強さがある・・・
「どうしちゃったのかしら・・・」
修二と二人だけで会いたい そう思う自分がいた・・・
それからの伊都子は、なかなか修に修二からの電話があったことを言えずにいた。
もう言わなくては。。。と 思えば思うほど喉が渇く、何かのドラマで見たセリフを思い出す伊都子。
<人を好きになるということは、海水を飲むようなもの
飲んですぐはいいが 飲めば飲むほど喉が乾くんだ>
なんて上手い”たとえ”なんだろう・・・と思った。
そして、そんな自分に愕然とする伊都子はダメ!ダメ!と首を振った。
修「伊都子、首どうかしたのかい!?」
伊都子「 え”っ 」 と振り返る
そこには 愛する修がいた・・・
伊都子 「首?ええ、今、韓国のドラマを見ていて・・・三角関係で、主人公の気持ちがわからなくて首、ふっちゃったの・・・」
修 「アハハ、そうなのか、真剣に主人公になっちゃったんだね、で、どこが納得いかないの?」
伊都子 「主人公が恋人の弟を好きになっちゃうの」
修 「・・・なんていうタイトルのドラマ?」
伊都子 「=甘い日々=っていうの」
修はふぅ~っと溜息をついた。。。
気まずい空気になって来たその場を伊都子は隠そうと、話し始めた。
伊都子 「今日ね、修二さんから電話があって話したい事があるから、3人で会いたいって」
修 「3人で?」
とその時、ピンポーン、玄関のベルがなった。
「アロ~~~~~ハ!」元気のいい声が飛び込んで来た。
もしかして・・・
「アロ~~~~~~ハ!、アンニョンハセヨ?」
伊都子 「タイコちゃ~~~~~ん! 」
タイコは、伊都子 がパリにファッションの勉強をしていた時、ルームシェアで一緒に住んでいた友人だった・・・細野太子・・・
「漢字で書くと、太子だけど、カタカナで呼んでね、よろしくっ!」そう言うユニークなタイコと正反対の伊都子は、パリで無二の親友になったのだ・・・
タイコを一目見た時、修は、胸の高まりを覚え、そんな修を伊都子はじっと見ていた。
伊都子 「タイコちゃん、元気だった?」
タイコ 「モチよ~!アタシ今ね、韓国の俳優に狂っているの~」
伊都子 「あ、ああ、そうなの?パリにいた時はフラダンスだったわよね」
・・・・・可愛い・・・こんな可愛い人がいたのか・・・修の目はタイコに釘付けになった。
そして、一瞬タイコに釘付けになった修の目を伊都子はみのがさなかった。
・・・なに・・・?修さん、今の目は何だったの・・・?もしや・・・
いや、そんなはずない。
修さんは私だけを愛してくれている。
それは私が一番よくわかっているはずなのに・・・。
それでもなぜか、胸の不安を拭い去れない伊都子。
それはそうだろう・・・
だって、一瞬でも伊都子は、彼以外の人にときめきを感じてしまったのだから・・・
それも、彼の弟、修二に。
タイコ「ねぇねぇ、この男性がいつも伊都子が話してくれてる修さん?かっこいいわねぇ~~~~ 」
伊都子「ちょっとタイコちゃん、あんまりくっつかないでよっっ 」
修「おいおい、伊都子・・・どうしたんだよ、怒るなよ~」
伊都子「そっ・・・そうね、いやだわ私ったら・・・」
そうよね、なに怒ってるんだろ、私・・・
しばらく会っていなかった無二の親友が来てくれたって言うのに、ほんと、どうかしてるわ・・・
そう思いつつ、タイコの持っている大荷物を手に取り、部屋の中へ運んだ。
タイコ「あのね、韓国経由でハワイに行っていたのよ 。それでね、お土産買ったんだけど、早く渡したくてそのまま寄っちゃった」
そういってタイコは、かばんから、マカダミアン、ウクレレ、アロハシャツ、ビキニ、そして韓国のキムチ、チョゴリ、大好きな俳優さんのストラップなど、次々と土産を出していった・・・。
伊都子「こんなにかってきてくれたの??」
タイコ「そうよ♡大好きな伊都子のためだもの。でも・・・実はかっこいい彼氏のためだったりして」
そういうタイコに、やはりなぜかやきもきする伊都子・・・。
そこへまたインターホンが鳴る。
「兄さん、伊都子さん、僕だよ」
修二だ。
修二「あっ!君は・・・まさか」
タイコ「えっ?誰なの」
伊都子は2人を見比べた。
修は修二のとまどいに、少し羨ましくなっていた。
修二「君は・・・タイコ、タイコじゃないのか?」
タイコは、大好きな韓国俳優に似た修二を驚きの目で見ていた。
タイコ「ち、違うわ。アタシはタイコだけど、あなたの言うタイコじゃないわよ」
修二「え?僕の言うタイコじゃなかったら、どんなタイコなんだ」
タイコ「しらないわよ。あなたのタイコはどんなタイコなのよ」
修二「僕のタイコは・・・」
タイコ「ほら、言えないでしょ。大体、修二さんの思うタイコはいないのよ」
修二「えっ?僕の名前をしっている、君は・・・」
タイコ「あらあら、なにかしら」
伊都子は、2人の様子を首を振り振り、聞いていた。
しばらく首を振りすぎて、少しおかしくなった。
ふと、気づくと 四角い部屋の中に四人の男女・・・
なんとも言えない空気が漂っていた
ドヨ~~~ン
その空気を破ったのは 。。。
弟の修二だった
修二:「 そうだ!今日は大切な話があって来たんだ」
伊都子:「あっ!そうだったわね。修二さん、お話って・・・何かしら!?」
修二:「 うん、あのね もうすぐ僕達のかあ~さんの誕生日なんだ。それで みんなでかあ~さんの誕生日をしようと思うんだ。モチロンかあ~さんに内緒でね」
修: 「そうだったのか!?僕は すっかり忘れていたよ」
タイコ「ふふふっ・・・修二さんって そういうとこ昔から全然変わってないわね。ほんと サプライズ好きなんだから」と、小声で言った
伊都子「え”っ!? タイコちゃん今何ていったの!?
タイコ「・・・私 何も言ってないわよ・・・伊都子の空耳アワーじゃあ~ないの!?」
伊都子「いえ、たしかに私、聞いたわよ」
修: 「そんな事より かあ~さんの誕生日はいつだったけ?」
修二:「兄さん 1月26日じゃあ~ないか」
修: 「え”っ!? もうすぐじゃあ~ないか!急いで 誕生日計画をしなきゃあ 」
と、いいながら1人部屋を飛び出して行った
残された3人は・・・
いったい何処へ 飛び出して行ったのか、さっぱりピーマン だった。
ったく、なんでタイコがいるんだ
修二がアルバイトしていた札幌のラーメン屋に飛び込んで来て・・・
タイコ 「すいませ~~~ん、博多ラーメン1つお願いします~~~」と言った。
店の客がドン引きする中で、修二には、そんなタイコを可愛い、と思った。。。
可愛い。。。マズイ、修兄さんがタイコを見るあの目は何だ、もしかして。。。
ダメだ、伊都子さんを苦しめるなんて。
伊都子さん、伊都子さん、伊都子さん、
修二は、その時の事をはっきり覚えているのだった。
なにせ、タイコの格好ときたら、現代からかなりかけ離れた格好をしていたから。
一方、伊都子は初めて旅した北海道の地を決めるぞっ と、かなり気合が入っていたのであった。
しかし、福岡育ちのタイコは、当時流行っていたアジアの村人衣装がお気に入りだったので、髪の毛は、ソバージュのかかったロングヘアーに、刺繍が施された厚地のシャツに足首までのスカート。カラフルな色のショルダーバッグを肩にかけ、あきらかにこの北海道とはかけ離れた格好をしていたのであった。
修二はそんなタイコに一目ぼれしてしまったのであった。
修二「お客さん、ここは、北海道だよ。博多ラーメン食べたいのなら出て行っておくれ」
タイコ「ラーメン屋さんのくせに、博多ラーメン作れんとばい?けったいなラーメン屋ね」
修二「なんだとぉ~!オレ様に作れないものはない。今作ってやるから、そこに座って待ってろ 」
タイコ「ええ、待ってあげるわよ」
修二はタイコの態度にむかつきながらも、ラーメンを作った。
修二「ほらよ 博多ラーメンだよ」
タイコ「やれば、できるのね。いっただきま~す」
タイコは本当に美味しそうに修二の作ったラーメンを食べたのであった。それを見ていた修二は、くやしながらも、こんな女性が好きだ。。と思った。
タイコも口のきき方が悪い人だとは思いながらも、何故かこのラーメン屋さんに運命を感じていた。
外に飛び出した修は、誕生日プレゼントのケーキを注文する為に、富士やのお店に走っていた。そして、走りながら、タイコを見るだけで鼓動が早くなってる自分がいることを誰にも気づかれやしないかと、不安になっていた。
胸騒ぎを隠すように、修は富士やへ向かった・・・
しかし店頭には「この度の不祥事の為、当店はしばらく営業を停止致します。ご迷惑をおかけします。」というビラを背中から下げたパコちゃん人形がいた・・・
「どうしよう、母さんは、ここのケーキが好きだったのに・・・」
修は、しかたなくまた、走り、景気屋(そのまんま)で直径56cmのケーキを注文した・・・
56cm、母さんが1月26日になる歳にした。。。
母さん、わかってくれるかな
でも、タイコにはすぐわかってしまうだろうな、そんな気がする・・・
また、タイコの事を考えている修だった
伊都子とタイコ、タイコと伊都子、修の恋心は行ったり来たりし始めていた。。。
1月26日のかあ~さんの誕生日が近づいているというのに・・・
修は タイコのことが頭から離れなかった
=修心のなか=
伊都子とタイコ・・・まるでタイプが違う2人なのにどうして こんなに 心が揺れるんだ・・・
そして伊都子もまた・・・修の弟、修二のことが・・・気になっていた
=伊都子の心のなか=
私。。。いけない女だわ
よりにもよって 兄弟を同時に好きになるなんて・・・はあ~あ~(大きな溜め息)
そんな思いの2人だったが
伊都子「あらっ 修さん 急に飛び出して行ったかと思うと 何処へ行ってたの!?」
修 「かあ~さんのケーキ を注文しに行ってたんだよ」
伊都子「随分 遅かったのね」
修 「ああ。。。少し考え事してたからね」
伊都子「考え事って、何かしら!?」
修 「あっ!いや!ちょっと、ね」
そう言ったまま黙ってしまった修
その横で伊都子も 何も言わず うつむいたままであった
黙ったままの伊都子と修・・・
気まずい空気が流れる。。。
そこへタイコがまたしてもやってきた。
タイコ「ねぇねぇ、いっちゃん聞いてよ!もう我慢できないわ!!」
伊都子「どうしたの・・・・・・」
タイコ「修さ~~~~~ん!!!」
といって、タイコは、いきなり修に抱きついた。
うろたえる修・・・
それをみて呆然となる伊都子・・・・・
「なっ・・・・なっ・・・・・・」
タイコ「修二さんのバカ~~~~~~~~~ 」
修&伊都子「へっ???」
よくよく聞いてみると・・・・・・
はじめ、タイコがこの部屋に旅行帰りに来て、伊都子の彼だと紹介された修を見て、カッコいいと思ったのは他でもない、自分の好きだった修二にそっくりだったからだという。
それが、なんとまぁ!彼の兄だと分かったのだ・・・。
本当は会いたくて仕方がなかったのだが、出会いが出会いゆえ、お互い天邪鬼なタイコと修二は、付き合いだしてもいっつも喧嘩で、思いもしない憎まれ口をたたいて、修二は転勤していなくなってしまったのだ、と・・・。
そして、せっかく会えたのに、やっぱり憎まれ口しか言えない自分を、何故しっかり捕まえてくれないのか、と・・・。
興奮して泣きじゃくるタイコの話を
ふたりは「うん、うん」と、うなずきながら聞いていた・・・。
泣きじゃくるタイコを見て、修と伊都子はホットした。。。
互いの愛しさを感じ、今、この場にタイコがいなかったら・・・・・二人は抱き合っていただろう。
修二とタイコ、お似合いじゃないか、修はふっと微笑んだ。
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