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日本共産党 群馬・太田市議 水野正己のブログ
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課題解消のメドもつかずに小中一貫・義務教育学校を条例に規定 共産党、立憲民主党以外が可決 12月議会で追及

2020年01月30日 | 市議会・市政ニュース

市議団news/No3/2020年1月26日号 

太田市議会・議会中継のページ
 議会での質問や討論の録画映像が見られます。


 昨年の12月議会では、2021年4月に現在の東小、韮川西小、北中学校を2021年度に統廃合して小中一貫の義務教育学校「北の杜学園」をつくるための条例改定が日本共産党、立憲民主党以外によって可決されました。私が行った反対討論(概要)は次のとおりです。

小中一貫・義務教育学校を条例に規定する改定
教科担任制に拡大で教員多忙化

 今議会の議案質疑で教育長は、教員の多忙化とそれによる子どもへのストレスという課題・問題を解消する手立ては確立、あるいは確立のめどがたったのかという私の質問に対して、教員の多忙化はどの学校にも共通の課題と答弁しました。さらに、通常の6年制の小学校では学級担任が1人で原則全ての教科の授業の教材研究・準備を行っているが、段階的に教科担任制を拡充することで、1人の先生の授業や教材研究・準備の負担が軽減されるという旨の答弁もされました。

 しかし教科担任制の拡充によって、1人の先生の受け持つ教科の数は減るでしょうが、替わりに1人の先生が授業で受け持つクラスが増えて、つまり1人の先生が授業で受け持つ子どもの人数が増えることになります。ようするに、1人の先生の受け持つ授業時数はそれほど減らずに、授業を受け持つ子どもの数が増えることになります。

 先生はクラスごとの授業の進度に応じて、さらには、子ども達1人1人の授業の進度に応じて授業を行うための準備をするものと言われます。1人の先生が授業で受け持つクラスと子どもが増えれば、先生の負担が増えることは否めません。つまり先生の負担は軽減されないことになります。

 小学校、義務教育学校でいう前期課程で教科担任制を拡充すると、1人の先生が授業で受け持つ子どもの数が増えて、学級担任をしているクラスの子ども達に授業をする教科が減ることになります。学級担任の先生が担任しているクラスの子ども達の一日の授業を全て行わなくなるため、担任しているクラスの子ども達の一日の様子を全て直接見られなくなるという問題も生まれます。

 一日の授業を原則全て受け持っていれば、授業で厳しく叱ることがあっても、直後の授業で優しく、あるいは子どものよいところを見つけてほめたりというフォローができるのが、原則一日の授業を全て学級担任が受け持つ学級担任制のよさであると現場の先生は言われています。

 連絡帳を考えても、教科担任制の拡充で授業を受け持つ子どもの数が増えれば、1人1人の子ども達にきめ細かくていねいに書き込むことが難しくなると現場の先生は指摘されています。

 教科担任制の拡充で授業を受け持つ子どもの数が増えれば、プリントや宿題を見る場合でも、ただ見るだけではなく、そのプリントや宿題のノートに、1人1人の子どもにきめ細かくていねいに書き込むことが難しくなるということも、やはり現場の先生が指摘されています。

 学級担任をしている子ども達に加え、教科担任で受け持つ子どもたちも含めて、授業の進度に応じて、プリントや宿題も含めて子ども達1人1人にきめ細やかな授業をするという点で、義務教育学校による小学校段階での教科担任制の拡充は懸念・課題が残ることになります。そして、この問題を考えると、太田市が現在実施している「30人程度学級」のよさが損なわれる懸念も残ることになります。

子どもにもストレスが


 こうした先生の多忙化や負担増によって、それでも学級担任の先生は、担任しているクラスの子ども達の成長に責任があるので、多忙化と負担増が進む中で、結果的に子ども達の成長のために、指導のために、子ども達にとっては、注意される、あるいは叱られることが目立ってしまい、それが子ども達の疲労感、ストレスとなるという問題が現場の先生達から指摘されているのが小中一貫の義務教育学校と言えます。
 
 こうした問題は、2013年の大学教授らによる小中一貫校とそうでない小学校の子ども達全員を対象に行った調査でも、18年度のつくば市教委による施設一体型小中一貫・義務教育学校と施設分離型小中一貫校の子ども達全員を対象に行った検証でも、小中一貫校や施設一体型小中一貫・義務教育学校の子ども達に様々な点でマイナスの影響が出ているという結果が出たことと共通しています。

 これらの課題・問題を解消するための手立てが未だに確立されず、そのめども示されないままであることは、この間の議会質問に対する、「検討中・研究中・協議中」という教育長の答弁で明らかとなっています。

 つくば市は市内全てで小中一貫校を設置し、18年度から施設一体型義務教育学校4校を設置しています。つくば市の第三者検証委員会の調査報告では、子ども同士や教員との対人関係、支援関係、くじけても負けない力などで、施設一体型義務教育学校の指数は相対的に低く、その傾向が6年生で顕著とされます。

 施設一体型校では、6年生で中学校への期待度が下がり、中学校は期待していたより楽しくないとする傾向が出ています。施設一体型義務教育学校ではない学校に優位性が示されています。つくば市の教育長は議会で義務教育学校について、「とんでもないことをした。愚挙、暴挙」と答弁したことも紹介。つくば市では元に戻すことはできないため、可能な限り義務教育学校ではない通常の学校教育を心がけていると言われています。

 池田市立ほそごう学園を太田市議会の市民文教委員会で察した際には、施設内を案内した同校の前期課程(小学校)の教頭は、「テスト中です 静かにしましょう」という小学生の教室前の看板を示し、「去年は中学生の教室が小学生の教室のすぐ上の階にあって、小学生の喧騒で中学生がテストに集中できず、テスト中は小学生の教室の階の防火扉を閉めていた。今年は中学生と小学生の教室を離したが、やはりテスト中の中学生には小学生の喧騒がストレスになってしまう」と話されていました。

 さらに同教頭は、「運動会(体育大会)は、1~9年生まで朝から夕方まで一緒に同日開催」と説明。水野が「子どもたちの出番が減ったでしょう」と聞くと、「そういう時くらいしか出番がない子どももいますから…」と肯定。それらの問題を指摘した水野に教育長は、「そうした報告は(視察した)市教委の担当から受けていないと答弁されています。

 こうして考えると、私がこの間指摘してきた義務教育学校における課題・問題を解消する手立ては、結局、開校しても確立できないという懸念がますます膨らむことになります。

 今議会の私の議案質疑に対して教育長は、全ての部活動やクラブ活動が今の北中(義務教育学校)の校庭内で活動できず、一部の部活やクラブが校外の今の東小の校庭まで往復することになるのかどうかもまだ未定という旨答弁されました。これでは、開校してみなければわからないということになってしまいます。

ブレてしまわざるをえない小中一貫・義務教育育学校

 今議会の私の議案質疑に対して教育長は、プールは1~9年生まで使えるように検討中と答えましたが、これも、つまり未定ということになります。つい先日までプールは、小学生用のプールに改修する方向で検討とされてきましたが、なぜ方針が変わるのか。市教委がぶれているとしか考えられず、市教委がぶれてしまわざるを得ないのが小中一貫の義務教育学校ということになります。

 今議会の私の本会議や委員会での質疑では、運動会・体育大会は1~9年生まで一緒に同日開催できるとされていますが、市教委によれば、プログラムの一部が減る可能性も示されています。1年生から9年生まで同じ日に一緒に参加して開催する運動会では、子ども達の出番が減る懸念も消えないままと言えます。

 こうした見過ごせない問題とともに、特に韮西小で今より学童保育が遠くなり、渋滞する国道407号線を通って遠くなった学童クラブまでお迎えに通わなければならなくなってしまう問題、学童保育の運営をどうするか、指定管理者となる父母会あるいは団体がどうなるのかという問題、今の韮西学童の父母会が不安を抱えている問題など、解決しなければならない問題は多数あります。

 しかし、その課題・問題・懸念のどれもが未だに「検討中」つまり未定とされています。本来は、こうした問題をクリアしてから条例改定案を提案すべきであり、こうしたやり方は、強引かつ性急すぎると言わざるを得ません。

 なお(12月)13日には、本案における課題・問題・不安を解消する手立てがいまだに確立されず、その手立てのめども示されないことから、市長には、議案の取り下げ、議員全員には、否決を求める要望書が提出されています。こうした点と問題を考えれば、本案には到底賛成できないことを改めて強調して反対討論を終わります。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2021-05-01 12:34:29
小学校や中学校では、現在でもスマホ持ち込み禁止でしょうか?
やはりスマホはトラブルのもとになりやすいから、スマホ禁止にするのでしょうか?
返信する
Unknown (mizuno)
2021-05-01 12:52:52
小・中学校でのスマホの持ち込みは、トラブルの原因となる可能性があることから今も原則禁止となっているはずです。連休明けに確認します。
返信する
Unknown (Unknown)
2021-05-06 09:03:25
スマホ持ち込み禁止の件、
確認までありがとうございます。
返信する
Unknown (mizuno)
2021-05-08 23:31:58
 市教委に確認したところ、やはり今も小・中学校では、スマホは原則として持ち込み禁止となっていました。

ただし、病気など特別の事情がある場合は、保護者からの申し出によって、合理的な事情がある場合は持ち込みも認めているそうです。
返信する
Unknown (Unknown)
2021-05-12 22:27:27
わざわざ市教委へ確認までありがとうございました。
やはり小中学校では、スマホは持ち込み禁止ですね。
特別な事情があるときは仕方ありませんね。
返信する

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