重耳(上) (講談社文庫) | |
宮城谷 昌光 | |
講談社 |
孔子が登場する前の中国の話です。
始皇帝が生まれる前の時代です。
この時の中国は春秋時代で、周の力が衰えて、多くの国が分裂し、覇権を争っていた時代です。
ただ、争いの中にも、「礼」を重んじていました。
「力」だけでなく、「礼」の力で、覇権を取る。
そんな考えのある時代です。
この本を読むと、「諦め」ないで生きることへの意欲が湧いてきます。
主人公の「重耳」は「晋」と言う国の
第二王子でした。
父である当時の王の死後、後継者争いで国が乱れ、
国を追われ羽目になりました。
放浪生活生活の中、食べることすら出来ない状況に何度も陥り、
「重耳」と仲間は苦しい思いをしています。
その頃「晋」では「重耳」の弟が王になり、国は乱れて行きます。
そこで、家臣たちの間に、19年前に国を追われ、
仲間との放浪生活のをしている「重耳」を望む声が上がりました。
「重耳」は家臣の協力と「秦」の助けのもと「晋」に戻り、王になりました。
王になった「重耳」は、家臣や人民を大切にし、次第に力をつけ
中国の覇権を手にしていきます。
「重耳」が国を追われたのは、40歳台後半、
王になったのは、60歳を過ぎていたでしょう。
今の時代、60際は、若いですが、2000年以上も前の時代では違います。
今の時代では、70歳や80歳くらいに相当するのではないかと思います。
読んで思うのは、どんな状況になっても、諦めないことが必要だということです。