介護事業所ができる法令遵守(コンプライアンス)対策とは、大きく分けて3つの段階があります。それは「不正がなぜ起こるのか」という原因を考える事で明確になっていきます。
1つ目は「動機を無くす事」です。法令遵守違反の理由に「知らなかった」を無くすために、日頃からの法令遵守マニュアルを作成したり、研修を行ったり日々の業務を常に見直し改善に努める努力が必要です。もちろん、介護職や職員だけではなく運営側の法令遵守違反がないかコンサルタントを入れたりするのも必要でしょう。
2つ目は「機会を無くす事」です。不正をせざるをえない状況を作らない、見つけたら根絶やしにする迅速な対応と行動力が必要です。集団でのマンネリが不正を生むこともあります。従業員同士の過剰な交流や集団いじめがないかどうかもチェックしなくてはなりません。
3つ目は、「正当化させない事」です。一つの小さな間違いを隠そうとして何かをごまかしたり、それが気づかれないと思って何度も繰り返す、これは人間の心理として必ず起こる事です。しかし、必ず起こるからと言って野放しにしておくと、その小さな嘘はだんだん膨れ上がってくるのです。お互いがお互いを第三者として気づいてあげられる距離に配置するのは、運営側にとって非常に難しい点です。
集団心理や犯罪心理をよく学び、介護施設の法令遵守対策を立てる事は、利用者さんのため、施設のため、何よりも自分のためになります。どうやって法令遵守すべきか、全員がこの意識で働くのが一番です。