2024年7月3日(水)
きょうの潮流
大黒天が描かれていました。1885年(明治18年)、日本銀行が最初に発行した紙幣です。激しいインフレのなか、商売繁盛や景気回復を期待されて
▼もっともこのお札、紙質を強めるため、こんにゃくの粉を混ぜたことから虫やネズミに食われる害が明らかに。短期間で改造されたというエピソードもついています
▼近代以降の紙幣には時代背景や社会情勢が反映されてきました。明治の初期は古代や中世の伝承上の人物、戦時中は天皇の忠臣たちや靖国神社、戦後には板垣退助や国会議事堂が表れたように。そして今では、文化人が多く選ばれています(『お札のはなし』)
▼きょうから20年ぶりに新紙幣が発行されます。目的は偽造防止の強化と、より使いやすくするためだと。しかし、ちまたは大わらわです。券売機をはじめ新紙幣に対応する機器への切り替えが間に合わず、重い負担に断念する小売店も。なじみの店もあきらめ顔でした
▼ただでさえ物価の高騰で経営が苦しいのに、さらに追い打ちをかけるのか。そんな声が聞こえてきます。消費者にとっても、この時期に多額の費用をかけて新紙幣を世に出すメリットはどこにあるのか
▼お札の顔に話を戻すと、選ぶのは財務省と日銀、製造元の国立印刷局の三者で協議し、最終的に財務相が決めることになっています。時代が変化すれば人物の評価も変わります。選ぶ側の価値観の更新も必要に。大黒札は今でも使えるそうですが、商売や景気の妨げになるようなお札はごめんです。
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