劇作家のバーナード・ショーに物騒な言葉がある。
「暗殺とは究極の検閲である」。
確かに命を奪ってしまえば権力者は気に入らない人物の言葉を永遠に封じることができる
▼気分の悪い言葉をどうしても連想してしまう事件である。ロシアの反政府活動家のナワリヌイ氏が収監先の刑務所で死亡した。数日前までは体調に問題はなかったそうだが、散歩後に突然倒れて、亡くなった
▼不可解な死の背後にプーチン政権の影を見る人がいてもおかしくはあるまい。プーチン大統領の意向に背いたワグネル社創設者のプリゴジン氏が昨年、飛行機事故で死亡した際のバイデン米大統領の言葉を思い出す。「ロシアで起こることでプーチン大統領が関与していないことはあまりない」-。ナワリヌイ氏は2020年にも毒殺されかかっている
▼プーチン大統領が最も警戒した人物である。大統領や与党幹部の不正をネット上に暴露する手法によって反政府運動がやりにくいロシアにおいても支持を集め、政権側も無視できない存在となった。最近も獄中から大統領選でプーチン大統領に投票するなと訴えていた
▼インタビューの中で自分が殺害された場合の伝言を残している。「あきらめるな」「行動をやめるな」である
▼正しい道をあきらめず、ナワリヌイ氏に続いて行動する者が出てくればその死は決して「究極の検閲」にはならない。
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