日韓防衛相が会談、レーダー照射問題の再発防止で
合意 実務者対話を再開へ
【シンガポール=小沢慶太】木原稔防衛相は1日、訪問先のシンガポールで韓国の申源湜(シンウォンシク)国防相と会談した。両氏は韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を巡る再発防止策に合意した。途絶えていた日韓防衛当局間の実務者対話などの再開で一致した。レーダー照射問題では韓国側が照射を否定しているが、事実解明は棚上げし、防衛協力の強化を進める。
多国間の行動基準を順守
日韓防衛相会談は昨年6月以来1年ぶりで、その後それぞれ就任した木原、申両氏が対面で会談するのは初めて。
木原氏は会談で、「日米韓のみならず日韓2国間でも防衛協力を進めていくことが重要だ」と述べた。申氏は「未来志向的な国防協力関係について素直に話し合うことを期待している」と語った。
再発防止策は、海軍艦艇・航空機が遭遇した際の多国間の行動基準「海上衝突回避規範(CUES)」を順守することが柱となる。CUESは、艦艇や航空機が常に安全な間隔を保つことや、レーダー照射を一般的に回避する動作の一つとして定めている。
停滞していた防衛交流を活発化
今後、再発防止の合意文書への署名に向けて調整を進める。合意を受け、停滞していた防衛交流を活発化させる。
当局間の実務者対話のほか自衛隊と韓国軍の高官による交流も再開させる。防衛次官級協議の年次開催でも一致した。
また、両氏は北朝鮮による核・ミサイルの脅威を抑止するため日韓、日米韓の安全保障協力を推進することが重要だと改めて確認。防衛当局間の相互信頼を強化していくことで一致した。
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レーダー照射問題 2018年12月20日、石川県の能登半島沖で韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題。警戒監視用のレーダーとは異なり、対象との距離や速度を精密に計算。照射すると射撃が可能になる。哨戒機はレーダー照射を感知し、攻撃回避行動を取った。防衛省は不測の事態を招きかねない極めて危険な行為だと抗議。韓国国防省は照射を否定し、逆に自衛隊機が低空飛行で接近してきたと非難した。
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