きょうは立春。近所の和菓子屋さんに椿餅(つばきもち)があった。丸いもちの下に、ツバキの葉が1枚。上にかぶせたもう1枚が、頭に葉っぱを乗せたタヌキのようで愛嬌(あいきょう)がある。桜もちのようにくるまず挟んだのは、葉に厚みがあるからだろう
▼椿餅の歴史は古く、千年以上前に書かれた源氏物語に登場する。3月ごろの空がうららかな日、光源氏が住む六条院で殿上人たちが蹴鞠(けまり)をした。楽しんだ後で若者たちが敷物に座り、椿餅や果物をはしゃぎながら食べる様子が描かれている
▼当時は椿餅を「つばいもちい」と読んだようだ。いまの椿餅にはあんが入っているが、平安時代は植物の汁を煮詰めたもので、もちに甘みをつけたという。文献上で確認できる最も古い「和菓子」の一つとされているとか
▼源氏物語のすごさは、いまも語り継がれるだけでなく、ブームを繰り返していることだ。
の連載開始は45年前。その20年ほど後には、
瀬戸内寂聴さんの現代語訳がベストセラーになった
▼先月始まったNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公は紫式部だ。図書館の棚をのぞくと、すでに源氏ブームかと思うような顔ぶれになっていた。与謝野晶子らの訳のほか、「はじめて読む」などのガイド本。フェミニズム視点で読み解く、脇役に光を当てるといった関連本も
▼源氏物語の魅力は様々なタイプの人が登場し、現代でも感情移入できることだと思う。椿餅の場面にもしっかり禁断の恋が描かれている。
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