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(天声人語)蘭奢待と権力 2024年7月22日 5時00分

2024年07月22日 05時47分31秒 | 朝日新聞社

 コロナ禍で在宅勤務が続いた4年前、自宅でよくお香をたいた。インドネシア勤務のころにもらったものが、ちょうど大量に残っていた。日本の線香より太くて長いお香が放つ良い香りは、先が見えない不安をずいぶん和らげてくれた

 

 

▼香りへの興味が出て、歴史を調べた。本間洋子著『香道の文化史』によると、日本で「香りの文化」が始まったのは6世紀。のちにお香の原料となる香木が淡路島に漂着し、住民が知らずにかまどでたいた。遠くまで芳香が漂ったため、朝廷に献上したという

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▼最も有名な香木は、奈良の東大寺にある正倉院所蔵の「黄熟香(おうじゅくこう)」だ。3文字の中に「東大寺」が隠された「蘭奢待(らんじゃたい)」の雅名で知られ、最上の名香とされる。足利義政織田信長明治天皇が一部を切り取ったと示す付箋(ふせん)が今でも貼られている

 

 

優雅な名。 詩や歌などで用いる呼び方。 松を十八公、菊を隠君子などというたぐい。

 

 

 

 

▼信長が本能寺の変で死去する8年前に起こした「事件」は、歴史ドラマにも登場する。時の天皇から強引に勅許を取り、大仏師に蘭奢待を切り取らせた。自らを最高権力者と誇示する狙いだったとされる。香りは権力の象徴でもあった

 

 

蘭奢待を見てみたい。そう思っていたら、東京のサントリー美術館で開催中の『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』にあった。もとは源頼政が所持したとあり、信長とは関係がなさそうだが、指先ほどの小片に人だかりができていた

 

頼政(みなもと の よりまさ)は、平安時代末期の武将公卿歌人兵庫頭源仲政長男清和源氏としては初めて従三位に叙せられた。後世においても、源三位(げんざんみ)の通称が伝わる(同時代的に「源三位」と称された人物は頼政に限らない)。また、父と同じく「馬場」を号とし馬場頼政(ばば の よりまさ)ともいう。

保元の乱平治の乱で勝者の側に属し、戦後は平氏政権下で源氏の長老として中央政界に留まった。平清盛から信頼され推挙により、晩年には武士としては破格の従三位に昇り公卿に列した。

しかし、平家の専横に不満が高まる中で、後白河天皇の皇子である以仁王と結んで挙兵を計画し、諸国の源氏に平家打倒の令旨を伝えた。計画が露見して準備不足のまま挙兵を余儀なくされ、そのまま平家の追討を受けて宇治平等院の戦いに敗れ自害した(以仁王の挙兵)。

 

▼見ると、今度は匂いを嗅ぎたくなってしまう。香木は主に東南アジア原産だから、どこかで嗅いでいるかもしれないと思ってみる。

 

 


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