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ブラック・ジャックの問いかけ 2023/11/29 05:00

2023年11月30日 13時39分56秒 | 産経新聞
AIで作られた「ブラック・ジャック」を披露する、プロジェクトの総合ディレクターを務めた手塚真さん(左から2人目)=20日午前、東京都港区

人と人工知能(AI)の違いは「恐怖心」の有無といわれる。例えば将棋のAIは、全ての可能性を計算し、最も合理的と判断した指し手を示す。生身の棋士なら選択肢から外してしまうような危険な手でも、AIは平気である。

羽生善治さんは自著でこう述べている。人は生き延びるために「危険な選択や考え方を自然に思考から排除してしまう」のではないか、と(『人工知能の核心』NHK出版新書)。人とAIを分けるのは、命を守るという本能の有無かもしれない。

▼そのAIが、「命とは何か」「人間とは何か」を主題として提案したと聞き、驚いた。先週発売の「週刊少年チャンピオン」に掲載された『ブラック・ジャック』(手塚治虫原作)の新作である。人工心臓を軸にしたシナリオやキャラクターは、生成AIの素案から生まれた。

▼本編もさることながら、製作チームが明かした新作誕生の経緯を興味深く読んだ。手塚の原作をAIに読み込ませ、物語の意外性や破綻のない筋立てが得られるように、前段でAIの設定を入念に行った。作画やこま割りは、すべて人の手である。

▼恐れもタブーも知らぬAIは、製作チームとのやりとりを通じ「命の尊厳」などの重いテーマに関し、幾度となく斬新なアイデアを示したという。「良くも悪くもAIは空気を読まない」とは手塚の長男、眞さんである。人とAI、今回の「主・従」は、評価の難しいところだ。

▼主導権を巡る議論は、今後もわれわれを悩ませるに違いない。最後に責任ある決断を下すことは、人が譲れぬ大事な一線にも思える。とりわけ人の命に関わる場面では、AI任せはタブーだろう。現代によみがえったブラック・ジャックの重い問いかけである。

 


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