息子には植物人間のパパの記憶しかない。
その記憶でさえも成人したときには消えているだろう・・・。
ダンナがお空へ行ったのは、息子が2歳10ヶ月の時だ。
「パパはね面白くて、頭が良くて、運動も出来て、優しかったんだよ」
息子はニコニコして聞いている。
「ママがドジなことすると、いっつもチョロスケって呼んだよ」
チョロスケの響きにゲラゲラ笑い出す。
私は本当にドジで、何もないとこで転んだり、モノにぶつけたりしょっちゅうだった。
それをいつも「キミは本当にチョロスケだなぁ」とからかわれた。
そして重たい荷物は必ず持ってくれた。
「チョロスケは無理するな、コケるぞ」って。
・・・そこまで話をすると
「こんど僕がママの荷物持つよ!」と言ってくれた。
次に息子から「ママはパパのこといつから知ってたの?」と質問された。
「19歳からだよ。一緒にお仕事したり遊んだりして楽しかったよ」
と思わず笑顔になって答えた私。
私とダンナは7年お付き合いをしていた。
私の20代の思い出には全てダンナが居るのだ。
「・・・僕もパパに会いたかった」、、、息子がポツリと言った。
「そうだね。ママも会いたい」
突然「ボク幼稚園嫌い!!」と泣き声のような声で言い、
私に背を向けて顔を隠した。
幼稚園の話なんか全くしていない。
なぜ嫌いなのか訪ねても、一切教えてくれない。
息子なりに何か嫌な思いをすることがあるのだろうか・・・。
父親参観日も父の日の似顔絵描きも他の子と同じようにさせた。
特に何も言わず普通に参加させてきた。
パパが居ないことは恥じることでも隠すことでもない。
しかし幼稚園には母子家庭・父子家庭がうち以外にないのも事実。
息子は常によそのパパが羨ましかったに違いないのだ。
両親が揃ってる私にはわからない息子の苦悩~。
頑張れ。強くなれ
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ママはいつでも一緒にいるよ。