又四郎夢日記

ニコマス紹介や、雑学、雑記など。

伝説の武器、防具6~天之真鹿児矢、真鹿児弓~

2014-03-04 17:03:24 | 伝説の武器、防具
天之真鹿児矢(あめのまかごや)というのは日本神話に登場する神の矢です。本来は鹿を射る狩猟の矢と言われていますが、戦いにも使用されたようです。天香山(あめのかぐやま)に生えている木を素材としているとも言います。
また、神話の同じ部分に天羽羽矢(あめのははや、あめのはばや)が出てきますが、恐らく同じ物でしょう。

天之真鹿児弓(あめのまかごゆみ)は、真鹿児矢を射る為の弓です。天香山に生えている梔(くちなし)の木を素材としているとも言われています。しかし実際には櫨(はぜ)の木だと言う説が有力なようです。何故なら普通、梔の木は弓に用いないからだとか。天梔弓(あめのはじゆみ)というのも恐らく同じ物でしょう。

伝説の武器、防具5~平家重代薄雲、唐皮~

2014-02-19 17:12:34 | 伝説の武器、防具
薄雲鎧(うすぐもよろい)、唐皮鎧(からかわよろい)とは、平家の重代(ちょうだい、じゅうだい)、つまり先祖伝来の家宝です。

薄雲鎧は誰が着用したか不明であり、平家が壇ノ浦(だんのうら)の合戦で滅んだ時に、失われたと考えられています。

伝説によると唐皮鎧は、不動明王(ふどうみょうおう)の七領(しちりょう)の鎧の一つという事になっています。朝廷の宝でしたが、後に平家に与えられたとか。

平維盛(たいらのこれもり)や平重盛(たいらのしげもり)が着用したとされていますが、平家滅亡後は行方不明です。平家一族である伊勢家(いせけ)に伝わっていたものの、応仁の乱で焼失したという説もあるようです。

伝説の武器、防具4~天之尾羽張~

2014-01-19 17:36:40 | 伝説の武器、防具
天之尾羽張(あめのおはばり)、別名を伊都之尾羽張(いつのおはばり)とも言います。その実体はイザナギの尊(みこと)が持っていた十拳剣(とつかのつるぎ)です。名称から判断すると拳十個分の長さ、つまり十握り分の長さの剣と考えられます。十握剣(とつかのつるぎ)とも書きますからね。この長さが柄を含むのか、刃渡りなのかは不明ですが。

日本神話では、この剣でイザナギの尊がヒノカグツチ神を斬ったとされています。このお話は前に紹介したこちらの動画で詳しく説明されています。ヒノヤギハヤオノカミというのがヒノカグツチです。天之尾羽張は剣の神とも言われていますが、日本神話では、アイテムが神だったりする事がしばしばありますので、天之尾羽張もそのパターンかもしれません。

さっきグーグル先生で伊都之尾羽張を検索したら、0件という表示でした。検索0は久しぶりに見ましたね。天之尾羽張だと出るんですけどね。

時々ウソを教えてくれるウィキペディア先生では、「尾羽張」は「尾刃張」で、鋒の両方の刃が張り出した剣の意味である。と書いてありました。どうやらこれは江戸時代後期になってからの説で、古い説ではないようです。最も、私が読んだ本が間違っている可能性もありますが。

伝説の武器、防具3~戈~

2014-01-02 16:13:22 | 伝説の武器、防具
戈(ほこ)ではなく戈(か)と読んでください。
戈というのは、古代の白兵戦武器です。西洋から東洋まで広い地域で使われた物で、剣の普及とともに廃れていった古代武器、それが戈です。

その形状はL字型で、鎌に似ています。古代の戦いでは右手に戈、左手に干(かん)という盾を持って戦う事が多かったようです。干戈を交えるという表現が日本語にありますが、これは実際に干と戈を使うのではなく、戦いを文学的に表現した言葉です。

中国武術史研究家の笠尾恭二氏によると、中国の白兵戦武器は三段階に分けられるそうです。

1.戈(か)と矛(ほこ)の時代
2.剣(けん)と戟(げき)の時代
3.刀(かたな、とう)と槍(やり、そう)の時代

1.は殷~春秋戦国時代、2.は春秋戦国~秦、漢時代、3、がその後の時代となるようです。

矛と槍ってどう違うの?という疑問がありますが、これには幾つか説があります。形状によって分類する場合、例外が多くなるので、個人的には形状よりも時代で区別した方がいいと思っています。ようするに古代の物は矛、中世以降は槍という事ですね。

戟は矛や槍のような長い武器の一種で、矛に戈を組み合わせたような形状です。先端の刃物部分が枝分かれしたもので、日本の鎌槍(かまやり)、十文字槍(じゅうもんじやり)に似た武器です。日本語に剣戟の響きという言葉がありますが、これも文学的な表現であり、実際に剣戟を使うわけではありません。日本の時代劇で剣戟の響きと言えば、日本刀による戦いの事です。

日本人の中には、剣と刀の違いが分からない人もいるはずなので、剣と刀の違いについても説明します。剣は両刃(もろは、りょうば)で、刀は片刃(かたは)です。日本では日本刀の事を剣とも刀とも言うので、剣と刀の違いが分かりにくくなっていますが、本来は別の武器です。

時代的には剣の方が古く、刀の方が新しい武器です。中国では現代まで剣が残っていますが、その中国でさえ武器の主流は刀になっています。このような話は別名義でやっているなぜなに古流武術に書いてあるので、興味がある方はそちらもどうぞ。

日本では、戈と剣が同時期(弥生時代)に伝来したので、大陸ほどには戈を使わなかったようです。また青銅器と鉄器も同じ時期に伝来したので、青銅の戈、剣は短期間で廃れて鉄剣、鉄刀になったようです。

伝説の武器、防具2~平家重代小烏丸~

2013-12-20 17:33:05 | 伝説の武器、防具
小烏丸(おがらすまる、こがらすまる)は、平家重代の宝刀とされています。
重代(ちょうだい、じゅうだい)というのは、先祖代々受け継ぐ宝という意味です。つまり、平家(平氏)における伝家の宝刀ですね。文献によっては小烏ではなく木枯となっているようです。昔の伝説というのは幾つも種類があり、初期の状態はよく分からないのが当たり前なので、小烏丸もそういう物と考えていいでしょう。

伝説では、八尺(はっしゃく)の霊鳥が大神宮の使いとして羽の中から出したのがこの刀だという事になっています。平貞盛(たいらのさだもり)の頃から平家に伝わり、平治の乱の時に平重盛(たいらのしげもり)が身につけたと言います。平家滅亡後は行方不明となりましたが、幾つか小烏丸という刀が現存するようです。

八尺の霊鳥とは、八咫烏(やたがらす)の事であると考えられています。日本神話に出てくる神の使いですね。大神宮とは伊勢神宮、つまり天照大神(あまてらすおおみかみ)と考えていいでしょう。太陽神にして皇室の祖神ですね

現存する小烏丸で最も有名なのは、天國(あまくに)作と伝えられる物です。実際には奈良時代の天國の作ではなく、平安時代の何者かの作と考えられていますが、この小烏丸はかなり特殊な刀です。何が特殊かといえば、下半分は片刃の日本刀なのに、上半分は両刃の剣になっているという事です。現存する刀剣としては小烏丸にしか見られない特殊な構造です。古代の刀剣から日本刀に変化する時の、過渡期の形状とも言われていますが、何故こんな不思議な形状なのか正確な事は不明です。

天國作ではないと説明しましたがこれには異論もあり、刀工は名を受け継ぐ事が多いので、天國も数代続いていたとすると、天國作でも間違いではないという人もいます。

この天國作とされる小烏丸は、現在は御物(ぎょぶつ)となっています。御物とは皇室のお宝です。昔は皇室以外でも御物と言う事があったようですが、現代で御物といえば、皇室(宮内庁)の物を言います。