M,D,J.-Mange, dort, joue-

主に販売品整理。挿絵ナシ。すべて簡易紙媒体です。

【R18】マフィアは黙して愛を貫く

2020-01-04 20:57:31 | 発売中
商品説明
極道の跡取り息子、辰巳一意(38)には恋人がいる。金髪に碧い瞳の恋人の名は、フレデリック(38)。マフィアのくせに大型客船のキャプテンを務めるフランス人だ。
十一年の時を経てやっと恋人の正体を知ったはいいけれど、豪華客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』でフランスまで拉致られる羽目に!?
辰巳とフレデリック。おっさん二人が繰り広げるラブアクション(?)です(笑)
お楽しみ頂ければ幸い。
R-18 BL小説です。

著者名
ヒトミマサヤ

販売者
M,D,J.

書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:154
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ

【R18】マフィアは黙して愛を貫く


■ちょい読み
  ◆ プロローグ ◆
 世界中の名だたる豪華客船のなかでも、名実ともに最高峰との呼び声高い大型客船『Queen of the Seas(クイーン・オブ・ザ・シーズ)』の船内。
 プールサイドに並ぶビーチベッド。そのひとつに、引き締まった躰を横たえて辰巳は何度目かの溜め息を吐いた。
 通りがかる女性が”Hi!”と軽く手をあげて挨拶していく。それに笑顔で応えている男は、名をフレデリックという。
 こういう遣り取りを見ていると、フレデリックが外国人であることを実感する辰巳だ。まあ、日本人でも友好的な人間は普通にこの程度の挨拶くらいは軽くこなしはするし、辰巳が個人的に苦手なだけなのだが。
 普段からフレデリックは流暢に日本語を話す。おかげでフランス語など一切話すことが出来ない辰巳でも意思疎通に困る事はなかった。
 他にもフレデリックは職務上もあってか数か国語を話す事が出来ると聞いているし、実際辰巳の前でもそれは実証されている。
 とにかくフレデリックは目立つ。と、辰巳はそう思っている。
 正直なところフレデリックだけでなく、本人が気づいていないだけで辰巳自身も目立ってはいるのだが。
 ギャラリーこそ出来ないまでも、距離に関わらず同じ空間にいる多くの人の視線を、二人は集めていた。
 辰巳一意たつみかずおき三十八歳。身長、百八十八センチ。体重、七十二キロ。
 黒髪に黒く深い闇を湛えた瞳は日本人独特のものだが、その体躯は日本人離れしたもので、惚れ惚れする程に美しい筋肉を纏っている。
 ヤクザの跡取り息子であり、本人もその家業に身を置いている事もあって些か強面である事は否定しないが、その容貌はとても整ったものだった。
 フレデリックFrederic略称はフレッド、同じく三十八歳。身長、百九十一センチ。体重、七十七キロ。国籍はフランス。
 金糸の髪と碧い瞳は天然のもので、現在休暇中だが普段はこの大型客船『Queen of the Seas』のキャプテンを務めている。
 柔らかな微笑みは見る者を思わずうっとりさせてしまう程に魅力的だが、中身はマフィアだ。その肉体には無駄なものなど一切ない。
 そんな二人が並んでその美しく引き締まった裸身を惜しげもなく曝していれば、人目を惹くのは当然の事ではあった。
 そしてこの二人は、何を隠さずとも恋人同士である。かれこれ付き合いは長く、少しだけ二人の馴れ初めを語るなら、話は十一年前にまで遡る。
 きっかけは、辰巳が地回りの帰りに路地で絡まれていたフレデリックを拾った事だった。そしてその日に、辰巳はフレデリックに告白されたのだ。一目惚れだと言って。
 お互い男であるという事実はさて置き、紆余曲折あって恋人という仲になったまではよくある話だろうが、少々問題が起きた。
 先にも記述の通り、フレデリックはマフィアなのである。
 辰巳がそれを知ったのはつい数か月前の事だったが、言うなれば国は違えどご同業という訳で、これといって気にする事ではなかった。はずだったのだが…。
 いくら当人同士が気にしなかろうと、しつこいようだがフレデリックはマフィアなのである。
 辰巳に素性を明かした事で少々問題が起きている。ついては本人を連れてこいと上層部が言っているから一緒にフランスに来て欲しい。と、呼び出しを受けた。
 聞いた時には驚きもしたが、何となく予感はあったし、辰巳にも異論はない。フランスなど遠い所まで出向かなければならない手間はあるが、それもフレデリックのためならば断わる理由はなかった。
 目的地であるフランスに赴く為、今この二人はこうして豪華客船での船旅を満喫しているという訳である。
 だが、この船がフランスの港に寄港する事はない。最終地は、イギリスのサウサンプトンである。フランスへは、そこから飛行機で移動の予定だ。
 面倒を言わずに飛行機で行けばいいとは思うのだが、どうして船旅かという疑問は『辰巳と一緒に世界一周旅行がしたい』という、すべてがフレデリックの希望に起因していた。
 そんなフレデリックは、先ほどから胡乱気な視線を寄越しつつ溜め息ばかり吐いている恋人を見た。

【R18】Place de la liberté.

2020-01-03 21:34:23 | 発売中
商品説明
辰巳&フレデリックの短編集。
・黒い獣は夢に溺れる
・ヤクザが逃げればマフィアに当たる!?
・Misunderstanding leads to sweetness.
・初めてのおつかい。
・Il aime le chocolat amer.
・J'attendrai.
・Sweet time.
・四月の魚
・星に願いを。
・Des bonbons ou un sort!
R-18 BL小説です。

著者名
ヒトミマサヤ

販売者
M,D,J.

書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:98
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ

【R18】Place de la liberté.

【R18】ヤクザは嗤って愛を囁く

2020-01-03 21:28:45 | 発売中
商品説明
極道の跡取り息子、辰巳一意(たつみかずおき)が地回りの途中で拾ったのは、男前のフランス人、フレデリック。
男に興味はないと言いつつ、フレデリックに言い寄られて思わず手を出したはいいものの…。
R-18 BL小説です。

著者名
ヒトミマサヤ

販売者
M,D,J.

書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:106
表紙加工:モノクロ
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ

【R18】ヤクザは嗤って愛を囁く 
http://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=242987732

■ちょい読み
 夜の繁華街。気乗りしない地回りの帰り道で、辰巳一意たつみかずおきは微かな怒鳴り声を聞いた。普段であれば気にも留めないただのケンカ。だが、なぜかその時は妙な胸騒ぎを感じたのだ。
 同行しているダークスーツの男たちに先に車へと戻っているよう言いつけて、辰巳はひとり声のしたほうへと足を向けた。
 ――確かこっちのほうだったよな…。
 普通に歩いていたのなら通り過ぎるような細い路地の前を通った時だった。
「ああん? 利益なんて関係ねーんだよ! メンツ潰されて黙ってられっか」
 若い男の声が聞こえて、辰巳は少しだけ来た道を戻ると路地を覗き込んだ。見える背中は三人。その奥に誰がいるのかは暗くて見えなかった。
「おい、そんなとこでなにやってんだお前ら」
 路地の入口などまったく気にした様子もない三人組に臆することもなく声をかけると、驚いたようにそいつらが振り返った。その時である。
 本当に、それは一瞬のことだった。
「失礼」
 そんな言葉が聞こえたと同時に、三人が地面に倒れ込む。なにが起きたのかは、なんとなく想像がついた。
 ――足払い…にしても、なげぇな脚…。ふつう一気に三人もなぎ倒すか?
 思わず、内心で感心する。ケンカなど見慣れているが、さすがにここまで鮮やかな動きをするような人間はなかなかお目にかからない。
 すると、倒れ込んだ男たちを軽く飛び越えて路地の奥からひとりの男が姿を現した。
 薄暗い路地には不釣り合いな、けぶるような金色の髪。入口に立つ辰巳のすぐ真横にやってきた男は、綺麗なブルーの瞳をしていた。
 百八十八センチの長身を誇る辰巳と並んでも見劣りしない大柄な男に驚き、そして先ほどの動きにも、どことなく納得してしまう。
 笑いが、こみ上げる。
「はははッ、お前、ずいぶん大胆だなぁ」
「キミが隙を作ってくれたおかげだよ」
 そう言って金髪の男は微笑ほほえんだ。それはもう柔らかな笑顔で。
「助けてくれてありがとう。僕はフレデリックFrederic」
「辰巳だ。だが、まだ礼を言うのは早いらしいぜ?」
「だろうね」
 フレデリックと名乗った男が出てきた路地では、ようやく男たちが立ち上がるところだった。男たちの年の頃は二十歳か、もしかしたら未成年。二十七の辰巳からすれば、ずいぶんと若いようである。
「見たところちっとばかし元気が有り余った兄ちゃんってところだが、アンタ一体あいつらになにしたんだ?」
「べつに、困っている女性を助けただけだよ。逆恨みって怖いね」
 たいして恐怖も感じていないような口ぶりでそう言うと、フレデリックはひとつ肩を竦めて笑った。
「女を助けた?」
「ちょっと、酒場で絡まれていたから声をかけたんだけどね。まあ、結果がこれってことさ」
「そりゃ、災難だったな」
「本当に。見て見ぬふりをする日本人は賢いってことが、よくわかったよ」
 皮肉げに笑うフレデリックに、日本人である辰巳は苦笑を漏らすことしか出来なかった。ガシガシと頭を掻く。
「あー…まあ、こんなことになっちゃあ皮肉のひとつも言いたくなるか」
「ふふっ、冗談だよ。日本には、タツミのように優しい人もいるからね」
「ははっ、そりゃどーも」
 とりあえず、せっかく暇潰しにきたのだから相手をしてもらおうと、辰巳は険悪そうな若者たちと向き合った。
「あまり、観光客に迷惑はかけるものじゃないぜ? 兄さんがたよ」
「ああ!? 関係ねぇオヤジはすっこんでろよ!」
「っちょ、まずいって…! あの人はヤバイ…!」
 三人のうちのひとりが、吠える仲間の袖を引くのが見てとれた。どうやら、辰巳のことを知っているらしい。が、そんな事はどうでもよかった。
「関係ないオヤジねぇ…。残念ながら、そう関係なくもねぇんだよなぁ」
「ああ!?」
「だから…っ! あの人はこの辺の…」
「はいはい、そこまでな。それ以上は言わなくていいんだぜ? こんなところで肩書きひけらかしたところでなんの得にもならねぇからよ」
 仲間の袖を引いていた男の手がとまり、サッと顔が青ざめるのが暗い中でもわかった。ついさっきまで追いつめていたはずが、今度は自分たちが袋の鼠になっていたと気づいたところで今さら遅い。
 ゆったりとした足取りで路地へと入る辰巳から、少しでも遠ざかろうと男たちが後退あとずさる。
「元気が有り余ってんなら、オッサンと少し遊んでくれや」
「い、ぃやあの…っ! 本当にすいませんでした! コイツには言ってきかせますんで勘弁して下さいっ!」
 土下座でもしそうな勢いで頭をさげる男の横で、他の二人が明らかに戸惑っている。
「アンタいったい何者なんだよ?」
「さぁな。ただのオッサンでいいんじゃねぇか?」
 ニヤリと、辰巳は口角を歪ませてみせる。人を小馬鹿にしたようなその笑みに、血の気の多そうな小僧が噛みついた。
「誰でも関係ねぇんだよ! 死ねコラッ!!」
 正面から突っ込んでくる男を、辰巳は横を向いてあっさりと躱す。躱しぎわに長い脚を少しだけ前に出してやれば、躓つまづいた男がフレデリックの目の前に両手をついた。
 フレデリックは優雅な仕草でしゃがみ込むと、目の前に転がってきた男の額を片手で掴んだ。
「逆恨みは、良くないよ?」
「っ…痛い痛い痛い…ッ!!」
「うんー? まだ、そんなに力は入れてないんだけどなぁ…」
 殴りはしない。フレデリックは大きな手で蟀谷こめかみをギリギリと締め上げる。やがて男の口から声が聞こえなくなって、ようやくフレデリックは指を離した。
 その様子を眺めていた辰巳が、頭をガシガシと掻いて苦笑を漏らす。
「こりゃ、助けなんて要らなかったか…」
「いやいや、あまり暴力は得意じゃないんだ」
 男を地面に寝かせて立ち上がったフレデリックが、片目を瞑つむってみせた。
 そんな様子に慌てたのは、路地の奥に残された二人である。
「ホント勘弁して下さい。辰巳さんのお知り合いだとは思ってなくてっ」
「あぁん? 知り合いとか知り合いじゃねぇとか、そういうことを言ってんじゃねぇんだよ」
「はいっ! すいません!!」
「嫌がる女に手ぇ出しておいてなにがメンツだこのタコ。挙句にこんなところまで追いかけるたぁ、ずいぶん執念深いじゃねぇかよ」
 ん? と、ガラ悪く辰巳がつめ寄れば、二人が同時に突っ込んできた。狭い路地ではあるが、どうにかなるとでも思ったのか。左右に分かれて辰巳の横をすり抜けようとする。だが、そう上手くいくはずもなく…。
 辰巳はあっさりとひとりに脚をかけて転がすと、もう一人の襟首をしっかりその手で掴んでいた。
「ヒッ」
「おいおい、逃げんなや。大人しくしてりゃ見逃してやろうと思ったのによ」
「すんませんっ!! 見逃してくだ…」
「嫌だ」
 ただ一言、子供のように意地悪く言い放ち、辰巳はあっさりと襟首をひき寄せて背後から男を締め落とした。そのまま、地面に這はい蹲つくばっている男へと手をのばす。
「さて。お前は俺を知ってるみてぇだが、なにモンだ?」
「あぁ…あのっ、榊さかきさんと俺っ、知り合いで…っ」
「んあ? あー…、榊? ……誰だソレ」
 榊…榊…と、口の中で呟きながら辰巳は心あたりを探してみるが、該当するような人物には思いあたらなかった。
 それもそのはずで、勇誠会系ゆうせいかいけい辰巳組たつみぐみ本家の跡取りである辰巳と、下部組織の人間である榊とはなんの面識もない。知るはずもないのだ。
「まぁいいや、とりあえずお前も大人しく寝とけ」
 さすがに、子供相手に本気で殴り合いをするほど辰巳は若くない。あっさりと首筋を圧迫して二人目を転がすと、うしろを振り返った。
「ちょっとソイツ、連れてきてくれねぇか」
「うん?」
「イタズラしよーぜ」
 そう言って、辰巳がニカッと笑う。
 フレデリックもまた楽しそうに微笑んで、足元の男を辰巳のもとへと運んだのだった。