商品説明
極道の跡取り息子、辰巳一意(38)には恋人がいる。金髪に碧い瞳の恋人の名は、フレデリック(38)。マフィアのくせに大型客船のキャプテンを務めるフランス人だ。
十一年の時を経てやっと恋人の正体を知ったはいいけれど、豪華客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』でフランスまで拉致られる羽目に!?
辰巳とフレデリック。おっさん二人が繰り広げるラブアクション(?)です(笑)
お楽しみ頂ければ幸い。
R-18 BL小説です。
十一年の時を経てやっと恋人の正体を知ったはいいけれど、豪華客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』でフランスまで拉致られる羽目に!?
辰巳とフレデリック。おっさん二人が繰り広げるラブアクション(?)です(笑)
お楽しみ頂ければ幸い。
R-18 BL小説です。
著者名
ヒトミマサヤ
販売者
M,D,J.
書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:154
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ
【R18】マフィアは黙して愛を貫く
■ちょい読み
◆ プロローグ ◆
世界中の名だたる豪華客船のなかでも、名実ともに最高峰との呼び声高い大型客船『Queen of the Seas(クイーン・オブ・ザ・シーズ)』の船内。
プールサイドに並ぶビーチベッド。そのひとつに、引き締まった躰を横たえて辰巳は何度目かの溜め息を吐いた。
通りがかる女性が”Hi!”と軽く手をあげて挨拶していく。それに笑顔で応えている男は、名をフレデリックという。
こういう遣り取りを見ていると、フレデリックが外国人であることを実感する辰巳だ。まあ、日本人でも友好的な人間は普通にこの程度の挨拶くらいは軽くこなしはするし、辰巳が個人的に苦手なだけなのだが。
普段からフレデリックは流暢に日本語を話す。おかげでフランス語など一切話すことが出来ない辰巳でも意思疎通に困る事はなかった。
他にもフレデリックは職務上もあってか数か国語を話す事が出来ると聞いているし、実際辰巳の前でもそれは実証されている。
とにかくフレデリックは目立つ。と、辰巳はそう思っている。
正直なところフレデリックだけでなく、本人が気づいていないだけで辰巳自身も目立ってはいるのだが。
ギャラリーこそ出来ないまでも、距離に関わらず同じ空間にいる多くの人の視線を、二人は集めていた。
辰巳一意たつみかずおき三十八歳。身長、百八十八センチ。体重、七十二キロ。
黒髪に黒く深い闇を湛えた瞳は日本人独特のものだが、その体躯は日本人離れしたもので、惚れ惚れする程に美しい筋肉を纏っている。
ヤクザの跡取り息子であり、本人もその家業に身を置いている事もあって些か強面である事は否定しないが、その容貌はとても整ったものだった。
フレデリックFrederic略称はフレッド、同じく三十八歳。身長、百九十一センチ。体重、七十七キロ。国籍はフランス。
金糸の髪と碧い瞳は天然のもので、現在休暇中だが普段はこの大型客船『Queen of the Seas』のキャプテンを務めている。
柔らかな微笑みは見る者を思わずうっとりさせてしまう程に魅力的だが、中身はマフィアだ。その肉体には無駄なものなど一切ない。
そんな二人が並んでその美しく引き締まった裸身を惜しげもなく曝していれば、人目を惹くのは当然の事ではあった。
そしてこの二人は、何を隠さずとも恋人同士である。かれこれ付き合いは長く、少しだけ二人の馴れ初めを語るなら、話は十一年前にまで遡る。
きっかけは、辰巳が地回りの帰りに路地で絡まれていたフレデリックを拾った事だった。そしてその日に、辰巳はフレデリックに告白されたのだ。一目惚れだと言って。
お互い男であるという事実はさて置き、紆余曲折あって恋人という仲になったまではよくある話だろうが、少々問題が起きた。
先にも記述の通り、フレデリックはマフィアなのである。
辰巳がそれを知ったのはつい数か月前の事だったが、言うなれば国は違えどご同業という訳で、これといって気にする事ではなかった。はずだったのだが…。
いくら当人同士が気にしなかろうと、しつこいようだがフレデリックはマフィアなのである。
辰巳に素性を明かした事で少々問題が起きている。ついては本人を連れてこいと上層部が言っているから一緒にフランスに来て欲しい。と、呼び出しを受けた。
聞いた時には驚きもしたが、何となく予感はあったし、辰巳にも異論はない。フランスなど遠い所まで出向かなければならない手間はあるが、それもフレデリックのためならば断わる理由はなかった。
目的地であるフランスに赴く為、今この二人はこうして豪華客船での船旅を満喫しているという訳である。
だが、この船がフランスの港に寄港する事はない。最終地は、イギリスのサウサンプトンである。フランスへは、そこから飛行機で移動の予定だ。
面倒を言わずに飛行機で行けばいいとは思うのだが、どうして船旅かという疑問は『辰巳と一緒に世界一周旅行がしたい』という、すべてがフレデリックの希望に起因していた。
そんなフレデリックは、先ほどから胡乱気な視線を寄越しつつ溜め息ばかり吐いている恋人を見た。
プールサイドに並ぶビーチベッド。そのひとつに、引き締まった躰を横たえて辰巳は何度目かの溜め息を吐いた。
通りがかる女性が”Hi!”と軽く手をあげて挨拶していく。それに笑顔で応えている男は、名をフレデリックという。
こういう遣り取りを見ていると、フレデリックが外国人であることを実感する辰巳だ。まあ、日本人でも友好的な人間は普通にこの程度の挨拶くらいは軽くこなしはするし、辰巳が個人的に苦手なだけなのだが。
普段からフレデリックは流暢に日本語を話す。おかげでフランス語など一切話すことが出来ない辰巳でも意思疎通に困る事はなかった。
他にもフレデリックは職務上もあってか数か国語を話す事が出来ると聞いているし、実際辰巳の前でもそれは実証されている。
とにかくフレデリックは目立つ。と、辰巳はそう思っている。
正直なところフレデリックだけでなく、本人が気づいていないだけで辰巳自身も目立ってはいるのだが。
ギャラリーこそ出来ないまでも、距離に関わらず同じ空間にいる多くの人の視線を、二人は集めていた。
辰巳一意たつみかずおき三十八歳。身長、百八十八センチ。体重、七十二キロ。
黒髪に黒く深い闇を湛えた瞳は日本人独特のものだが、その体躯は日本人離れしたもので、惚れ惚れする程に美しい筋肉を纏っている。
ヤクザの跡取り息子であり、本人もその家業に身を置いている事もあって些か強面である事は否定しないが、その容貌はとても整ったものだった。
フレデリックFrederic略称はフレッド、同じく三十八歳。身長、百九十一センチ。体重、七十七キロ。国籍はフランス。
金糸の髪と碧い瞳は天然のもので、現在休暇中だが普段はこの大型客船『Queen of the Seas』のキャプテンを務めている。
柔らかな微笑みは見る者を思わずうっとりさせてしまう程に魅力的だが、中身はマフィアだ。その肉体には無駄なものなど一切ない。
そんな二人が並んでその美しく引き締まった裸身を惜しげもなく曝していれば、人目を惹くのは当然の事ではあった。
そしてこの二人は、何を隠さずとも恋人同士である。かれこれ付き合いは長く、少しだけ二人の馴れ初めを語るなら、話は十一年前にまで遡る。
きっかけは、辰巳が地回りの帰りに路地で絡まれていたフレデリックを拾った事だった。そしてその日に、辰巳はフレデリックに告白されたのだ。一目惚れだと言って。
お互い男であるという事実はさて置き、紆余曲折あって恋人という仲になったまではよくある話だろうが、少々問題が起きた。
先にも記述の通り、フレデリックはマフィアなのである。
辰巳がそれを知ったのはつい数か月前の事だったが、言うなれば国は違えどご同業という訳で、これといって気にする事ではなかった。はずだったのだが…。
いくら当人同士が気にしなかろうと、しつこいようだがフレデリックはマフィアなのである。
辰巳に素性を明かした事で少々問題が起きている。ついては本人を連れてこいと上層部が言っているから一緒にフランスに来て欲しい。と、呼び出しを受けた。
聞いた時には驚きもしたが、何となく予感はあったし、辰巳にも異論はない。フランスなど遠い所まで出向かなければならない手間はあるが、それもフレデリックのためならば断わる理由はなかった。
目的地であるフランスに赴く為、今この二人はこうして豪華客船での船旅を満喫しているという訳である。
だが、この船がフランスの港に寄港する事はない。最終地は、イギリスのサウサンプトンである。フランスへは、そこから飛行機で移動の予定だ。
面倒を言わずに飛行機で行けばいいとは思うのだが、どうして船旅かという疑問は『辰巳と一緒に世界一周旅行がしたい』という、すべてがフレデリックの希望に起因していた。
そんなフレデリックは、先ほどから胡乱気な視線を寄越しつつ溜め息ばかり吐いている恋人を見た。