残置物 賃貸物件をご紹介する際、その扱いが非常に厄介なものとして 「残置物(ザンチブツ)」 なるものが挙げられます。 これ即ち「前入居者が残して置いた物」と言う意味合いですが・・・。 例えばよくある例として「エアコン」があります。 前の方が取り付けたエアコン。 その方の引越し先には既にエアコンが完備され、持って行く場が無い。 しかも、さほど古い訳ではなく、まだまだ十分機能する。また処分ともなれば相応の費用も掛かる。 と言った場合、本来なら私物の撤去を求める管理会社やオーナー様ですが、 「それなら置いていって貰っても結構ですよ。」 と判断が下されれば、そのままそこに残されます。 ただ次の入居者にはその設備(このケースですとエアコンですが)は契約の付帯設備には属さず、あくまでも 「もし良かったらそのままお使い下さい、嫌ならば自身のご負担でお取替え下さって結構です」と言う性格の物となります。 もちろん万が一故障しても修理費は本人の負担となります。 従って次期入居予定者から 「使わないので撤去して欲しい」 と言うリクエストがその場で出れば、もちろん入居される前にはきれいに片付けてしまいます。 出来ればそのまま順調に使っていただき喜んでくれれば良いのですが、中にはこんな例も・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ とある2DKのマンション。 その部屋には、入居時に2つのエアコンが付いておりました。 1つはオーナー様が手配した付帯設備としてのエアコンで、もう1つは前入居者が付けたものをそのまま残していった訳です。 あるとき、弊社に掛かってきた1本の電話。 「済みません、やっぱり自分たちで新しいエアコンに付け替えたいのですが。」 購入代金は入居者が負担するという以上、こちらは異論が無いので当然承諾の意を告げますと 「あのう、撤去の費用はどうなるのでしょう?」 と言うご質問が・・・。 確かに入居前に「不要」となれば、オーナー様の負担で片付けますが・・・。 ある程度使ってからともなれば、今更オーナーに撤去費用を払えとは言いづらいのも事実。 そのあたりの扱いが「残置物」ってなんとも微妙なんですよね。 余談ですがその方からは 「契約に含まれている古い型の方を交換したいのですが・・」 と言ってきました。 本来なら許可しにくい依頼でしたが、優しい大家さんだったので撤去費用を持って頂き、円満に解決しましたけど。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ エアコン以外でよく残されるのが「ガスレンジ」です。 これもさほど痛んでなければそのまま残していく事例もよく見掛けます。 ところが残したことで損をするケースが有るんですよ。 というのも、そのガスレンジもピカピカにするべく、ルームクリーニング業者は一生懸命掃除をするのですが、これ無論「タダ」って訳ではありません。 たとえクリーニング一式となっている場合でも、その分だけ手間賃を加える業者もおります。 その費用を誰が負担するのか、いっそ無ければ発生しない、そんな悩みも「残置物」ならではのもの。 本来「もったいない」的な発想から出た「残置物」。 いわば「エコ」の最先端(かな?)です。 或いはまた、前入居者から次の方への心温まるプレゼントにも見える、美しい性格を帯びた「残置物」は、その気持ちとは裏腹に色々な難問を生み出してくれ、我々の仕事を少しだけ増やしてくれます(涙)