「寒いのやだなぁ」
寝不足の目をしょぼしょぼさせながら
久しぶりに走るレゾンさんを見るために
大蔵さんの心は躍っていたはずで
父の魅力満載の彼女のパドック
気が散っているな―と思いながらも
意外に暖かな日差しも注いでいたり
「なんとか掲示板に来ないかな」
「ダートには行かないのかな」
なんてことを話しながら
本馬場で馬友さん達と待ちながら
あと何分で発走かなと思った時
「お知らせします~」
で始まるやな予感の場内放送
「まさか?」
「え」
「無事つかまりますよう」
そんな思いの中を駆け抜けていく出資馬
気持ち良さげ
ってなぜにこうなっているの
さっき返し馬に出たとき騎手いたよね
どこへ置いてきたのかな
ケガされていない?
競走除外はわかっているけれど
走り回りたい気分なのは理解できるけれど
お願いだから無事に誰かの腕に飛び込んでー
そう思いながら気が気じゃなかったのですが
自分で待避所に戻っていったようでほっと
元気に戻ってきてくれてありがとう
大蔵さんはあっけにとられて
ずっと苦笑いをしていたですよ
思いは胸に秘めているのでしょう
次はきちんと走ってくれますように
大丈夫かな??大丈夫でしょう