その人は、とても繊細だけどPOWERのある楽器一本でステージにたち、語る。
世界的なヴァイオリン奏者ともなれば、『名器』といわれるものをお持ちなんでしょうけど、
その由緒ある楽器を演奏されているからすごいのか?・・・というだけじゃないようです。
川畠成道さんのことは、ずっとお名前は存じ上げていた。
幼い頃に服用した風邪薬が原因で、視覚障害を引き起こしてしまったという。
その悲しみや、苦しみは想像し得ない・・・
もし私がいま耳や、目がいつものように動かなかったら・・・。
しかし、運命を受容した当事者には福音がもたらされるというのだろうか・・・
おのずと研ぎ澄まされる感覚が、感性を養い、豊かな音楽表現になるのだろうか。
川畠さんは、今回メンコン(メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲)を演奏された。
リハーサルに、ちょっと緊張気味に現れた彼は、それでも『よろしくお願いします』ととても丁寧に挨拶され、すっと前を向いてまっすぐに綺麗に楽器を構えた。
そして演奏が始まると、とても豊かに音を紡ぐように、そして心感じるままに自由に動きだした。
ホ短調、オーケストラの短い伴奏の後、3小節目アウフタクトでの最初の音が響いたときホールの空気が一気に浄化させられたようだった。
音楽創りにちょっと煮詰まり始めていたオケのメンバーの気持ちが、一気にすっとしてそして引き込まれていく様子がうかがえた。
そこには、無理やりとってつけたような表現も、過激なアゴーギグもない。
ただ、自然に、音が紡がれ、そして、気持ちとともに流れ進んでいく。
彼の演奏は、まさに自然体だから、どう表現していきたいのか、感じられる。
そして、彼と同じ気持ちになれば、同じ方向へ音楽を感じられ、そして余計な言葉での説明なんか要らなくて物事は進んでいくのだ。
背中や、腕の動きもそれを教えてくれるのだと、さとった。
そこに自分も呼吸を合わせるようにすると、自然と流れがつかめる。
悲しい調べの中でただおぼれるでなしに、力強さやつややかさ、しなやかさを兼ね添え持つ。
悲しみと喜びは、表裏一体。
ただ殺すような貧弱なのではなく、奥に秘めたような、繊細さ
無理やりに乱暴なのではなく、底からくる力強さ
それは川畠さんの個性であるのか、バイオリンという楽器の音色の特性であるのか・・・
しかし、彼の奏でる旋律は心の奥底まで染み透ってくる。
説得力があるのだ、だけど、けして押し付けられるものではない。
なんだか、納得できてしまうのだ。
きっとこの人となり・・・があるのではないかともおもう。
音楽は、人から生まれるもの。人が関わる音でのコミュニケーション。
それらはすべて一期一会なのかもしれない、川畠さんと作り上げた音楽の時間も、きっとそう。
送り手と受け手・・・表現者と鑑賞者・・・魂たちとが触れ合う瞬間・・・
同じステージにたてて、貴重な体験、本当によかった。
【川畠 成道 さん オフィシャルサイト】
http://www.kawabatanarimichi.jp/
世界的なヴァイオリン奏者ともなれば、『名器』といわれるものをお持ちなんでしょうけど、
その由緒ある楽器を演奏されているからすごいのか?・・・というだけじゃないようです。
川畠成道さんのことは、ずっとお名前は存じ上げていた。
幼い頃に服用した風邪薬が原因で、視覚障害を引き起こしてしまったという。
その悲しみや、苦しみは想像し得ない・・・
もし私がいま耳や、目がいつものように動かなかったら・・・。
しかし、運命を受容した当事者には福音がもたらされるというのだろうか・・・
おのずと研ぎ澄まされる感覚が、感性を養い、豊かな音楽表現になるのだろうか。
川畠さんは、今回メンコン(メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲)を演奏された。
リハーサルに、ちょっと緊張気味に現れた彼は、それでも『よろしくお願いします』ととても丁寧に挨拶され、すっと前を向いてまっすぐに綺麗に楽器を構えた。
そして演奏が始まると、とても豊かに音を紡ぐように、そして心感じるままに自由に動きだした。
ホ短調、オーケストラの短い伴奏の後、3小節目アウフタクトでの最初の音が響いたときホールの空気が一気に浄化させられたようだった。
音楽創りにちょっと煮詰まり始めていたオケのメンバーの気持ちが、一気にすっとしてそして引き込まれていく様子がうかがえた。
そこには、無理やりとってつけたような表現も、過激なアゴーギグもない。
ただ、自然に、音が紡がれ、そして、気持ちとともに流れ進んでいく。
彼の演奏は、まさに自然体だから、どう表現していきたいのか、感じられる。
そして、彼と同じ気持ちになれば、同じ方向へ音楽を感じられ、そして余計な言葉での説明なんか要らなくて物事は進んでいくのだ。
背中や、腕の動きもそれを教えてくれるのだと、さとった。
そこに自分も呼吸を合わせるようにすると、自然と流れがつかめる。
悲しい調べの中でただおぼれるでなしに、力強さやつややかさ、しなやかさを兼ね添え持つ。
悲しみと喜びは、表裏一体。
ただ殺すような貧弱なのではなく、奥に秘めたような、繊細さ
無理やりに乱暴なのではなく、底からくる力強さ
それは川畠さんの個性であるのか、バイオリンという楽器の音色の特性であるのか・・・
しかし、彼の奏でる旋律は心の奥底まで染み透ってくる。
説得力があるのだ、だけど、けして押し付けられるものではない。
なんだか、納得できてしまうのだ。
きっとこの人となり・・・があるのではないかともおもう。
音楽は、人から生まれるもの。人が関わる音でのコミュニケーション。
それらはすべて一期一会なのかもしれない、川畠さんと作り上げた音楽の時間も、きっとそう。
送り手と受け手・・・表現者と鑑賞者・・・魂たちとが触れ合う瞬間・・・
同じステージにたてて、貴重な体験、本当によかった。
【川畠 成道 さん オフィシャルサイト】
http://www.kawabatanarimichi.jp/
周りと一体化するって言うのか。
ずっと前からここにいましたっていう感じなのかな。
本当にすばらしいですね!