misty green and blue

Life is like an onion...

a ray of light

2016-02-14 | books


少女時代の夢は、デザイナーもしくは漫画家になることだった
そのきっかけとなったのが、一条ゆかりの漫画『デザイナー』である

育児放棄、後遺症、窃盗、未成年者飲酒、共依存、近親愛、同情婚、修羅(報復)、自殺、失踪、幼児退行―
少女漫画とは思えないほど様々なタブーが盛り込まれた愛憎劇は、衝撃的だった


不慮の事故による後遺症(跛)を機にトップモデルの座をあっさり退いた亜美は、モード界の女王・年齢不詳の鳳麗香が生みの親と知るや、不意に現れた彼女の秘密を知る敏腕の青年実業家・結城朱鷺の助言・援助により不本意ながらも母親と同じ道を歩み始めるが、成功と引き換えの孤独、失恋による自殺未遂等、矢継ぎ早に悲劇が彼女を襲い、追い詰められた亜美が最後に選んだのは........

プライドの高さは互角ながらもデリケートな亜美と強かな麗香
相反するふたりの拮抗が織り成す絶望と不屈
そのふたりを取り巻く複雑に絡み合う人間模様―

年齢・苗字・生い立ち等が謎に包まれた、実年齢18歳のカリスマ的ファッションモデルから突如目の前に現れた青年実業家・朱鷺の助言でデザイナーに転身し、麗香の地位を脅かすほどめきめきと頭角を表した亜美
「女である前にデザイナー」が信条、トップであり続けることに執念を燃やし、亜美が過去に手放した実子と知った後もライバルと見做して競い合い、敗北を認めた後も一から出直す、実年齢30半ばの麗香
孤児院から引き取られてより大富豪・結城力の跡取りとして厳しく育てられ、養父亡き後若干16歳にして大財閥のオーナーとなるも、実際は二卵性双生児である亜美を利用して実母・麗香への復讐を企てる、レミー・マルタンをこよなく愛する朱鷺
朱鷺を「若」と慕い、朱鷺の幼少時から常に付き添い、朱鷺以外の人物は眼中になく、朱鷺が亜美を愛し始めたことを察知するや否や、亜美への嫉妬心から出生の秘密をマスコミに暴露、亜美を自害へと導く遠因となる柾
麗香の妊娠を知らずに泣く泣く別れた苦い過去を持つファッション雑誌『イフ』のやり手編集長であり、亜美が初めて心を開き想いを寄せた初恋の男性且つ実父の青石
自分にないものを持つ亜美に憧れを抱くモデル仲間且つ唯一の友人であるが、密かに明を愛し、亜美の身代わりで彼の子供を身ごもるアリサ
モデルキラーの異名を持つファッションカメラマンながらもその実、亜美を一途に愛し、自殺未遂を起こした傷心の亜美を労わる心優しき相棒の明


悲観的な結末ながらも、私をして希望を抱かせたのは、責任を取ってアリサと結婚した後の、明の台詞だった (*)

 亜美の失踪―
 あいつの行くところなど、どこにもありはしない

 約束したんだ、俺は
 あいつのために泣いてやると
 
 すまないが、今日だけはあいつのために泣かせてくれ



静かに男泣きする明は―
イジメに遭い、苦しんでいた当時の私の心をも解き解す、“一筋の光”に思えた



【註】
(*).....うろ覚えのため、正確ではないが悪しからず


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