先日発売されたばかりの安室奈美恵のDVD「BEST FICTION TOUR 2008-2009」。
ライブに参加した人でこの映像を観た人は、
改めて、最高のフィクションというツアータイトルのその意味を確認できたのではないだろうか。
ライブに参加せずに観た人は、ただ、ただ、圧倒されたことだろう。
俺が参加した時にはまだ「Dr.」が披露されることはなかったので、
今回初めてDr.のダンスパフォーマンスを観たのだけれど、最高にかっこよかった。
同曲のアニメーションPVイメージが完全に吹き飛んでしまうくらいの最高のパフォーマンスだった。
安室ちゃんのダンスバージョンのPVを出してもいいのでは?と思ったくらいだ。
(もちろんアニメのPVも最高です)
ただ・・
それだけに・・・
カメラワークが非常に残念・・・。
それは、Dr.に限らずの話なのだが、
きっとそれは、カメラマンや編集する人の感性なのだろうけど、
その映像を作った当人が解説をしなければ分からないようなレベルの感性は、
安室ちゃんのDVDでは必要としないのではないだろうか。
あのカメラワークにした理由をどう説明するのかを想像してみるが、、答えが出ない。
俺はどちらかと言えば、日常の中で相手が突拍子のない意見を言ってきたとしても、
その人が何故そういう意見を言ったのだろうかというスタンスで物を考える人間。
そんな俺でさえも、あのカメラワークの理由が分からない。
数日前、NHKテレビジョンにて、
坂本龍一氏が爆笑問題の番組で語っていたことを思い出した。
「凄いと感じる音楽は簡単。多くの人に認めてもらう音楽の方が難しい」という言葉。
その説明をしながらグランドピアノの鍵盤を適当に弾いて、
更にはパックリと口を開いた大屋根の部分に腕を突っ込み、
むき出しになったピアノの弦を直接指で弾き音を出すというパフォーマンスをしてみせた。
もちろん適当に弾いているから、その音自体はメロディーを奏でてはいない。
しかし、なにか、こう、「それっぽい感じ」「よく分からない凄さ」みたいなのは感じた。
が、それはあくまで「よく分からない」という領域からは脱することのないレベルでのそれ。
そして坂本氏は、その「適当なパフォーマンス」をしながら、
「この通り、凄いと感じる音楽は簡単に出来る」と言い放った。
なるほど。
何がしたいのか分からないようなカメラワークはただのマスターベーションと同じ。
たとえカメラが頻繁に切り替わったとしても、
たとえカメラが切り替わった直後がピンボケ映像だったとしても、
それが完璧に音やダンスとリンクしていたとするのなら、それもアリだろう。
まるでターゲットスコープでその獲物を捕らえるかのように狙い撮りするような、
そんな状態でのピンボケ、そしてその修正、、それならば十分理解出来る。
しかし、今回のそれはどうみても音、ダンスとずれている。
つまりは、完璧ではない。
完璧なテクニック、技術を披露出来ないのなら、
そのテクニックのランクを一段階落としてでも、
「完璧な物」を追及するべきではなのではないだろうか。
それがDVDを購入する人に対しての礼儀なのではないだろうか。
もし、「試そうと思った場所」としてこのDVDを選んだとするのなら、
それは俺達、、、いや、
安室奈美恵に対して失礼な話だろう。
これは撮り直しのきかない、紛れもない「安室奈美恵の作品」なのだから。
決してカメラマン、編集人の作品ではないのだということ。
作品ということと手掛けたということとでは、全然別の次元の話だということ。
ボーナストラックで安室奈美恵は語った。
「もし願いが叶うのなら自分のライブを生で観てみたい」と。
映像という一枚を挟んでではなく、生で観てみたいと。
安室ちゃんのこの言葉を聞いて、
今回のDVD映像には今までにない程の厚みのある一枚を感じてしまった、
と思ったのは俺だけではないだろう。
AAAランクの技術を披露出来る資格のある人達。
圧倒的なテクニック、技術、センスを持った選ばれた人達。
そこに共通するのは「完璧」という二文字。
そのAAAという最高の技術に「参加」して納得するレベルではないということ。
参加した以上は、それが「完璧」でなければいけないということ。
この「完璧」という言葉の重要性・・・それを今一度考えてもらいたい。
安室奈美恵は「最高のフィクション」を完璧に魅せたのだから。
紛れもない「最高のプロフェッショナル」を魅せたのだから。
俺は見ての通り、氷室京介のファンでもある。
その氷室が出したDVDに「KYOSUKE HIMURO TOUR 2007 IN THE MOOD」がある。
このブログでもその映像技術を賞賛した作品だ。
物凄い勢いでのカメラの切り替わり、カメラの上下左右の揺れ、ピンボケ具合、映像加工等、
「それら全てに意味があると分かる」最高のDVDだ。
これが「プロフェッショナルのカメラワークと編集」だという手本通りの作品、、
いや、それ以上の作品だろう。
今回、この安室ちゃんのDVDを編集した方には是非それを観てもらいたい。
俺達が絶賛した最高のDVD映像を。
そう、
氷室京介が認めた「最高のテクニック」を。