枯れ葉が堆肥になる輪廻転生 田舎暮らしに農家の知恵

<46>枯れ葉が堆肥になる輪廻転生 田舎暮らしに農家の知恵|牛次郎 流れ流され80年

 最近は自分の山を購入する人が増えているという。山といっても丸々1つではなく、その一部というケースが多い。中古のマンションや一戸建てのように、物件を紹介するサイトもある。

 流行のきっかけは、ソロキャンパーとして再ブレーク中のヒロシだ。キャンプ場でファンから声を掛けられるようになったため、1人でキャンプを満喫できる場所を確保したのだという。

 お笑いコンビ・バイきんぐの西村瑞樹も、テレビ番組の企画で群馬県の草津に450坪の土地を104万円で購入した。都会の不動産に比べれば安いが、もともと農作物を育てたり自宅を建てたりするような場所ではない。価値観は人それぞれとはいえ、田舎暮らしを知る牛次郎からすれば、不思議な現象のようだ。

「山って手入れが大変なんだよ。放っておいたら、あっという間にジャングルだ。自然の復元力ってバカにできないし、実生から育った木々は強いんだよ。それに山の中の300坪とか400坪って狭いからな。3年もそのままにしていたら、どこが自分の土地なのかも分かんなくなるんじゃねえかな。山を買うのはいいけど、面倒を見る覚悟も必要だよ」

 田舎の山や土地を買う人には、事前に知っておくべき常識が多いという。例えば枯れ葉や生ゴミの処理だ。

「うちの寺もこれだけ落葉樹が生えていると、毎年、とんでもない量の落ち葉が出る。積み上げるとゆうに背丈ほどになるだろう。焼却炉で燃やせればいいんだけど、消防署がダメだっていうから、あっても使えない。それで今は穴を掘って、そこに捨てている。すごい量になっても、半年で半分になり、1年も放っておけばぺっしゃんこだよ。これがいい堆肥になるんだ。ゴミ袋に入れて捨てる必要なんてないし、ホームセンターで肥料を買う必要もなくなるよ」

 実はこれ、農家の知恵だそうだ。

「百姓って、すごいんだよ。彼らは木の生え方から地質から、なんでも知ってる。落ち葉についてだって、畑の一角に堆肥置き場を作って、そこに全部放り投げている。これが堆肥となって作物の栄養素に化けるわけだ。化学肥料だけじゃ育たないんだよ。葉っぱを肥料として植物が育ち、時期が来れば葉を落とす。それがまた作物を育てるのに使われる。そうやって輪廻転生しているんだ。日本では四季があるから、それがわかりやすい。昔は人糞も使っていたけど、実はあまり効かないんだよ。それよりも牛糞や馬糞がいい。特に馬はワラを食べるから、そのフンを土に混ぜれば、土が呼吸をして作物が育ちやすいんだ。これも百姓の常識だな」

 田舎暮らしでは、水についても知っておかなければならないことがあるという。 =敬称略、つづく

(取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ) 

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