日本で借金して米株を買うので円安と米株高は連動します
日
本で借金して米株を買っている
2024年5月17日 に米ダウ平均は史上初の4万ドルを超え、20年11月の3万ドル到達から3年半の短期間で達成した
アメリカ経済はインフレ懸念や高金利で失速するという見方が強かったが、4万ドル突破を受けてアメリカの成長力への期待が再燃している
同じころ日本では為替相場が1ドル160円に到達し日銀が円買い介入したが、今のところ1ドル155円程度で再上昇を伺っている
市場では円ショートが継続しているという見方が強く、高金利で株高のアメリカドルを買う動きが続くという見方が広まっている
円ショートとはドルに対して円を売る事で、この動きによって1ドル100円以下から160円になったのだが「ドルを買った人はどうするのだろう?」という疑問が浮かぶ
アメリカの預金金利が高いと言っても年0.15%程度なのでこれは論外、米国債10年物の利回りが4%台なので少しマシだがリスクを負うほどではない
ダウ平均などの米株を買えば3年半で33%、年10%もの利回りが期待できるので皆日本で借金してアメリカ株に投資しているのです
超低金利の日本で借金して株高のアメリカで投資すると寝ていても年10%の利益を得られるというのが円安・米株高の正体でした
これを円キャリートレードとも言い2000年代前半も盛んで米株高の要因になり、リーマンショックで弾けたのだがまた復活しました
例えば貴方やわたしが株ドットコムとかで米株連動投信を1万円買うと、1万円分の円を売って米株を買ったことになり1万円分円安ドル高になります
日本で借金して米株投資するのは日本人だけではなくアメリカの投資家やヘッジファンドなどもゼロ金利の日本で借りて高金利のアメリカで投資しています
バフェットとかが日本株を買う時はドルを円に変えたりせず、日本でお金を借りて日本株に投資すると様々なコストがかからない
中国は高金利で金を貸して債務の罠に嵌めていますが、日本は借金した人にお金を差し上げる「債務のプレゼント」をしている
金融庁などによると日本の金融機関がお金を貸し出している平均金利は1%未満で、インフレ率は2%なので借りれば借りるほど得です
最後はバブル崩壊で終わる
さらにアメリカではインフレ率3%台で株価上昇率は10%にも達するので、日本でお金を借りて自国に投資すると100%儲かります
だがこの美味しい話には欠点が一つあり、いったん円高が始まると一気に1ドル100円を割り込むと予想され逃げ遅れたら大爆死します
「こんなに円安なのだから円高にはならない」と思うでしょうが、この円安は円キャリーと日本政府の円安誘導(金融緩和)によって人為的に作り出された相場です
本来の為替相場は2国間の取引でお金が移動し、黒字国の通貨が上昇し赤字国の通貨は下落することになっています
日本は毎年10兆円から20兆円の経常黒字国で、アメリカはなんと23年に8188億ドル(約124兆円)の経常赤字だった
本来米ドルが上昇するのはあり得ない事なのだが日本で借金して米株に投資する不自然な投機と、円安にしたい日本政府の金融緩和のWパンチで円安ドル高になった
こういう不自然な相場が最後にどうなるかは2007年から2010年の世界経済危機で分かっていて、2007年春に1ドル124円だったのが2011年に1ドル75円の円高になりました
ここで注目すべきなのは日米の経常収支を計算すれば実は「1ドル75円」が正常値だという事で、2007年も円キャリーで米株投資し日本政府は円安誘導して1ドル124円の円安になっていた
その当時円が安くなったので「北欧では水が1000円」「ロンドン地下鉄の初乗り500円」「そうだ欧米で働こう」と今と同じ事をマスコミは言っていた
円安を背景に日本の経常利益は膨れ上がっているので為替は逆に円安に動いていて、まるで「リンゴが下から上に落ちる」のを見せられているようです
米株はダウ平均4万ドルを受けて5万ドル嫌10万ドルだという声が出てくるでしょうが、アメリカの実態は成長どころか実質マイナス成長になっています
アメリカの平均は超大富豪によって成長しているものの中間層以下(7割以上)の人にとってはインフレで収入が目減りするマイナス成長に陥っています
このブログでも何度も取り上げたが年収700万円や1000万円の家庭が保険や医療費や家賃上昇のせいで毎月赤字で、カードでお金を借りて生活費を工面している
これを続けられるかというと絶対に不可能です