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【大手町の片隅から】乾正人 共産党「復活」の秘策教えます
産経
統一地方選前半戦が終わり、各政党の盛衰がはっきりとした。
中でもかつて自民党と55年体制の一翼を担った社会党を引き継いだ社民党が、41道府県議選で3議席しか獲得できなかったのは哀れを誘った。改選前の5分の1という激減ぶりで、新興の参政党にも抜かれた。
5分の1に激減した社民党
29年前、社会党議員最後の首相となった村山富市氏を取材した身としては、感無量である。齢(よわい)99歳を数える村山翁の心中はいかばかりか。
もう一つ、議席数を大幅に減らした政党がある。共産党だ。
共産党は道府県議選で改選99議席から4分の1近い議席を失った。
伝統的に共産党が強かった京都でも府議選で12議席から9議席、市議選では18議席から14議席と退潮が目立った。統一地方選前に「党首公選制」を唱えた京都の古参党員2人が相次いで除名された一件が響いたのは間違いない。
それに加えて党員の高齢化が進み、日頃は強気発言が売りの小池晃書記局長でさえ、「党の自力が低下している」と認めざるを得ないほど。こういうとき、自民党なら総裁は引責辞任し、時を置かずに総裁選をやって国民の耳目を引き付け、表紙だけ替えて乗り切ろうとするものだが、民主集中制(つまりは独裁)をモットーとする共産党では無理な話。このままでは、社民党の二の舞いになるのは明らかだ。
では、どうすれば「復活」できるのか。アカの他人の共産党を助ける義理はさらさらないのだが、志位和夫委員長の困り果てた顔を見ると放っておけない性分なので、一つだけ秘策を伝授しよう。
「自らに正直に生きよ」
ヒトも政党も、本当の自分を偽り続けていれば、成長どころか退行してしまう。立憲民主党の小西洋之議員もいやいや謝らないで、「そんなのはサルがやること」と言い続ければいいのに。話が横道にそれた。
憲法9条に反対していた
共産党は今でこそ社民党同様、「護憲政党」を売りにしているが、連合国軍総司令部(GHQ)に押し付けられた日本国憲法を審議した昭和21年8月の第90回帝国議会で、ただ一党、反対した生粋の「改憲政党」だったのである。
日本共産党百年の歴史の中で、唯一、燦然(さんぜん)と輝く功績といえよう。
長く共産党に君臨した野坂参三議員は、反対討論で憲法9条をとりあげ、「わが国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある。それゆえにわが党は民族独立の為にこの憲法に反対しなければならない」と獅子吼(く)した。
誠に正論である。因(ちな)みに同じ本会議で尾崎行雄翁は、こう演説した。
「(新)憲法は、彼(明治憲法)に比すれば、非常に優れたものである。優れれば優れるほど、知識、道徳のなお低いわが国人民に於(お)いては、実行は困難であるということを覚悟しておかなければなりませぬ」
終戦直後とはいえ、なんと卑屈な言動か。憲政の神様どころか、哀(かな)しき日和見主義者でしかない。
志位同志は、今こそ同調圧力に屈しなかった野坂同志に学ぶべきである。えっなに? 野坂同志は、百歳のときに除名されたんだって?
ではまた、再来週のこころだぁ!(コラムニスト)
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