今、米国の金融業界に起きていること

大前 研一
今、米国の金融業界に起きていること

資金繰り倒産

米政府がリーマンを見捨てAIGを救済した理由
銀行や生命保険会社と、証券会社、投資銀行の大きな違い

ベアー・スターンズが教訓になってリーマン・ブラザーズは見捨てられた
ベアー・スターンズは破綻を迎えた第1号だったからだ。
ベアー・スターンズはサブプライムローンを小口債券化し、CDOという紛らわしい債券を世界中にばらまき始めた張本人
FRBにとってベアー・スターンズは一つの教訓になった。いまでは金融機関が破綻した場合はどう対処すればいいのか、政府も心の準備ができている。これからは手際よくつぶすこともできる。その第1号がリーマン・ブラザーズだったというわけだ

政府がAIGを見捨てられなかった一番の理由
一番の要因はAIGが手がけていたCDS(Credit Default Swap)

わたしはこの法案自体の効果には懐疑的である。また、今必要な500兆円規模の流動性供給装置の役は果たせない。今、米国で必要なのは不良債権買い取り機構ではなく、信用維持装置、すなわち流動性を供給するガソリンスタンドのような給油所である。

流動性の危機は、実は現に起きつつある。それは「サイバーパニック」である
インターネットバンキングでの実質的な取り付け
1929年の大恐慌で見られなかった現象がある。21世紀にはうわさ一つで静かに、電子的に銀行が破壊される、ということが明らかになった

今回の危機は、クリントン政権以来続いていた「それいけドンドン」の米国経済の行き着いた果て であった。クリントン時代は株式市場の景気が良かったが、ブッシュ時代に移ってからは住宅市場に変わっていった。そして住宅にまつわるさまざまな高度な債券化が徘徊した挙げ句、八方ふさがりの状態・・・IMFが介在した韓国危機と異なり今回は米国が一人で次々に手を打っている。

 しかし、世界中にドルと国債をばらまいた米国がさらに大判振る舞いする政策は他の国にとっては最悪のシナリオである。米国債の45%は米国人以外が持っている。特に日本は600兆円も抱え込んでいる。そのほかに貿易黒字などでため込んだ外貨準備が100兆円ほどある。米国の金融危機で一番痛手を受けるのは日本である。だから、米国にこれ以上輪転機を回させないことがかぎとなる。世界中の政府も同じ思いであろう。

 ということは、米国発の世界恐慌を防ぐには新たな世界組織が必要で、ポールソン一人に任せていてはいけない ということである。米国がいかにポイントのずれた政策を混乱の中で乱発しているか、上記論文を読んで 是非その実態を把握していただきたい

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