適正価格

私の好きな生地（柄）は、ブランドものやキャラもののように高価ではないけれど、落ち着いた色合いでかわいさのあるもの。明確な基準はないものの、こだわって選んでいるので、自分の中で惜しい感じのものは選択肢から厳格にはずします。ポップ系でもガーリー系でもなく、言うならばメルヘン系？ファンシー系？やっぱり、自分の気持ちが上がる生地でないと、楽しんで作れません。

委託先がオープンしてから1年ぐらいは、「ほぼ材料費」という商品ばかりでした。その相場の中に自分の値段（と言ってもそんな無謀な値段ではないですよ）を持ち込む勇気がなくて躊躇していたのですが、ダメ元で3ヶ月、と思って始めてみて早2年。委託先が再三「安すぎる。適正価格をつけて下さい」と働きかけてくれたおかげで、全体の相場が大分上がりました。

ただ、適正価格って難しい。1つの商品を完成させるまでには、

商品開発
型紙作成
材料を探しに行く交通費
材料を探す時間（人件費）
材料を取り寄せる送料
材料費
生地の地直し
裁断
接着芯貼り
縫製
アイロン
値札・商品説明作成

などの時間と手間と経費がかかっています。時間＝人件費。買って下さるどなたかのために、家事や育児やのんびりする時間を割いて製作しているので、対価は頂かなければなりません。今時、パートに行けば時給1,000円前後。その金額を自分に設定するとします。例えばこのマスクケース。どんなに頑張っても、上記の工程全てで最低でも1個2時間はかかります。その時点で2,000円の人件費。材料費1,000円かかったとして、原価3,000円。そして、人件費はあくまでも経費であって利益ではないので、利益率50%だとしてプラス1,500円（この辺、詳しくはないので間違っていたらごめんなさい）。

4,500円になってしまいました買います？買わないですよね～ハンドメイド品を市販品の値段で売ろうとすると、利益だけでなく人件費も回収できないのです。趣味で起業できて、確定申告が必要なほど家計が潤ったら、そりゃ嬉しいですよ。人に「仕事してない」とは言わせない（実際、今でも1日中仕事しっぱなしです）。ただ、私としては何よりもまず、好きなものを好きな材料で好きなように作ることが楽しい。それを気に入って下さって、買って下さる人がいたら嬉しい。アマチュア精神なのかもしれませんが、今のところ私はそういうスタンスです。

委託先がリニューアルに伴いかなり路線変更するようなので、それに合わせて全力投球するのか（ん～でもそれはないかも？）、今まで通りの製作をしながらテイストを合わせた商品を少量製作して納品するのか、自分の中で2つのテイストを抱えるとそれに伴い在庫も増えて管理が大変になるので委託をやめて通販（オークション等）のみにするのか、悩むところです…。