
翠(=イブ=ミロク) の語りの続き
(今回、初めて思い出したことを含む)
…それからまもなく、お釈迦様と弟子達の一行は町を去った
18才位だった私は非常にお話に惹かれたが、ついて行くわけにいかない
また家庭教師のスートンナンについたり、バラモンの神官になる準備を始めた…
だが思いは断ちがたかった
その頃、私はお釈迦様の語った「サットヴァ」(菩提薩埵、ぼだいさった、菩薩のこと) が妙に気になり始めた
悟りを得る前のお釈迦様のことだが、私もそのように、 (悟りを得る直前の状態に) なれないかなーと、思い始めた
また、バラモン教にはない、「ニールヴァーナ」(涅槃) という言葉も斬新だった
私を、あらがい難い何者かが呼んでいるようだった
私は沈むようになり、このままでいいのだろうか、今まで通り父の敷いた道の上を歩むべきなのか、大いに迷った
その頃、私はある師範についた
師範と言っても市井の人で、仏教徒だった
私はひそかに、外出するふりをして、彼のもとに通った
つかの間の間だったが、お釈迦様の教えについて、いろいろ教えていただいた
彼は、クーメルンと言い、私よりは年上だった
行商で生計を立てていたが、偉い人だった
妹と共に病身の母親を支え、黙々と働いた
私は町へ出た時に、人々の会話から真面目な仏教徒らしい彼の名前を聞きつけ、その家を訪ねた
バラモンの私の訪問に、彼は大いに驚いたが、意図を察してくれた
ニ、三度会う内に、気心がわかり、お釈迦様の話の骨子を何回か聞くことができた
が、やがて彼は私と会わなくなり、 (都合が悪いと言って) どうしたのかと思っていると、母親の容態が急変し、なくなり、それを機に自分は別の遠い町に移るとのことだった
どうして別の町に行くのか、わからなかったが、その方が商売に都合がよいらしい
気がつくと、彼はいなくなっていた
私は残念だったが、これも神様が与えた短いご縁と思った
さて、悶々としている内に、父に再婚話が持ち上がった
父ももう年老いてきており、老後の面倒をみてくれる者がほしくなったらしい
やや若い女性が候補に上がった
この女性はしっかりして気が強そうであり、私は少し苦手に思っていた
同時に、私にも婚約者をとの声が上がり、私はバラモンの神官の見習いを始めて、少し板についたら、と言って先延ばししていた…
婚約の候補の女性は一族の者で、私にはもったいない位の、目の大きい、卵形の顔の美人であり、落ち着いて貫禄も少しあった
たまに集まりで会い、目を見交わすと、彼女は照れくさそうに微笑んだ
が、私は嬉しくなかった
なぜだろう……
不思議と私の幸せは、そこにはない気がしたのだ……
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