だから 木のフルート吹くよ
壺中日月長】(こちゅう じつげつながし)
「壺中」というのは、壺の中の世界のことで、ごく限られた、小さな世界のことです。それはまた、別天地、仙境でもあります。
「日月長」とは、非常に穏やかな、のんびりとした時間がいつまでも流れているということで、この句は、壺のように小さな世界でも、平和に日が送れるという意味です。
『後漢書』には、費長房(ひちょうぼう)という人が、壺公(ここう)と呼ばれた薬売りの老人の持つ壺の中に入り込んだ所、中には立派な宮殿があり、費長房はそこで、様々な歓待を受けて戻って来ました。わずか十日ほどだと思っていたのが、実は十数年経っていた、という物語が紹介されています。
それが「壺中日月長」なのですが、この「壺中」は必ずしも空間的な
意味ではなく、時空を超越した心の別天地をさすのです。