DEAE-デキストラン法
- ジエチルアミノエチル(DEAE)― デキストランは、糖質ポリマー(デキストラン)のポリカチオン性誘導体で、核酸の培養哺乳類細胞への導入に用いられた最初の化学試薬の一つです(Vaheri and Pagano, 1965)。カチオン性DEAE デキストラン分子は、負に荷電した核酸骨格に強固に結合します。これにより生じた核酸 DEAE デキストラン複合体は正味の正電荷を持つため、細胞膜に付着し、エンドサイトーシスあるいはDMSOまたはグリセロールによって誘導される浸透圧ショックにより細胞質に侵入します。
DEAE デキストラン法の利点は、比較的シンプルで、再現性が高く、低コストである点です。欠点は、細胞毒性、幅広い細胞タイプにおける低いトランスフェクション効率(典型的には初代細胞で10%以下)、ならびにトランスフェクション処理中に血清含有率の低い培地を使用する必要がある点です。また、この手法の使用は一過性トランスフェクションに限定され、安定細胞系の作製には適しません。