キュリー夫人を語る20:ラジウム抽出技術で特許を取らなかった

2010年07月07日 00時11分27秒 | 日記
火曜日


キュリー夫人を語る20
◇ 創価女子短期大学 特別文化講座 キュリー夫人を語る 2008-2-8

悲観主義でなく楽観主義でいけ
 一、フランスの故・ポエール上院議長は、私が20年以上にわたって、お嬢さんやお孫さんも含めて、家族ぐるみで深く親交を結んだ方です。
 第2次世界大戦で、命がけでレジスタンス運動を戦い抜いた正義の闘士です。

 その議長が政治家を目指したきっかけは、戦火の中だったという。
 議長は、防空壕を掘って、自分は死んでもいいから一人でも多くの人を救いたいと救助に当たっていた。
 その時、「自分には人々を安心させる力がある」と気づき、政治家への道が始まったと回想しておられました。

 ポエール議長は青年に対し、こう語られています。

 「将来を信ずることです。勇気と希望を失わないことです。未来へ参加していくことです。青年なくして未来はありえない」

 「絶対に悲観主義ではいけない。楽観主義でいくべきです。物事は、いろいろと変化していくものですから」

 「また何かやろうとするときは、自分自身を信じることです」

 幸福は、どこにあるのか。
 それはわが生命の充実感の中にある。そしてこの充実感は、労苦を勝ち越える挑戦から得られる。
 人知れぬ地道な、信念に徹する闘争のなかに、何ものにも侵されない、人生の喜びと悔いなき満足が生まれるのです。


 「ラジウムは万人のもの」
 一、1903年、ピエールとマリーの二人は、放射線研究の先駆者であるアンリ・ベックレルとともにノーベル物理学賞を受賞します。
 ラジウムは、にわかに世界の注目を集めました。ガンの治療などに効果があることが明らかになってきたからです。

 今日、ガンに対して用いられる放射線治療は、「キュリー夫妻のラジウム発見に始まる」と言われています。
 世界のさまざまな国が、ラジウムを求め始めました。しかし、
ラジウムを抽出する技術を知っているのは、キュリー夫妻だけです。

 この技術の特許をとれば、莫大な財産を築くことができる。子どもたちの将来の生活も保障してあげられる。何よりも、立派な実験室を持って、思う存分、研究に精を出せる──。

 あるときピエールが、この考えについて、マリーに尋ねました。マリーは、こう答えた。
 「それはいけません。それでは、科学的精神に反することになるでしょう」
(エーヴ・キュリー著、川口篤ほか訳『キュリー夫人伝』白水社)

 「ラジウムは病人を治療するのに役だつでしょう......。けれど、それから利益を引き出すなんてことは、わたしできないと思います」(同)
 ピエールも、マリーの意見に同意しました。

 のちにマリーは、特許をとれば大金持ちになれたのにと話す人に対し、毅然と答えています。
 「誰もラジウムでお金持ちになってはいけません。あれは元素です。ですから万人のものです」(オルギェルト・ヴォウチェク著、小原いせ子訳『キュリー夫人』恒文社)

 二人は、健康を害し、寿命を縮め、筆舌に尽くせぬ苦闘を通して得た技術を、世界に、人類に、未来に捧げました。
 その生き方は、仏法で説く「菩薩道」の人生と深く一致しています。



撰時抄278p

孔子は九思一言・
周公旦は沐には
三にぎり食には
三はかれけり
外書のはかなき
世間の浅き事を習う人すら
智人はかう候ぞかし


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