『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
観てきました。
自分の境遇に不満をつのらせていた百合が第2次世界大戦真っ只中の昭和20年6月10日にタイムスリップ。
そこで初めての恋に落ちる。彰という特攻隊の青年に。
何度も涙が溢れて止まらなくなってました。
百合と彰の恋、石丸と千代の恋、家族を想う寺岡、許婚を残してきた板倉。
様々な方の想いが詰まった作品。そしてましゃの『想望』が皆の想いに寄り添って作品の余韻を更に増長させる。映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は主題歌がなければ未完成と言ってもいいくらい、主題歌が映画の最後を締めくくっている。
本当に素晴らしい作品でした。
【あらすじ】
高校生の百合。推薦で大学受験が出来る程成績が良く担任に褒められていたがお金がなく就職を希望していた。百合の父親は他人の子供を助け亡くなっていた。母親はスーパーの鮮魚コーナーのパートとコンビニのパートを掛け持ちをしていた。こんなに貧しく苦しい生活は父親のせいだと不満をつのらせていた百合は家出をした。じきに大雨が降り雨宿りの為に近くの防空壕跡地で一夜を過ごしていると雷が落ちる。目が覚め外に出ると見慣れない風景が。
百合は第2次世界大戦真っ只中の昭和20年6月10日にタイムスリップしていた。
タイムスリップした事を知らない百合が知っている場所を探していたが、炎天下で体力が削られていき座り込んでしまう。
熱中症で弱っているところに特攻隊員である彰が通りかかり自分の行きつけの食堂「鶴屋食堂」に連れて行く。そこで百合は新聞を見て初めて自分が昭和20年にタイムスリップしたことに気づく。
もう一度防空壕で一夜を過ごせば元の世界に戻れるかもしれないと試みるが、目覚めても何も変わらなかった。行き場のない百合に鶴屋食堂の女将であるツルが住み込みで働くよう勧めてくれ、百合は鶴屋食堂でお世話になることになる。
数日後、「陸軍航空隊指定食堂」の鶴屋食堂に特攻隊員である彰とその仲間が訪れた。彰の仲間には家族や許婚を残してきた者がいた。百合は鶴屋食堂の看板娘のように人気者になるが不安そうな顔をする百合を気遣い、一面の百合の花の咲く丘に連れて行き彰はこの丘の香りが好きなことや百合は自分の妹に似ていると話し百合を元気付ける。
ある日、百合は戦災孤児の痩せ細った小さな男の子が空腹で座り込んでいるのを発見。その子に野菜をあげて「早く日本が負けて戦争が終われば普通の生活に戻れるのに」と言ってしまう。そこで通りかかった警官の耳に入り憤慨。百合を高圧的に問い詰めるが百合も負けずと反論する。警官は「非国民」と百合を怒鳴り警棒で殴る。さらに殴りかかろうとする所を彰が庇い代わりに殴られてしまう。警官は庇った彰に殴りかかろうとするが「神様を殴るのか」とツルが大声を上げる。ツルの声に続いて周りから罵声が警官に向かって飛び交い、警官はその場を後にした。百合は2人に謝りながらも、こんな戦争が正しい訳がないという思いは抑えられなかった。
そんな中、ツルのお使いで外出した百合は大きな空襲に遭遇し、地獄のような惨状を目の当たりにしてショックを受ける。ツルのことを心配した百合は火の海の中を戻り鶴屋食堂に向かったが、焼け崩れてきた家の下敷きになり足を挟まれて動けなくなってしまう。命の危険を感じ彰の名前を叫ぶことしか出来なかった。そんな中を必死の思いで現れた彰に間一髪のところで救出される。百合は何度も危ない所を助けてくれた彰に惹かれ慕うようになっていく。
だがついに彰達が3日後に出撃命令が出たことを鶴屋食堂で石丸(彰の仲間)に告げられる。ツルは隊員達に「おめでとうございます」と言葉にするが、百合にはどうしても理解が出来なかった。特攻を誇りを持っていてもやはり「怖い」と思ってしまった板倉(彰の仲間)は逃げ出してしまう。百合と彰に見つかった板倉は空襲で下半身不随になった許婚を置いて置いては征けない。許婚は自分が支えなければと泣きながら話す。百合達は板倉を見逃す。
そんな中、あの丘で百合は自分は彰の妹ではない、彰のことが好きなんだと初めて想いを伝える。そして日本は負けるのに征く意味はあるのか?征く必要はあるのか?逃げても良いのでは?と特攻に征かないように何度も頼み込む。負けても日本は奴隷にはならない。いい暮らしができるようになる。と伝えても「自分が征がなければ」と彰の気持ちが揺らぐ事はなかった。彰は特攻隊であることを誇りを持っていた。百合にはそれが辛かった。
特攻の前日、百合は鶴屋食堂で隊員の皆と最後のお別れをし最後に彰にすがりつく百合を彰が抱きしめる。百合はこれ以上は彰に迷惑がかかると諦める。
当日百合は昨日お別れをしたから。と彰のお見送りには行かなかった。そんな百合の目に留まった箱。以前ツルが特攻が決まった隊員の手紙をその箱に入れていたことを思い出す。箱には今回特攻に征く隊員達の手紙が入っていた。その中に彰からの手紙があることに気付き急いで彰のお見送りに行く。
特攻機に乗り出撃しようとする彰に精一杯名前を呼ぶ百合。優しい笑みを浮かべる彰の胸元には1輪の百合の花が。
彰が飛び発った後百合は倒れ意識を失う。そして目が覚めると元の時代、元の場所に戻っていた。防空壕跡地から出た百合は見慣れた風景を目にする。自宅に帰った百合はタイムスリップしてから一晩しか経っていないことに気づく。
元の時代に戻った百合は人が変わったように素直になっていた。
そんなある日、学校の社会科見学で「特攻資料館」に行くことになる。訪れた展示室には特攻隊員の顔写真や手紙等が展示されており、その中には百合もよく知っている隊員の写真や手紙があった。彰の仲間達だ。そして彰の顔写真と4通の手紙も。その最後の手紙は「百合へ」と書かれており、「君のことを愛していた」と百合に対する思いが切々と綴られていた。百合は涙が止まらず、心配する同級生たちの前で泣き続ける。
百合は「ここは新しい世界だ」と感じ「あなたたちが命を懸けて守った未来を私は精一杯生きます」と静かに誓う。
【映画情報】
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
12月8日(金)全国公開
原作:汐見夏衛「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(スターツ出版文庫)
主演:福原遥 / 水上恒司
出演:伊藤健太郎 / 嶋﨑斗亜 / 上川周作 / 小野塚勇人 / 出口夏希 / 坪倉由幸 / 津田寛治 / 天寿光希 / 中嶋朋子 / 松坂慶子
主題歌:福山雅治 “想望”
監督:成田洋一
脚本:山浦雅大 / 成田洋一
製作:映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会
配給:松竹
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