イタチ研究者のブログ

哺乳類、特にイタチの分布情報集めてます!

2種のイタチ

2020-03-21 23:55:55 | 日記

イタチ類の仮剥製の顔部分

 野鳥の写真を撮ってブログで紹介している方の多くは、哺乳類の記事も書かれることがあります。
 特に多いのは、イタチ類についての記事。夜行性の傾向があるとはいえ、昼間も活動することが多いため撮影の機会が多いのでしょう。

 現在、日本にはいわゆるイタチという動物が2種生息しています。ニホンイタチ(写真上)とシベリアイタチ(チョウセンイタチ)(写真下)です。
 ニホンイタチは、本州、四国、九州と周辺の多くの小島嶼に自然分布していますが、明治以降に北海道、沖縄、伊豆諸島(伊豆大島は自然分布)などに意図的あるいは非意図的に導入されています。
 シベリアイタチは、中国、ロシア、朝鮮半島、インド北部、ネパールなどに広く分布しています。日本で自然分布なのは対馬だけです。20世紀前半に関西(兵庫県尼崎市)と九州北部に導入されました(前者は毛皮養殖のため、後者はおそらく偶然)。
現在のシベリアイタチの日本国内の人為分布域は、本州西部、四国、九州、五島列島など。本州のシベリアイタチの分布東端は、福井県、岐阜県、長野県、愛知県と考えられています。私が知っている限りでは、これらの県の東隣りの石川県と静岡県に生息しているという証拠(標本や写真)はありません。長野県も一例だけ、糞からシベリアイタチのDNAが出たことがあるそうですが、それ以外に標本や写真での証拠は無いようです。
 現在のシベリアイタチの分布東端はどこなのか?それを明らかにするのが、私の研究テーマの一つです。また、シベリアイタチの分布拡大に伴い、ニホンイタチは生息場所を奪われているとよく言われます。しかし、その証拠はほとんどありません。2種の分布する西日本でのイタチ類の生息環境の違いも明らかにしたいと思っています。
 研究目的を達成するためには、日本各地で現地調査をする必要があるのですが、研究費があまりないのと、研究以外の業務もあるため、なかなか出かけられません。出かけずにできることとして、ときどきインターネットでイタチの画像検索をして、日本全国のイタチ類の生息情報を集めています。