泣いたら負け。そう思っている。
ひと様の前で泣くのは、ご法度。みっともないとさえ思う。
涙を武器にするような女性が嫌い。
びゃーびゃーびーびー泣きわめき癇癪を引き起こす光景を何度もみてきた。何度もわたしの食器を割り、びゃーびゃーびーびー。
あなたが謝るまで許さない。
あなたが悪いから謝りなさい。
あなたは反省するだけでいいのに。
あなたが謝ってくれれば直ぐに終わるよ。
謝りなさい。反省しなさい。謝れ。謝れ。
わたしに責任転嫁をするときの母親の文言。やりましたね、国語で。まさかの活用形。未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形。
文系脳になりたかった母親は、動詞の活用形6種類で、とにかくわたしを罵り野次る。癇癪というヒステリーを起こしながら。家中ものを叩きこわしながら。ただひたすら。
わたしは泣くことに恐怖をおぼえる。泣くと母親と同じになるから。もちろん父親から暴力のほうが体は痛かったけども。
モスキート音と金属音と工事現場のような耳に障る雑音下のなかで受けた数々の悲鳴と言葉の刃と母親のヒステリック声は忘れないと思う。この先も忘れることはない。
現在のわたし。また独りで泣くようになってしまった。わたしの涙には触れてほしくないからだ。女性だから、と舐めてかかられるからだ。わたしは、母親じゃない。母親のようにお涙で人を惹きつけたりはしない。同情なんて買わない。同情なんて要らない。
哀しくて、やりきれなくて、ただ今は独りで泣く。これでいい。わたしのことは放ってください。このブログも、わたしから誰かに教えるつもりはない。誰かの目に止まり、流し読みしてくれたら。それだけで満足だから。
わたしは人さまの前で泣かないようにする。わたしの涙は、ここだけのもの。安易な優しさなど要らない。わたしは、あの人とは違う。