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アメリカ/ 魅了された編み物生活

養子縁組

2010-02-11 15:42:11 | Weblog
                                            
借家のことが一件落着の1月も半ば。
やっと、6年ぶりに猫をもらいに行くことになった。デンバーでもボブがコヨーテ<英語ではカヨーテという>に食べられて消沈の日々を過ごしていた2ヶ月後にアニマルシェルターで養子縁組した猫がベンジーである。ベンジーはシャムネコの雑種だったが、足が長く、青い目のとてもハンサムなネコで夕方は私達と一緒に歩いて散歩するネコだった。また、ベンジーは私と息子の3人でアメリカ大陸の半分を横断してカリフォルニアまで一緒にトラックに乗って引っ越して来た、いわば苦労をともにしてきたネコだったが、カリフォルニアの2度目のアパートでネコは飼えないといわれ、泣き泣き友人の家に引き取ってもらった。
ベンジーのことを思い出すたびに、山盛り積み込んだ24フィートのトラックの後ろに乗用車を牽引してデンバーから、はるばる3日3晩ぶっとうしで運転して引越ししてきた暑い夏の日を思い出す。生涯、後にも先にも長距離トラックのような長さのトラックを運転して大陸横断の引越ししたことはこれがはじめてだった。
やっと、シェラネバダ山脈の山越えができ、無事、西海岸にたどり着いたときは息子とネコ共々本当に感激したものだった。この引越し最中には国際通話をセットした初めてのカメラフォンの携帯で、ネバダ州のリノに着いたときに日本の母にトラックから電話したときの感激もひとしおだった。私たちがこの広い大陸のどこかに生存していることを確認してくれる家族に連絡できたとき、本当に涙があふれてきたものだった。母もアメリカと日本がこんなに離れているとは思えないほどの通話の声に驚いて、私たちの無事をとても喜んでくれた。

それ以来、もうネコは飼えないとあきらめていたが、昨年、家を購入して以来、新しい家族の一員がほしいなあと思っていた。
これも、ご縁でたまたまアニマルシェルターに行くと、ほとんどのネコは縁組払いで、希望のオスネコが3匹残っていた。シェルターはデンバーと一緒でとても可愛らしい施設である。ビルの左のほうへ行くと犬の部屋へ、右に行くと猫の部屋に行く。各小さな部屋にはガラス越しにネコの好きな、ベッドや止まり木が置かれ一部屋に二匹ずつ入れられて、新しい飼い主を待っている。最後の部屋に一匹のねこがふてくされて寝ていたのが、我が家に来たデブである。タキシードグレーのショートアメリカンヘアーのこのネコは、カウンセラーによると、ここ2年来の差し押さえ物件の家に取り残されたペットの被害者の一人で、おそらく近所のひとたちが可愛そうだと同情してえさを与えすぎた結果、肥満児になったのだそうだ。体重10キロ。抱きかかえるとズシーンと重みがあって、還暦の私にはこたえる。

この子に興味があるというと、さっそく別室で個人面接とネコとのインタビューがあるのだ。いろんな質問の用紙に書き込んで、どんな性格のネコが好きかまたはうまくやっていけるかどうか、カウンセラーと話あうのだ。
思わず、カウンセラーに<これくらい人間もきちんとしたマッチメーキング、所謂お見合いみたいなものがあると離婚せずにうまくいくのにねえ??>といって大笑いしてしまった。
記録によると、デブには飼い主があったらしくおトイレなどのしつけが良いが他のネコとうまくやっていけないたちなので、現在、他のペットがある人には難しいとのこと、つまりワンペットなら大丈夫。また非常に好奇心の強いネコだから、ああしちゃいけません、こうしちゃいけませんという制限のある飼い主には難しいというコメントだった。
デブの施設での名前はプラム<梅ちゃん>。でもネコは新しい名前にすぐになじむので名前を変えてもよいとのこと。医療カルテがあって、予防接種や狂犬病の接種も完了、避妊手術も完了、首の中にはコンピューターチップメモリも埋蔵されているので、家に帰ってから個人情報ならず飼い主情報を入力してくださいとのことだった。6歳のデブはシニアディスカウントで無料だった。実際だと7500円くらい払って養子にするのだ。

その後、このビルの中にあるロビーの横にペットショップがあるので、そこでカウンセラーに進められたダイエットフードとトイレの箱、砂、ベッドとおもちゃ全部で9000円ほどを払って、家に連れて帰ってきたのだった。

2月17日で我が家に来て、ひと月がたつ。
差し押さえになった元の飼い主の家の外で行くところもなく、外をうろうろしていた生活だったのだろうか、夜になると外に行きたがる。家の周囲は、鹿やきつね、狸、カヨ-テも出てくるので、毎晩抱っこして外の玄関先のデッキに出ては<ほら、外に行きたいだろうけどね、こんなに太った猫が外をうろうろすると美味しそうなヘレステーキがでてきたとばかり、いろんなやつがアタックしてくるからね?>と言い聞かせて外の空気を味あわせた。デブは車に乗せられて来た新しい家がどこなのかなあ??というように空に瞬く星を眺めては私の顔を不思議そうに見つめ直した。

シェルターのカウンセラーのアドバイスでは、慣れるまでは3ヶ月間、家の中だけにしてくださいとのこと。新しい環境と飼い主の家になじむまでは外に出さないようにとのことだった。
でも、あまりにも外を見たがるので、私の休日にベランダーに出して見た。デブは空気のにおいと外でさえずる鳥の声に興奮するように飛び出して、しばらく用心深く1メートルの高さのデッキを見つめていたが、敏捷でしなやかな体でジャンプしてデッキの上を歩きだした。<うわっ~~つ、デブちゃん!なかなかすばやいじゃない>。またたくまに好奇心いっぱいでデッキの下を覗き込むように見つめているので、いったい何があるのだろうか?と私もデッキにでると何と、鹿がデッキの下で朝のひとときを過ごしていたのだった。

              


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