それぞれを食べるよりも、あわせて食べたらおいしくなる……
それを、マリアージュと呼ぶようです。
たとえば、塩漬けのたらこ。
これだけを食べ続けろ、と言われたら
半分食べたところでもう無理かもしれません。
たとえば、ごはん。
ごはんだけお茶碗にだされても、
一杯も食べればもう充分です。
でも。
ごはんにたらこを乗せると……
おかわりもいけるくらいのおいしさを発揮します。
こういうのがマリアージュ。
逆は……コントルクーでしょうか。
たとえば、牛乳は牛乳として飲むと、
一杯飲んでも二杯飲んでもおいしいです。
たとえば、水。
水は水として、一杯飲んでもおいしいでしょう。
……でも。
水のグラスの中に、ちょっとだけ牛乳を入れて飲むと……
なんだかうっすくて気持ち悪い味になります。
おそらく一杯も飲めなくなるはず。
わたしは豆腐は、ひややっこがすごく苦手ですが
あれは、水で薄めた牛乳のような、
味の薄さを感じるからだとさっき気づきました。
湯豆腐でもお味噌汁でも麻婆豆腐でも、
味がついていれば食べられます。
一方で、まともに味がついているものに
さらに別の味を加えるのは、これもすごくいやです。
たとえば卵の味もにおいも、砂糖の甘さもあるプリンに、
苦さやくささを追加するカラメル。
たとえば、塩味のついた揚げおいもさんに
さらにつけるというケチャップなど。
たとえば、塩焼きしておいしくなった鮎に、
無駄にかけるタデ酢。
たとえば、ミルクアイスで牛乳の香りも甘さもすごくいいのに
香水をかけるバニラアイス。
たとえば、味のついているから揚げに
すっぱさとにおいをつけるレモン。
正直他人の舌はぜんぜんわかりません。
というと、豆腐もそのまま食べられないくせに、
とか言われそうなので、それに対しては
「牛乳を水で薄めて飲んでみてから同じことを言ってみろ」
と言っておきます。