昔々あるところに
節回しの好きな小ババと、鳴り物好きの中ババが住んでいました。
晴れた日には
小ババはハ~レルヤと山へ芝刈りに 中ババは川へ洗たくにと
昔話によくあるパターンでご機嫌に暮らしておりましたが
ある日のこと
ポッカリポッカリと川上から大きな桶が流れてくるではありませんか…
「うん?空桶かな?いやいや、何かいいものが入っているに違いない!」
と、少々欲深な中ババ。
桶を拾って「どんどんチャッ!」とたたいて見ると、パカッとふたが開いて
桶の中で昼寝を楽しんでいた雷の子どもは大喜び
「どんどんチャッ!どんどんチャッ!」
と、雷のたいこをたたいたもので、ザンザンザンザン雨が降って来た。
「こりゃあたまらん!川があふれる~」
桶につかまった中ババはどんぶらどんぶら流されて行く。
それを山で見ていた小ババ、絶妙な節回しで
「SING ハレルヤ TO THE KING OF THUNDER! SING ハレル~ ハ~レル~」
と、唸ったものだ。しかも、いきなり外国語?
すると、空で見ていた雷オヤジがいたずら雷っ子をつまんで虹をかけて引き上げて行ったそうな
それからと言うもの このあたりでは
空桶を「どんどんチャッ!どんどんチャッ!」とたたき
「SINGハレルヤ」を唸って 雷さまと遊んでいるそうな
豊作!豊作!ぷっくんぱい!
〈昔からかも知れない話 其の弐より〉 横縞りんご