スパイダーマン３

Story
今やピーター・パーカー（トビー・マグワイア）の人生は順風満帆そのものだ。スパイダーマンとしてはNY市民にヒーローとして愛され、大学では成績トップ、ブロードウェイ・デビューを果たした恋人ＭＪ（キルスティン・ダンスト）との関係も良好で、ついにプロポーズを決意する。ところが、謎の黒い液状生命体ヴェノムに取り憑かれ、復讐と憎しみの感情に支配されたブラック・スパイダーマンになってしまう。そんな彼の前にこれまでになく手強い敵サンドマン（トーマス・ヘイデン・チャーチ）とニュー・ゴブリンが表れる…。（goo映画より）
2007年/アメリカ/サム・ライミ監督作品




評価　★★★★☆

今回のパート３は、スパイダーマンの適役がサンドマン、ニュー・ゴブリン、ヴェノムと３人も登場したり、スパイダーマンであるピーター・パーカーが復讐に取り憑かれて、ブラック・スパイダーマンになったりと、やや詰め込みすぎな印象がありましたが、それぞれのキャラクターが皆個性があり、しっかりと色分けされていたせいか、複雑なストーリーもすんなり入っていけました。

特に私が面白かったのは、ピーター・パーカーがブラック・スパイダーマンになってしまうと、普段は品行方正な彼が、とたんに悪ノリキャラに変わってしまったところです。普段のピーターは髪型も七三分けなのに、悪ノリピーターは前髪を下ろして、ちょっと不良っぽくなったりして。おまけにニューヨークのストリートで、変なダンスを踊り始めるし（周りの人はドン引きでしたが。。^^; ）、普段見ることのできないピーターが見れて、私はこれだけで満足できました♪

キルスティン・ダンスト演じるＭＪことメリー・ジェーンが、今回は舞台女優である仕事もうまくいかず、ピーターとの恋愛もすれちがってばかりで、絶好調だったパート２とは反対に、不調続きで見ていて可哀想でしたね。。ラストでやっとピーターと仲直りできましたが、その後のＭＪが気になるので、ぜひパート４も製作してほしいところです。

今回は、ＭＪの他にもう一人のヒロイン、グウェン・ステーシーが登場します。彼女は、ピーターの大学の同級生でもあり、人気モデルでもあるのですが、美人でとても魅力的なせいか、ＭＪよりグウェン・ステーシーの方に私は注目してしまいました。グウェン・ステーシーを演じているのが、「ヴィレッジ」や「レディ・イン・ザ・ウォーター」のブライス・ダラス・ハワード。シャマラン監督でおなじみの彼女ですが、今回のヒロイン役は、今までの役柄とあまりにも雰囲気が違うので、最初は彼女だと全然気がつかなかったですね。タイプの違う役柄を演じ分けられる女優さんなんだなと思いました。

それから、ピーターの叔母・メイ・パーカーが、復讐に取り憑かれたピーターを、悪から善に引き戻す役割をしていて、とても良かったです。彼女がスクリーンに登場すると、色々な方向へ流れていた物語がぴしっとまとまるような感じがして、安心して観れましたね。
今回は、登場する男性陣が皆ダークサイドに落ちてしまって、非常に暗い印象がありました。その反対に、女性陣がそれぞれに明るくタフで、思いやりがあるといったキャラクターだったので、その点は救いになりましたね。もし、パート４が製作されるなら、今度は明るいヒーローものが観たいです。





評価　★★★★☆

敵役が３人も登場すると普通は収拾がつかず散漫になるのですが、この映画はそれを避けることに成功しています。それは、３人それぞれの役割分担がしっかりしているためです。

サンドマンは、ピーターが彼を許す事が出来るか否かのリトマス試験紙的な役割を、
ニュー・ゴブリンは善と悪の２面性を、
ヴェノムはピーターのダークな面をさらけ出す役割を果たしています。

ただ、強力な悪役が登場しない、というか、３人の敵役がピーター・パーカーの成長物語のための脇役的な役割を果たしているために、全体的にヒーローものとしてのインパクトが弱くなった感があります。

今回特に印象に残ったのは、ニュー・ゴブリンを演じたジェームズ・フランコ。彼本来のナイスガイの面と父の復讐に燃える悪の一面を上手く演じ分けていました。彼が執事から父の死の真相を聞いて（もっと早く言ってやれよな）間違いに気づき、スパイダーマンを助けに向かう所は感動的でした。それが、せっかく大活躍したのに、死んでしまうのはもったいない。次回作以降でもスパイダーマンと一緒に戦って欲しかったのに。

思えば、このシリーズは絶えず一個人の中での善と悪の相克を描いていたような気がします。パート１では、二重人格になったグリーン・ゴブリンの、パート２では、人工知能に逆に操られる事になったドックオクの。そして、本作ではスパイダーマン自身が悪に染まり、それを克服する事でこのテーマに終止符を打ったと考えられます。そういうわけで、今回はちょっとシリアスすぎたので、次回は１、２のノリにもどった作り方でお願いしたいです。



スパイダーマン３を観て、懐かしくなって過去のパート１、２についてのレビューも書いてみました。

スパイダーマン（2002年／アメリカ）

監督／サム・ライミ 出演／トビー・マグワイア ウィレム・デフォー キルスティン・ダンスト ジェームズ・フランコ

『大いなる力には、大いなる責任が伴う。』パート１のテーマは、この一言につきます。名言をはいたクリフ・ロバートソンが映画全体の格調を高めています。スパイダーマン誕生の過程は学園もののノリのなかで楽しく描かれていました。敵役のグリーン・ゴブリンの緑色が画面の中で特異な色彩効果を発揮し、緊迫感を高めています。ラストのピーターとのキスでMJがスパイダーマンの正体に気づくところがパート２への伏線になってるのがよかった。僕は３部作の中ではパート１が一番好きで、コミックヒーローの面白さを満喫しました。
評価　★★★★★

このパート１も劇場で観たのですが、とにかく宙を舞うスパイダーマンが格好良かった！そのCGの凄さに圧倒されましたね。パート１ではピーターもＭＪもまだ高校生だったので、パンフレットを見るとやはり幼くて初々しいですね。ウィレム・デフォー演じるグリーン・ゴブリンのコスチュームや、その登場の仕方がおかしくて、当時笑ってしまった覚えがあります。パート２、３と比べると全体的に地味な感じがして、そんなに評価は高くなりませんでした。
評価　★★★☆☆



スパイダーマン２（2004年／アメリカ）

監督／サム・ライミ 出演／トビー・マグワイア キルスティン・ダンスト アルフレッド・モリーナ ジェームズ・フランコ

見所はドクターオクトパスのメカの魅力。核融合をコントロールするために脊髄からの信号で４本の金属肢を自在に動かすのが面白い。人工太陽よりこっちの方が凄い発明じゃないか、とつっこみたくなりました。ピーターがヒーローを辞めるか否かに焦点が当てられて、ドックオクとの対決の強度が弱められたのがちょっと難点だった気がします。
評価　★★★★☆

シリーズ３部作の中でいちばん好きな作品です。ヒーローとして生きるのか、人間として生きるのか悩むピーターが、人間くさくてとても良かった。一時、ピーターはスパイダーマンよりもピーターとして生きる人生の方を選びますが、その時の輝きを取り戻したようなトビー・マグワイアの表情がすごく良かったのを覚えています（その時に流れる音楽も良かったなぁ）。このパート２では、愛するＭＪや親友ハリーにスパイダーマンの正体がバレてしまったり、スパイダーマンとドックオクとの対決アクションシーンも手に汗握る迫力で、盛り沢山の飽きさせない展開になっており、大満足のパート２でしたね。
評価　★★★★★


映画『スパイダーマン３』公式サイト


（「スパイダーマン３」2007年5月　長野にて鑑賞）