小学生の頃、仲の良かった友達の家の向かいに、白い犬が居た。
雑種で、エミコと言った。
おとなしいと言うか、物事を気にしない性格で、私らはいろんないたずらをしたが、エミコは怒らなかった。
「エミコ」と呼ぶと、遠くからでも、走って来た。
そのうち、歩いて来るようになり、振り返るだけになり、最晩年は、耳をぱたぱたさせるだけになった。
享年24歳。
大往生であった。
エミコはおとなしいので、放し飼いだったが、エミコの息子の吾郎は、噛み付き癖があったので、繋がれていた。
エミコの飼い主は山田さんという医者で、家には大きくはないが、飛び石があるような端整な庭があった。
山田さんのおばちゃんは、毎日吾郎の紐を引き、エミコを連れて散歩に行った。
私らも、よく付き合った。
いつもの散歩道に白い兎を飼っている家があった。
ある日、学校帰りに山田さんちの前を通ったら、おばちゃんが手招きする。
「あのね、エミコが兎くわえて帰って来たのよ!」
多分、二人の脳裏には、同じ光景が浮かんだと思う。
「ちょっとあの家、見て来てくれない?」
小学生だった私は、走って見に行った。
報告。
「おばちゃん、兎、居れへんかった...」
「!」
兎は、お庭の隅に、静かに埋められた。
もう時効だろう。
38年くらい前の話し…
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