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アニメ『精霊の守り人』を観ました。
2007年に製作、NHK教育で放送されたアニメなので、いささか「旧作」の感は否めませんが、少し前まで原作者を同じくする『獣の奏者 エリン』がこれも同じNHKで放送されていましたので、観てみました。
視聴率やネットでは、あまり芳しい評価はもらえていないようですね。友人も、原作からの「変更点」について、いささか疑念や不満があるとのこと。
私自身としては、例えば100点満点ではないにしろ、90点はオーヴァーしている凌作だと思います。
なんとなれば、原作は上橋菜穂子教授の手になる、『守り人』シリーズ。
そのシリーズ第一作目となる『精霊の守り人』。それをアニメ化したものが、本作。
しかし、原作は、アニメ化するには尺が短すぎる。それは、今夏ジブリで映画化された『借りぐらしのアリエッティ』のような、原作の改変を必要とする。
新潮文庫版でも、320数頁を超えるだけの分量しかないので、とても全26話の需要は満たせない。続くシリーズ『闇の守り人』、『夢の守り人』などからも、適宜エピソードを取り入れた。また、オリジナルエピソードを編み入れてもいる。それらは、功奏しているように思います。
何といっても、上橋教授自身、「子どものためだけに書いたつもりはない」と表明しているように、シリーズを読破すると、子どもにとっては、かなりえげつない記述もある。
主要人物群の一人、皇子チャグム…『精霊』では、水の精霊の卵を宿す子どもですが…、まさにその卵を宿して怪異を起こしたために、実の父の「帝」から、殺してしまうよう見放される。穢れた皇子として、シリーズ全般を通してその後も帝位を狙う存在とみなされ、『蒼路の旅人』では死地に赴かされ、最終作『天と地の守り人』では、故国を救うために戻ってきたのに、待っていたのは帝の侮蔑。
君主制につきまとう、父子の暗黒面ですが、アニメではきれいに拭われていました。
かわりに、アニメでは父帝は、「殺した」と思ったチャグムの哀れな身の上を思い、彼の姿を映した像を造らせその尊い犠牲を忘れぬようにしたいと望む。
「過酷な運命」。
一人の少年が、ある時突然、この世ならざる生き物に、卵を産みつけられる。
皇子チャグムは、そのために、実の父や刺客、異形の生物に命を狙われる。卵を宿すチャグムが死ねば、大干ばつが到来し、国は飢饉に襲われる。
そんな少年のために、縁も所縁もない女用心棒の短槍遣い・バルサは、少年の母から頼まれたとはいえ命を懸けてチャグムを守りとおす。
皇子も、市井の波にもまれ、命のやり取りにもまれ、〈卵食い〉に引き裂かれる死の恐怖に逃げ出すも、最後にはそれを乗り越える。
子どもが観るには、いささかお腹が重くなる一品だったかも知れません。
大人が観るにも、どちらかと言えば便秘になりそうな一品の気もします。
日本で主流のアニメは、やはり「きゃぴるぅん☆」としたアニメ声が主役を張る、頭悪そうな作品です。
まるでいぶし銀のような味わいのある本作は、そういったアニメに慣れている視聴者には受け入れにくかった…のかも知れません。
生々しく、ヒトの生き死にを描きすぎた。あまりに生臭く、描きすぎて、他のアニメのように、「萌え」要素が少なすぎたのが、いわゆるアニメヲタに受け入れられなかった敗因だったのかも知れません。
2007年に製作、NHK教育で放送されたアニメなので、いささか「旧作」の感は否めませんが、少し前まで原作者を同じくする『獣の奏者 エリン』がこれも同じNHKで放送されていましたので、観てみました。
視聴率やネットでは、あまり芳しい評価はもらえていないようですね。友人も、原作からの「変更点」について、いささか疑念や不満があるとのこと。
私自身としては、例えば100点満点ではないにしろ、90点はオーヴァーしている凌作だと思います。
なんとなれば、原作は上橋菜穂子教授の手になる、『守り人』シリーズ。
そのシリーズ第一作目となる『精霊の守り人』。それをアニメ化したものが、本作。
しかし、原作は、アニメ化するには尺が短すぎる。それは、今夏ジブリで映画化された『借りぐらしのアリエッティ』のような、原作の改変を必要とする。
新潮文庫版でも、320数頁を超えるだけの分量しかないので、とても全26話の需要は満たせない。続くシリーズ『闇の守り人』、『夢の守り人』などからも、適宜エピソードを取り入れた。また、オリジナルエピソードを編み入れてもいる。それらは、功奏しているように思います。
何といっても、上橋教授自身、「子どものためだけに書いたつもりはない」と表明しているように、シリーズを読破すると、子どもにとっては、かなりえげつない記述もある。
主要人物群の一人、皇子チャグム…『精霊』では、水の精霊の卵を宿す子どもですが…、まさにその卵を宿して怪異を起こしたために、実の父の「帝」から、殺してしまうよう見放される。穢れた皇子として、シリーズ全般を通してその後も帝位を狙う存在とみなされ、『蒼路の旅人』では死地に赴かされ、最終作『天と地の守り人』では、故国を救うために戻ってきたのに、待っていたのは帝の侮蔑。
君主制につきまとう、父子の暗黒面ですが、アニメではきれいに拭われていました。
かわりに、アニメでは父帝は、「殺した」と思ったチャグムの哀れな身の上を思い、彼の姿を映した像を造らせその尊い犠牲を忘れぬようにしたいと望む。
「過酷な運命」。
一人の少年が、ある時突然、この世ならざる生き物に、卵を産みつけられる。
皇子チャグムは、そのために、実の父や刺客、異形の生物に命を狙われる。卵を宿すチャグムが死ねば、大干ばつが到来し、国は飢饉に襲われる。
そんな少年のために、縁も所縁もない女用心棒の短槍遣い・バルサは、少年の母から頼まれたとはいえ命を懸けてチャグムを守りとおす。
皇子も、市井の波にもまれ、命のやり取りにもまれ、〈卵食い〉に引き裂かれる死の恐怖に逃げ出すも、最後にはそれを乗り越える。
子どもが観るには、いささかお腹が重くなる一品だったかも知れません。
大人が観るにも、どちらかと言えば便秘になりそうな一品の気もします。
日本で主流のアニメは、やはり「きゃぴるぅん☆」としたアニメ声が主役を張る、頭悪そうな作品です。
まるでいぶし銀のような味わいのある本作は、そういったアニメに慣れている視聴者には受け入れにくかった…のかも知れません。
生々しく、ヒトの生き死にを描きすぎた。あまりに生臭く、描きすぎて、他のアニメのように、「萌え」要素が少なすぎたのが、いわゆるアニメヲタに受け入れられなかった敗因だったのかも知れません。
私も、結構ついて行けます。
なかでも、このアニメの神山監督は大大ファンです!
前作の「攻殻機動隊」と現在の「東のエデン」も見ました。
どちらもオススメです♪
時間があれば、ぜひ。
降格さんは、KHの大塚さんつながりで観たことがあります。『イノセンス』というのが、なかなかシュールで私好みでした。