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有害性指摘のPFAS 排出源特定へ 環境省 早急に対策進める方針/NHK

2023-03-28 21:21:16 | 

 

有害性指摘のPFAS 排出源特定へ 環境省 早急に対策進める方針 | NHK

有害性指摘のPFAS 排出源特定へ 環境省 早急に対策進める方針 | NHK

【NHK】有害性が指摘されている化学物質を含む「PFAS」について、環境省は28日の専門家会議で、国の暫定的な目標値を超えた13都…

NHKニュース

 

有害性が指摘されている化学物質を含む「PFAS」について、環境省は28日の専門家会議で、国の暫定的な目標値を超えた13都府県の81地点のうち、98%の地点で排出源が特定に至らなかったとする調査結果を公表し、排出源の特定に向けて自治体に対し具体的な調査方法を示すなどの対策を早急に進める方針です。

「PFAS」は人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、このうち、かつては泡消火剤や精密機器の製造に使われていた2つの物質はアメリカの研究などで有害性が指摘されています。

環境省は、沖縄や神奈川などの米軍基地周辺で暫定的な目標値を大幅に超える数値が検出されたことを受けて、ことし1月に実態を把握するための専門家会議を立ち上げ、28日、会合が開かれました。

この中で、暫定的な目標値を超えた13都府県の81地点のうち、98%にあたる12都府県の79地点で排出源の特定に至らなかったとする環境省の調査結果が示されました。

専門家からは、排出源を特定するための具体的な方法を国が示すべきだとか、排出源の可能性がある泡消火剤がある場所や物質を取り扱っていた工場などの情報を、自治体と共有することが重要ではないかなどの指摘があがりました。

環境省はこれらの指摘を踏まえ、排出源の特定に向けて自治体に対し具体的な調査方法を手引に記すなどの対応を早急に進める方針です。

有機フッ素化合物「PFAS」とは

 
有機フッ素化合物の「PFAS」は、人工的に作られた物質で4700種類以上が存在するとされています。

その中の「PFOS」と「PFOA」という2つの物質は、水に移行しやすく長期的に環境に残留するとされ、アメリカの研究などでは発がん性や子どもの成長への影響などが報告されています。

一方で、WHO=世界保健機関は、健康への影響についてはさらなる研究が必要だと指摘し、国内でもどの程度、有害性があるのかを判断するには知見を集積する必要があるとして、環境省は専門家会議を立ち上げ実態の把握を進めています。

また、国内の水質の目標値は暫定的なもので、現在、正式な目標値の検討も進められています。

環境省によりますと、水や油をはじく特性などから、かつては泡消火剤や精密機器の製造のほか、フライパンのコーティングやはっ水スプレーなど幅広い用途に使われていました。

しかし、海外の動向などを踏まえ国内では、おととしまでに製造や輸入が禁止され、さらに環境省はことし、泡消火剤などが事故などで外部に排出された際に自治体への届け出を義務づける「指定物質」に追加して監視体制を強化しました。
 

暫定的な目標値を超える検出に戸惑いの声

国が定める暫定的な目標値を超える値が検出された地域では戸惑いの声があがっています。
大阪 茨木市では、地下水の4地点で目標値を超える値のPFASが検出されました。

目標値を超えたのは住宅や事業所の敷地内の4つの井戸で測定した地下水で、最も高い場所では7倍近くとなりました。

市によりますと、近くにPFASを扱う工場や基地などはなく、目標値を超えた地域周辺の工場などにアンケートを配って排出源を調査しましたが、いずれも「排出源は不明」という結果に至ったといいます。

市内の78歳の男性は、自宅近くの井戸から目標値を超える値が検出されたとして、男性の自宅の井戸も市による調査が行われたということです。

男性の井戸からは目標値を超える値は検出されませんでしたが、市から井戸からの地下水を飲み水として使わないよう要請されたということです。

男性は「50年以上、井戸の水を飲み続けてきたが、初めて聞く話だった。ずっと飲み続けてきたものを飲めないと言われるのはいい気がしないし、しっかりと健康調査をしてほしい」と話していました。

茨木市は今後、目標値を超えた場所の調査を継続するとともに、河川や地下水の範囲を広げて調査する方針ですが、排出源が特定できる見通しは立っていないとしています。

茨木市環境政策課の西川誠司参事は「目標値を超えて検出された4つの地点はいずれも大きな工場などもなく、暫定目標値を超える検出はあまり想定していなかった。具体的な汚染源がどこかにあるのだとは思うが、原因を特定する方法がわからないので国が一定の方法を示してくれると助かる」と話していました。

専門家「現状と今後の道筋 国が説明を」

 
20年以上にわたって全国のPFASの状況などについて研究を続け、環境省の専門家会議のメンバーでもある京都大学大学院の原田浩二准教授は、今回の調査結果について「PFASが高い濃度で検出されるのは、米軍基地が集中する沖縄県など、比較的限定された特殊な状況でしか起こらないと考えられていた。また、PFOSやPFOAの製造は終わってるので、この問題は解決しているという認識もあったと思う。しかし現実的には、これまで大量に、長年、この物質を使ってきたことを考えれば、今回の調査結果からも実はまだ実態を把握していないだけだということが言える」と述べています。

そのうえで「住民にとっては、汚染源や健康への影響が分からないことが不安を非常に大きくする。国はまず、いま何が分かっていて、これから何をやるべきなのか、現状と今後の道筋をしっかり説明することが非常に重要だ」と指摘しています。

そして、今後、必要な取り組みとして「PFASを取り扱っていた工場周辺など、過去の調査で値が高く出ることが明らかな場所もあるので、まずは各地域でPFASがどのように使用されていたかを把握しておくことが必要だ。経済産業省がPFASを取り扱っていた事業者に対して、聞き取りや調査の協力を要請するなど、環境省だけでなく、幅広く関係する省庁横断で取り組むことで、対策として実効性があるものになる」と話しています。